月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.07.27

新B1の名称、ロゴを、新制度を発表、島田チェアマン「これが日本バスケを変える布石になる」

強い決意を持ってリーグを「B.改革」をすると宣言


7月27日、島田慎二チェアマン、田臥勇太(宇都宮)、富樫勇樹(千葉J)、河村勇輝(横浜BC)が参加し、Bリーグは将来構想に関する発表会見を実施。その中で新リーグのロゴが披露し、また新B1が「B.LEAGUE PREMIER」に、新B2が「B.LEAGUE ONE」に、新B3が「B.LEAGUE NEXT」の名称になると発表。さらにサラリーキャップ、ドラフト制度、スケジュール、ポストシーズンといった制度設計についても紹介。島田チェアマンは「今回発表したことが、10年後、20年後、日本バスケを変える布石になる」と力強く語った。

【動画】Bリーグ将来構想に関する発表会見をチェック

「新Bリーグ」は2026-27シーズンよりスタート予定のもの。新B1リーグ参入のライセンス条件は(1)平均入場者数4000人以上 (2)売上高12億円 (3)新基準アリーナ(条件充足、カーディング自由度)と発表されており、新リーグ開幕後も同ライセンスの基準が昇降格の条件となり、新BリーグではB3も完全プロリーグとなると発表していた。





発表会見では、ココリコの田中直樹さんがMCとして進行。まず島田チェアマンから、将来構想という名称について、行動に移す段階に来たとして「B.革新」という表現を使っていくと紹介。「NBAに次ぐ世界第2位のリーグを目指すと言ってきたが、理想を表す言葉として“世界一型破りなライブスポーツエンタメ”を使用していく」と紹介した。

また新Bリーグについて、「地方創生に貢献し社会問題解決につながるリーグ」「ダイバーシティ」「全試合接戦を目指す(魅力UP)」「チームの経営力保持(選手、スタッフ、地元がハッピーになるもの)」と4つのポイントを紹介。選手、チーム社員、ファンといったステークホルダー(利害関係者)が喜ぶリーグを目指し、“バスケで日本を元気に”していくとした。





そして2026年からの新リーグロゴを発表後、各ディビジョンの名称について、新B1が「B.LEAGUE PREMIER(略称B.PREMIERE)」に、新B2が「B.LEAGUE ONE(略称B.ONE)」に、新B3が「B.LEAGUE NEXT(略称B.NEXT)」になると発表した。
「B.PREMIERE」は現状のB1よりもさらに上のレベルとして設定されるもので、本気で世界の頂点を目指すリーグと紹介。スタート時は最大18チームになる。世界水準かつ日本最高峰のレベルを示しつつ、高いレベルの試合を行うことで国際競争力の高い選手を作ることを目指し、競技力、エンタメ、ビジネスの面でも世界水準を目指すとしている。

続いて「B.ONE」はおそらく30クラブほど在籍になると紹介。現状のB1レベルを想定するもので、全国に点在して裾野を広げ、バスケを国民的スポーツにすること。地域vs.地域という構図を作って熱量アップを促す狙いがあると説明。こちらは当初2,400名平均入場者数を条件にするとしていたが、状況を鑑みて仮ライセンスとして1,500名にすると発表している。

そして「B.NEXT」は、プロ水準を目指すためのリーグ(12〜16チームを想定)。1選手の育成という部分でもそうだが、安定したクラブビジネスの基盤を築くためのもので、「B.ONE」への昇格をうながしていくという。今回の発表では、2030年くらいには「B.ONE」に統合される想定としている。またこれまでB3に関しては、Bリーグとは別組織となっていたが、2026年からはBリーグに属することになるという。


続いて、島田チェアマンは“地方創生に貢献するリーグ/社会問題解決に助するリーグ”“ダイバーシティ(多様性)”“全試合接戦を目指す(魅力アップ)”“経営力保持し関わるすべての人が幸せになる”というリーグの最上位概念を紹介したうえで、リーグに導入予定の「アグレッシブな制度設計」について説明した。

■1:サラリーキャップ
・選手均衡化を図ると共に選手にとって夢のあるものにしたい。チーム運営が成り立つ中での設定で下限も設定。チーム、選手がウィン-ウィンとなるものを目指す。※増田匡彦常務執行役員から「各チームに1億円プレーヤーが生まれるような状況を考えている。現状それだけもらっている人が減ることはない」と説明もあり

■2:登録、ロスター、オン・ザ・コート
・B.PREMIERの外国籍登録は3人か4人(未確定)、登録12名の中でコーチが自由に選手を演出できるオン・ザ・コート・フリー制度
・B.ONE:日本人のプレー機会を作るためにも2-1-1-2(Qごとの上限)、または1-1-1-1を検討中。

■3:選手流動性
・出場機会が得られない選手について、柔軟なレンタル(Wチーム選手)制度を設ける(B.PREMIERの選手がB.ONEでプレー、その場合サラリーはB.PREMIERチーム負担)。
・B.ONE、B.NEXTの選手がB.PREMIERでプレーする場合は、育成保証金を移籍元に支払う

■4:ドラフト
・2026年より導入予定。練習施設・トレーニング施設といった環境面などチームによっての差を極力なくすための条件も設ける。

■5:カーディング(スケジュール)
・B.PREMIERは週末試合と平日試合(週分散開催 ※日〜土16試合共存)をバランスよく開催
・B.ONE、B.NEXTは週末開催(28試合)+水曜開催(2試合)
・代表活動と並行してリーグ戦は開催(試合の14日前から合宿に送り出してリーグ続行)

■6:ポストシーズン
・B.PREMIERは、3戦先勝方式でホーム&アウェイ方式導入を検討(施設予約していて開催中止となった場合のキャンセル代などの問題は残っている)。
・B.ONEは16チームでのプレーオフ
・B.NEXTは現行B3と同様


これらの決定に関しては、Bリーグの判断基準である(1)社会性、(2)経営力、(3)強化というポイントに照らし合わせてのものだと紹介。社会性という観点から「2028年に全47都道府県にクラブを誕生(現状41)」に、強化という観点から「2030年にはBリーグから5人のNBA選手輩出(現状0)」に、経営力という観点から「2028年に総入場者数を500万人、事業規模を500億円に(現状320万人、300億円)」、「B.PREMIERの平均入場者数を6,000人に(現B1は3,466)」、「B.ONEの平均入場者数を3,000人に(現B2は1,335)」と具体的な目標数値も発表。これとは別にレフェリーのプロ化にも着手しており、現在10名いるが、2026年にはB.PREMIERの全ゲームにプロレフェリーがいる状況を作るとしている。

島田チェアマンは「世間的には攻めている内容だと思う。500人以上いる選手にとっても、夢があるリーグを作りたい。それは将来を担う子供達のためでもある。持続可能性がある世界観を作り上げるためにも今のままではいけない、応援する方、支える方、競技する方、全体を応援して価値を作っていきたい。どこかでやらないとといずれ(リーグには)成長痛が来ると覚悟してのもの」と並々ならぬ思いでリーグとして決めたことと語ると、「今回発表したことが、10年後、20年後、日本バスケを変える布石になる」と力強く語った。


文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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