月刊バスケットボール6月号

日本代表・西田優大と比江島慎、Wユウキに次ぐハンドラーの選定はどうなる?

3番手の司令塔として期待される西田


「FIBAワールドカップ2023」の開幕まであと3週間と迫った。男子日本代表は8月2日のニュージーランドとの強化試合第1戦に79-72で勝利、本日2戦目を迎えようとしている。

【写真21点】男子日本代表ニュージーランド戦フォトギャラリーをチェック

第1戦で特に輝いたのは富樫勇樹と河村勇輝によるWユウキだ。

前者はスターターとしてコートに立ち、特に3Qのクロージングで2本の3Pシュートを含む連続8得点を挙げるなど、ベテランらしい試合巧者ぶりと持ち前の得点力を見せ付けた後者はアシストとディフェンスで魅せた。序盤のビハインドを挽回すべく投入された河村は、まずは試合をペースアップし、味方の得点を演出。なかなかアウトサイドが決まらない時間帯に渡邉飛勇や馬場雄大の2点を演出し、ディフェンスでも相手ハンドラーを自由にさせなかった。

富樫が3P3本を含む11得点、3アシスト、河村も7得点にゲームハイの7アシストを挙げている。この活躍を見ても、トム・ホーバスHCが目指すアップテンポなバスケにおいてPGのポジションが最重要であることは今さら言うまでもないだろう。

そんな中で、韓国遠征を終えたあとの合宿で3番手のハンドラーだったテーブス海が外れたことは驚きだった。これは西田優大や比江島慎らウィング陣からハンドラーを兼任できる選手を見いだしたという味方になりそうだが、西田にしても、比江島にしてもテーブスとは異なり、ナチュラルポジションがPGの選手ではない。

ニュージーランドとの第1戦でも、Wユウキが好調だったこともあって、西田のプレータイムは約5分にとどまっている。ホーバスHCは試合後、「彼にはごめんね、と伝えました。ディフェンスをよくやってくれてインテンシティが上がったので悪くなかったです。今日はWユウキの調子が良かったからそのままいきました」と話しており、本来はもっと積極的に彼を起用し、育てていきたい考えだ。



3番手の司令塔として期待される西田


西田自身は試合後の囲み取材にユニフォーム姿のまま汗だくで現れた。「今日は出番も少なかったので、練習をしてきた」という彼の表情は至って冷静だった。プレータイムが短かったことについては「比較したら河村の時間帯の方がペイントアタックが多かったんじゃないかなと思うので、僕の時間帯でもそういう時間を増やしていければなと思っています」と言い、「クロスゲームでしたし、まだその時間帯で出られるほど自分の技量がないんだなと感じているので、ステップアップが必要だなとすごく感じました」と現状を見定めている。純PGの2人からも学びながら、出番を勝ち得ていく構えだ。実際、大学でも共にプレーした河村とは「前回の合宿までは相部屋だったので、何を考えてプレーしているのかとか、そういうことは聞きながらやっていました」と言う。

比江島もテーブスが抜けたことによってハンドラーを務める機会を増やしている選手だ。ニュージーランドとの第1戦では思うようなパフォーマンスは発揮できなかったが、「ハンドラーの役割が多くなっているのは感じています。自分もそれを意識していますし、チームからもそれを要求されていると思うので。感覚的にハンドラーの役割を増やしている感じです」と言う。



テーブスが外れたことで比江島にも意識の変化がある様子


もちろん、河村や富樫と同時に出場する時間帯はオフボールムーブを増やしながらシューターとしての役割を担ったり、要所で武器のドライブを仕掛けたりとこれまでと同じロールをこなしている。ただ、「西田と出たときはもっとボールハンドラーとしての役割を増やしています」と言い、同時起用の際には互いを補い合いながら司令塔の役割を担っているようだ。

ホーバスHCの真意がどうかは分からないが、仮に西田を3番手のハンドラーとして固定することが確定しているのであれば、比江島のようなコンボガードを西田の補佐として考えているかもしれない。

ウィングとビッグマンのポジションにおいても、八村塁の欠場発表により渡邊雄太や吉井裕鷹に求められるロールは当初より広がった。それと同じように、本来ウィングの西田を時間帯によってメインハンドラーとして起用するために、4人目のハンドラーを務められる選手がロスターに入る可能性もありそうだ。

ホーバスHCがたびたび口にしている「パズルのピースを探している」という言葉に則るのであれば、そういった青写真を描いている可能性も低くはない。ともかく、今日の第2戦とアンゴラ戦の出来、日々の練習での出来がサバイバルレースを左右する。ガード陣の最終選定がどうなるのか、注目してみたい。


★男子日本代表今後の予定

「男子日本代表国際強化試合2023太田大会」
会場:オープンハウスアリーナ太田(群馬県太田市飯塚町1059)
(1)8月2日(水)◯79-72ニュージーランド代表(26位)19:00ティップオフ
(2)8月4日(金)vs.ニュージーランド代表 (26位)19:00ティップオフ
放送・配信:バスケットLIVEでライブ配信(見逃し配信あり)

「男子日本代表国際強化試合2023東京大会」
会場 : 有明アリーナ(〒135-0063 東京都江東区有明1丁目11-1)
(1)8月15日(火)vs.アンゴラ代表(41位) 19:00ティップオフ
(2)8月17日(木)vs.フランス代表(5位)19:00ティップオフ
(3)8月19日(土)vs.スロベニア代表(7位)15:00ティップオフ
※カッコ内はFIBAランキング(2023年2月27日現在)
※出場メンバーに関しては、決定次第発表

 [インターハイ注目チーム・注目選手、出場選手名鑑掲載!]
\第2特集・W杯日本代表/月バス9月号ご購入こちらから
https://shop.nbp.ne.jp/shopdetail/000000002252/

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)、写真/石塚康康隆(月刊バスケットボール)

PICK UP

RELATED