月刊バスケットボール12月号

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2023.08.12

【第2回WUBS】Day 1レポート - 白鷗大、ラドフォード大など4強出そろう

©月刊バスケットボール

810日にアテネオ・デ・マニラ大(フィリピン)と2023年度 WUBS日本学生選抜チームのエキシビジョンゲームで幕を開けたWUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)は、11日に1回戦4試合が行われた。翌12日(土)の準決勝に駒を進めたのは、国立政治大(チャイニーズ・タイペイ)、ラドフォード大(アメリカ)、白鷗大(日本)、アテネオ・デ・マニラ大(フィリピン)の4チーム。日本からインカレ王者として出場した東海大は勝利をつかむことができなかった。ラドフォード大は100得点に達する猛攻を見せている。


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[GAME1]
東海大 7312 18 16 27
国際政治大 8123 21 20 17
☆トップパフォーマー
東海大: 黒川虎徹(22得点、3P成功率83.3%[6本中5本成功]、4リバウンド、2アシスト、3スティール)
国立政治大: ムハマド・ラミン・バイェ(18得点、12リバウンド、1アシスト、3ブロック)


ベースライン・ジャンパーを放つ東海大#25江原信太朗(写真/©WUBS)

国際政治大は第1Qから良い流れをつかんだが、「そうなった何より大きな要因は、ハーフコートの1-3-1ゾーンディフェンス」というのがキャプテンの黒川虎徹の見方。身長205cmのパワーフォワード、ムハマド・ラミン・バイェをセンターに置き、ガードとウイングがパスコースを分断する位置に立つこの“奇策”に、東海大は前半だけでターンオーバーを11も記録してしまった。200cm越えが3人いる国際政治大は高さの利がある上、粘る東海大が黒川や小林 巧の3Pショットで反撃するたびに、お返しの3Pショットを高確率で決め返した。

3Qを終わって46-6418点差を追う立場に追い込まれた東海大は、58-67と一桁点差に戻した第4Q半ばに、リバウンドの要である江原信太朗がゴール下でレイアップに向かう際ファウルを受けフロアに体を強打して離脱したことも響いた。その後も最後まで御林広樹、ハーパージャン ローレンスジュニアらが攻守でひたむきなプレーを披露したが、序盤の大きな点差を挽回するには至らなかった。

[GAME2]
高麗大 6311 18 24 10
ラドフォード大 10023 22 27 28
☆トップパフォーマー
高麗大: ユ ミンスー(10得点、フィールドゴール成功率66.7%[6本中4本成功]、4リバウンド)
ラドフォード大: ジョサイア・ハリス(23得点、フィールドゴール成功率82%[11本中9本成功]、14リバウンド、2スティール)

20得点を挙げラドフォ―ド大をけん引したケニオン・ジャイルズ(写真/©WUBS))

20得点を挙げラドフォ―ド大をけん引したケニオン・ジャイルズ(写真/©WUBS)

NCAA
ディビジョン1のビッグサウス・カンファレンスで2023-24シーズンに王座を狙うラドフォード大は、身長203cmのフォワード、ジョサイア・ハリスが23得点、14リバウンド、山﨑一渉がチームで最も仲がいいと話す同級生ガードのケニオン・ジャイルズが20得点と爆発的な活躍を見せ、高麗大を圧倒した。

FIBAルールとは多くが異なるNCAAに所属するラドフォード大は、3Pラインの距離、クォーター制、24秒ショットクロック、使用球など様々な点で適応する必要があった。ジャイルズは「ボールがすべりやすいのが一番難しかったです」と試合後に話していたが、展開を見る限りそのいずれも問題にはならなかったようだ。

高麗大はラドフォード大のプレッシャーディフェンスに手を焼き、フィジカリティーに対抗しきれなかった印象。しかし、大きく強い相手が襲い掛かってきても、タフショットをしっかり決めきる力強さは、高確率のシューティングを伝統とする韓国のチームらしさを感じさせた。

[GAME3]
ペルバナス・インスティテュート 4906 07 22 14
白鷗大 9727 21 27 22
☆トップパフォーマー
ペルバナス: アーガス・サニュディー(10得点、6リバウンド)
白鷗大: 佐藤涼成(17得点、フィールドゴール成功率66.7%[12本中8本成功]、5リバウンド、2アシスト、3スティール)


ペルバナス・インスティテュートとの一戦に快勝を収めた白鷗大は準決勝でアテネオ・デ・マニラ大と対戦する(写真/©WUBS)

