月刊バスケットボール6月号

大学

2023.07.24

【第2回WUBS】山﨑一渉所属、ラドフォード大のバスケットボール - ダリス・ニコルズHCが語るエキサイティングなラン&ガンスタイル

810日(木)の開幕までいよいよあと3週間を切ったWUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)。この大会にアメリカから来日して出場するラドフォード大のダリス・ニコルズHCが、月刊バスケットボールWEBとの独占インタビューに応じた。ニコルズHCは、飛躍を収めた昨シーズンをチームの特徴に触れながら振り返り、WUBSへの豊富、そして山﨑との出会いから現在までの学生生活の支援など、興味深い話を語ってくれている。


仙台大明成出身の山﨑一渉が2年生として在籍するラドフォード大は、NCAAディビジョン1のビッグサウス・カンファレンスに所属するチーム。WUBSでは811日(金=DAY1)の第2試合(Game213:30ティップオフ予定)で高麗大と初戦を戦う。

大学としては元来、教育関係の人材育成機関としての歴史を歩んでおり、ラドフォードという名前はキャンパスの所在地であるバージニア州ラドフォードに由来している。ハイランダーズというニックネームは、この地に受け継がれているスコットランドとアイルランドの伝統に関連しており、ラドフォードの町自体もこの伝統を大切にする祭典などの催しを毎年行っているそうだ。

NCAAディビジョン1のバスケットボールでは、俗に「パワー・シックス」と呼ばれる全米トップクラスの強豪チームが集まる6つのカンファレンスが毎年注目の的となるが、真にその奥深さを物語るのは、それ以外のカンファレンスから光を放つ有力校やタレントたちの存在だ。そしてハンランダーズは間違いなくそんな存在の一つであり、2023-24シーズンでも勢いのあるチームといえるだろう。

ニコルズHCがラドフォード大のヘッドポジションに就いたのは2021-22シーズン。最初のシーズンは1118敗と負け越し、NCAA」ディビジョン1のヘッドコーチとして洗礼を受けた形となったが、翌2022-23シーズンは13人の新メンバーを迎え入れたチームで2115敗(ビッグサウス・カンファレンスでは126敗)と勝ち越し、カンファレンス・チャンピオンシップで準決勝に進出。この好成績を評価されて招待を受けたCBICollege Basketball Invitational=ポストシーズンのビッグトーナメントの一つ)でも準決勝進出を果たすに至っている。 


ラドフォード大のコーチングスタッフ。左から2番目がダリス・ニコルズHCで、アシスタント陣は左からティモシー・ピート、シェーン・ニコルズ(ヘッドコーチの実兄)、ジェームズ・ハリング(写真/©Radford University Athletics)

【関連記事】第2回WUBSが東海大、白鷗大、山﨑一渉所属のラドフォード大など8チーム出場で8月に開催決定
Sun Chlorella presents World University Basketball Series大会公式サイト

チームのダイバーシティーがプラスに働き飛躍を遂げた2022-23シーズン

――まずは2022-23シーズンについてお伺いします。ご自分では昨シーズンの仕事をどのように評価していますか?

1年目から2年目にかけて、私たちは大きな飛躍を遂げたと思います。1年目はどうしても厳しくなるものです。まずは自分の信念や文化を、スタッフやプレーヤーに浸透させる必要がありますからね。慣れるのに1年かかり、勧誘して良い関係を築いたプレーヤーを迎え入れ連れられたことで、1年目から2年目にジャンプすることができました。

――本当に急速な変革だったと思います。NCAAディビジョン1のバスケットボールでトランスファー・ポータル(他大学への転入を望むプレーヤーがその意思を公示するシステム)が話題となる時代とはいえ、勧誘は簡単ではなかったと思います。強力なチームをまとめることができた成功の要因は何だったのでしょうか?

適切なプレーヤーを正しく評価できたのだと思います。才能あるプレーヤーを加えたというだけではなく、彼らは人格的にも優れたプレーヤーなんです。非常に利他的な考え方をできるんですよ。そうした適切な人材をトランスファー・ポータルの時代に見つけるのは難しいことですが、私たちはそれをうまくやれたと思います。才能と個性をまとめていくのもさらに難しい仕事ではあるんですけれどね。

――その点では何がうまくいったんですか?

チームとしてまとまる助けになったのは、異なる国や文化からやってきたプレーヤーがたくさんいたことだったと思います。日本、ハンガリー、セネガル、マリから人が集まれば、バスケットボール・プレーヤーとしてはもちろんですが、人としてお互いについてより多く学ぶために質問し合うようになるものです。

例えば私も、日本の文化に慣れようとして、気がつくとイブにたくさんの質問をしていることがあるんです。うちにはハンガリー出身のプレーヤーもいますが、私もハンガリーでプロとしてプレーしていました。プレーヤー同士の間でも今は日本語を話そうとしていて、お互いの仲間について学べるようになっていて、それが私たちの団結につながったと思います。チームには素晴らしい状況ですよね。

――チームとしてどのようなプレーをしているのかについても大変興味があります。“ハイランダーズ”バスケットボールとはどんなものでしょうか?

我々はとことんタフで、強靭なフィジカルがあります。今シーズンは2人のビッグマンと3人のガードでプレーします。昨シーズンは4人のガードでプレーしましたが、それもうまく取り入れて、さまざまなスタイルで戦うつもりです。3Pショットもどんどん打っていきますし、楽にレイアップで得点できるようなオフェンスを展開していきます。最大のポイントは多くのプレーヤーを起用することで、ベンチのメンバーもどんどん使って相手チームを消耗させていきたいです。


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柴田 健/月刊バスケットボールWEB

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