月刊バスケットボール6月号

【関東大会・女子】タフなディフェンスと決定力を見せた千葉経済大附が関東女王に!

  • 関東ブロック大会バスケットライブ

77回 関東高等学校バスケットボール選手権、女子大会は11日、山梨県の小瀬スポーツ公園体育館で2日目の競技を開催。Aブロック、Bブロックとも準決勝、決勝が行われ、Aブロックは千葉経済大附(千葉②)Bブロックは下妻第一(茨城②)がそれぞれ優勝を飾った。


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<Aブロック準決勝1>

千葉経済大附(千葉②) 8028-716-1417-1219-3063 明星学園(東京①)

 

<Aブロック準決勝2>

土浦日本大(茨城①) 5711-915-1216-915-1848 昭和学院(千葉①)

 

<Aブロック決勝>

千葉経済大附(千葉②) 6915-1019-918-2017-1352 土浦日本大(茨城①)

 

終始強度を落とさなかった千葉経済大附が優勝!

 

Aブロック決勝戦のカードは、関東新人優勝の土浦日本大と、千葉県2位で今大会に挑んだ千葉経済大附のマッチアップとなった。準々決勝で東京成徳大(東京②57-54)、準決勝で昭和学院(57-48)と共に大接戦を勝ち上がった土浦日本大に対して、千葉経済大附は準決勝の明星学園戦では前半で44-21と圧倒。最終的スコア80-63と快勝する対照的な勝ち上がりとなった。

 

序盤は両チーム共にダブルヘッダーの疲れもあってか、ショットが短くロースコアな立ち上がりとなる。その中でも千葉経済大附はセンターの#4角陽菜多と#5坂口彩花の中外2枚看板が機能し、じわじわと点差を付けていく。対する土浦日本大はなかなかアウトサイドショットが決まらない中、#4岡﨑真依と#7飯田苺を中心にディフェンスからのブレイクで食らい付く。

オールラウンドがスキルで得点を量産した土浦日本大#4岡﨑 


続く2Qで試合が動く。土浦日本大のシュートタッチが戻らない中で、千葉経済大附はインサイドを強調しアドバンテージを取っていく。土浦日本大にとって痛かったのは、相手センター陣に得点されたことはもちろん、大黒柱の#8檜山凛々華がファウルトラブルに陥ってしまったことだ。力強いリバウンドやドライブでチームを支える檜山を欠いたことで、得点はできても守り切れない展開が続く。

 

檜山は準決勝の昭和学院戦の終盤にもファウルアウトしてしまい、川満有紀コーチも「まだまだ波のある子なので、しっかりと集中できているときはファウルも抑えてアジャストもできるしすごく良いんですけど、今日の2試合はなかなか集中し切れていなかった」と、中心選手の離脱が誤算となり、前半で34-19と千葉経済大附が大きくリードした。



初速の突破力が千葉経済大附#5坂口のドライブのすごさだ 

後半は一転、点の取り合いとなるが土浦日本大が差を詰めようとするたびに千葉経済大附も確実に返し、前半の点差が最後まで詰まらず。特に千葉経済大附#5坂口(ゲームハイ26得点)が後半にステップアップ。前半から要所で得点はしていたが、後半は土浦日本大のオフェンスにリズムができかけるたびに持ち味の力強いドライブでその流れを絶っていった。「ずっとドライブが自分の武器だと思っているのですが、(決勝の後半でも)一度良いドライブが決まったときに今が攻め時だなと思って、思い切ってチャレンジしました。思ったより通用したと思います」と#5坂口。

 

最終スコアは69-522日間で4試合という過密スケジュールの中でも、最後まで強度を落とさなかった千葉経済大附が、インターハイ予選に向けて弾みを付ける快勝優勝を飾った。

千葉経済大附・池端直樹コーチは「ウチは守りから入るチームです。その中で相手の4番(岡﨑)と7番(飯田)のところが能力の高い選手ですが、ある程度守れたのかなと思います」とディフェンスに及第点の評価。オフェンスについても「(後半の点の取り合いにも負けなかったのは)体力などの身体的な部分、それと精神的な部分が出ました。特に#5坂口は相手が苦しいときにガッとドライブで点を取ってくれたり、まだまだ足りませんが、だいぶそういうことができるようになってきたと思います」とインターハイ予選を見据える上で収穫もあったようだ。

 

一方の土浦日本大・川満コーチは「体力的なところは相手も同じでしたが、メンタル的なところの差が出たなという試合でした。うちもトレーニングはかなりしていると思いますが、それがこの2日間のような苦しいときにどれだけ出せるのか。今日はルーズボールなどでも負けていたし、そういうところが差になったと思います」と敗因を語った。

 力強いインサイドプレーに加え、ミドルシュートの正確性も見せた千葉経済大附#4角


両チームともに昨年から主力だった選手が複数残り、今年は全国上位進出も狙える戦力を有している。しかし、千葉経済大附が今大会の予選で昭和学院に敗れていることや、茨城県も土浦日本大、下妻第一、明秀学園日立の“3強”状態であるなど、まずはインターハイ出場前に過酷な戦いが待っている。その意味では両チームともに今大会で課題・収穫を持ち帰れたことは予選に向けて好素材となったはずだ。

また、3位となった昭和学院と明星学園、さらには今大会は準々決勝で土浦日本大に惜敗(54-57)した東京成徳大も関東新人大会で優勝を飾った実力校だ。総じて関東女子勢には大きな力の差はなく、特に上位陣は実力伯仲の模様。来るインターハイ予選からも目が離せない。

なお、Bブロックでは下妻第一が幕張総合(千葉④)を大差(67-48)で下し優勝。司令塔の#13滝本絵里菜ら4選手が2桁得点を挙げるバランスの良い得点に加え、チーム全体でボールを動かす見事なパスワークを見せた。



取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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