試合開始早々に10-0のランで波に乗った白鷗大は、その後もギアを落とすことなく40分間かけ抜け、ペルバナス・インスティテュートに48点差をつけて準決勝進出を決めた。白鷗大の網野友雄監督は、単独チームでの国際試合体験の初戦となったこの試合について、「相手のレベルがわからないまま臨むことになりましたが、試合が進むにつれてレベルが見えてきたら、もっと賢くプレーすることもできたかもしれません」と話した。

一方、試合後にペルバナス・インスティテュートのズルファリザルAコーチに話を聞くと、「コーチングスタッフを含めチームの全員が初来日で、初戦の硬さという以上に自分たちの力が出せませんでした」とのこと。学生チームの海外遠征の難しさも痛感しているようだ。ただ、今大会で良い成績を残して時刻に戻ってからの活動で飛躍を生むことを念頭に置いており、明日以降の対戦にも強い意欲を見せる。「来年またこの舞台に戻ってこられるようにしたいです」と話す表情は明るかった。

[GAME4]
シドニー大 50(16 13 09 12
アテネオ・デ・マニラ大 88(21 28 21 18
☆トップパフォーマー
シドニー大: マシュー・ウェイチャー(15得点、5リバウンド、2アシスト、3スティール)
アテネオ・デ・マニラ大: カイ・バルンガイ(13得点、3P成功率75.0%[4本中3本成功]、6リバウンド、1スティール、1ブロック)/メイソン・アモス(17得点、3P成功率50.0%[6本中3本成功]、フィールドゴール成功率70.0%[10本中7本成功]、5リバウンド)


力強いドライブでゴールを狙うアテネオ・デ・マニラ大#10ショーン・トゥアノ(写真/©WUBS)

前日のエキシビジョンゲームを若手中心の起用法で戦ったアテネオ・デ・マニラ大は、スターターに前日出場しなかった司令塔のギャブ・ゴメス、身長203cmのセンター、ゲオ・チュウ、スモールフォワードのジェイソン・クレドという3人のメンバーを入れてきた。アテネオ・デ・マニラ大はシドニー大に対し高さのアドバンテージがあり、序盤からその強みを生かして約3分半で10-3のランを展開し優位に立った。しかし、高さに対して物おじせずアタックしていくシドニー大も、ジョシュ・ペインのドライビング・レイアップやミッチ・スミスのフリースローやダンクなどで少しずつ追い上げ、開始5分ではアテネオ・デ・マニラ大のリードは12-102点差に詰まっていた。

その後もアテネオ・デ・マニラ大の優位が続いたが、シドニー大のアグレッシブなオフェンスに早い時間帯でチームファウルが5つに到達。フリースローを第1Qだけで10本許す流れに、タブ・ボールドウィンHCがベンチで大声を上げてチームに活を入れる場面もあった。

「力対力」のような両チームのぶつかり合いは迫力があったが、その中でアテネオ・デ・マニラ大は一度も優位を譲ることなく点差を少しずつ拡大。前半終了時点でスコアボードは49-29とアテネオ・デ・マニラ大の20点リードとなっていた。最終的にはアテネオ・デ・マニラ大が38点差までリードを広げて勝利した。シドニー大のトム・ガーレップHCは、「序盤はゲオ・チュウめがけてアタックしたことでファウルを誘うことができ、得点を伸ばせたのですが…。十分にやり切ることができませんでした」と話す。一方アテネオ・デ・マニラ大のタブ・ボールドウィンHCは、「第2Q以降、何かを変えたわけではないですが、より賢く守るよう徹底しました」とのこと。両チームのアグレッシブさは最後まで変わらなかったが、シドニー大のアタックの特徴を理解したアテネオ・デ・マニラ大が攻め手を封じた形となった。

ディフェンディング・チャンピオンに白鷗大が挑むDay 2

以上、Day 1の試合結果を受け、12日のGAME5-8の組み合わせは以下のとおりとなった。

WUBS Day 2試合予定(812日[土] 会場: 国立競技場代々木第二体育館)
GAME5(11:00~) 東海大 vs. 高麗大
GAME6(13:30~) ペルバナス・インスティテュート vs. シドニー大
GAME7(16:00~) 準決勝 国立政治大vs. ラドフォード大
GAME8(18:30~) 準決勝 白鷗大 vs. アテネオ・デ・マニラ大

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4強入りした白鷗大は、準決勝でディフェンディング・チャンピオンのアテネオ・デ・マニラ大に挑むこととなる。順位決定戦に回った東海大は、高麗大との間で日韓の大学王者同士の決戦に臨む。

また、どのチームも2試合目となるDay 2は、より自チームらしさを出しやすい状況になっていると同時に、対戦相手のスカウティングが初日よりもできているに違いない。いよいよ白熱した熱戦が繰り広げられるWUBSのDay 2アクションから目が離せなくなってきた。



取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

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