月刊バスケットボール6月号

【関東大会・男子】日本航空が圧巻の2年生コンビの活躍でAブロックを制覇!

  • 関東ブロック大会バスケットライブ

第77回 関東高等学校バスケットボール選手権、男子大会は4日、茨城県のアダストリアみとアリーナで2日目の競技を行い、Aブロック、Bブロックとも準決勝、決勝が行われ、Aブロックは日本航空(山梨)、Bブロックは埼玉栄(埼玉)がそれぞれ優勝を飾った。



<Aブロック準決勝1>
日本航空(山梨) 75(20‐10、17‐19、21‐10、17‐24)63 土浦日本大(茨城)

<Aブロック準決勝2>
正智深谷(埼玉) 99(15‐23、19‐22、29‐14、36‐17)76 宇都宮工(栃木)

<Aブロック決勝>
日本航空 91(23‐24、22‐20、21‐16、25‐18)78 正智深谷


これから経験を積み重ねることでさらなる成長の予感

決勝は、準決勝で宇都宮工に対して前半で11点のリードを許しながら、後半に本来の持ち味であるディフェンスの強度を高めて逆転勝ちを収めた正智深谷と、クォーターごとに流れが行きしながら、最後は土浦日本大の追い上げを振り切った日本航空との顔合わせとなった。



試合は、正智深谷が♯9グビノグン オサゼ デロックのゴール下で先制。日本航空も各選手の士気あふれるプレーで対抗するが、♯8秋穂将斗が体勢を崩しながらシュートを決め切るなどして序盤をリードしたのは正智深谷。しかし、日本航空も♯30大道一歩の3Pを起点に追い上げの機運を高め、1Qは正智深谷が24‐23と僅か1点のリードで終える。



続く2Qは、日本航空♯ 23オルワペルミ・ジェラマイアのダンクが決まり、日本航空が25‐24と逆転に成功してスタート。だが正智深谷も、日本航空の激しい攻防に苦しみながら我慢の時間を積み重ね、その中で♯7市川大徳の連続3Pなどでリズムをつかみ、36‐28と一歩リードしたかに見えた。しかし、ここから日本航空は♯58中西哲太の3P、さらに♯23オルワペルミのバスケットカウント、ダンクなどで38‐36と一気に逆転。♯23オルワペルミはさらにもう一発ダンクをさく裂させ、最終的に前半は日本航空の45‐44と僅か1点差ながらも、会場の雰囲気は次第に日本航空の攻め気あふれるプレーと、♯23オルワペルミの圧巻のパフォーマンスに支配されていった。



3Q序盤は、準決勝で苦しみながら逆転勝ちした反省も踏まえ、正智深谷が粘りのディフェンスで対抗。両チームの攻防が行き来し、互いに逆転を繰り返す展開に。しかし、前半で派手なダンクを見せ付けた日本航空#23オルワペルミは、ここでは地道なリバウンドやブロックで大いに存在感を発揮。その積み重ねにより、3Qでは日本航空が66‐60と一歩リードを奪った。



迎えた最終4Q。日本航空は♯23オルワペルミのダンク、♯58中西の3Pで71‐60とついにリードを2桁に広げ、その勢いのまま見事Aブロックの優勝を飾った。この試合、数値的には#23オルワペルミの40得点、34リバウンド(オフェンス5、ディフェンス29)が目立つが、彼に続く得点(27得点)を稼ぎつつ仲間を生かすボールさばきを見せたガード♯30大道のゲームメイクや、2日間で4試合というハードスケジュールでも最後まで衰えることのなかった走力を見せたことも、日本航空の戦いを振り返る上で重要なポイントだろう。♯23オルワペルミ、♯30大道ともまだ2年生。関東の各都県はこれからインターハイ予選を迎えるところだが、それも加味した上で、今年、そして来年と日本航空は要注目のチームとなりそうだ。



日本航空の嶋内誠コーチは、「(♯23オルワペルミ以外は)やはり小さいチームですので、『ディフェンスを頑張ってブレークしかない。とりあえず頑張ろう』という話をしていました。(優勝という結果に)私が思っている以上に力はあるのかなとは思いますが、やはり2年生主体のチームであるだけに、まだ経験の少ない選手もいます。この優勝をいい経験にして、これからインターハイなど上の方につなげていければ」と、今回の優勝に確かな手応えを感じつつ、チームのさらなる成長を期していた。





一方、準優勝となった正智深谷の成田靖コーチは、「今年はすごく点数が取れるチームなのですが、その分、守りが薄い。ですから、(逆転勝ちを収めた準決勝の宇都宮工戦のハーフタイムでは)『やり合ってはだめだよ。まずはしっかり守ることをしないと正智深谷の良さが出ないから』という話をしました」と振り返った。そして決勝の日本航空に対しては、「留学生(♯23オルワペルミ)のところを意識しすぎて、他の選手をもう少し守りにいけたはずなのに、やはり宇都宮工戦と同じで、どうしてもやり合ってしまいましたね」と、これから迎えるインターハイ予選に向けての課題を語った。一方、得点面では、準決勝では#4三村蓮が14得点、♯7市川、♯8秋穂が13得点、♯9グビノグンがチームハイの28得点、そして♯18岡野一輝が18得点と5人が2桁得点を挙げ、チームトータルでも99得点と非常にハイスコアな数字をたたき出している。この得点力はそのままに、正智深谷本来の厚い守りを徹底できれば、この後の県予選を経てという前提ではあるが、例年同様にインターハイでも注目チームの一つとなるだろう。








<Bブロック準決勝1>
湘南工科大附(神奈川) 111(26‐26、28‐26、18‐27、20‐13、19‐9)101 國學院大久我山(東京)

<Bブロック準決勝2>
埼玉栄(埼玉) 93(24‐18、27‐13、28‐6、14‐17)54 東海大菅生(東京)

<Bブロック決勝>
埼玉栄 95(30‐15、23‐19、23‐18、19‐21)73 湘南工科大附


Bブロックは埼玉栄がインターハイ予選に弾みをつける優勝

Bブロック決勝は、準決勝で延長戦の末に國學院大久我山を破った湘南工科大附と、東海大菅生に対して攻防で終始、優勢に運んだ埼玉栄の対戦に。

埼玉栄は♯34孫啓釗を中心とした厚いディフェンスで湘南工科大附の攻撃に立ちはだかる一方、一度ボールを奪った後の切り返しも早く、取られてもすぐに取り返す、そして連続得点という好循環で、1Qから30‐15とダブルスコアのリードを奪う。







その後、湘南工科大附も#3米山莉生、♯14木村怜嗣らが奮闘し、必死に追い上げに挑むがあと一歩及ばず、埼玉栄が優勝を飾った。





埼玉栄の小野凌アシスタントコーチは、「チームキャプテンの♯5伊東隼人、ゲームキャプテンの♯8眞壁啓太を中心に、(2日間)4試合を通して体がよく動いていたと思います」と最後まで見事に戦い切ったチームをたたえた。その上で、これから迎えるインターハイ県予選に向けては、♯34孫を中心としたリバウンドの徹底力を課題に挙げ、「正智深谷さんに胸を借りるつもりで、全力で挑みたいと思っています」と強い意気込を語った。






『令和5年度関東高等学校バスケットボール大会 兼 第77回関東高等学校バスケットボール選手権大会』特設ページ
https://www.basketball-zine.com/article/detail/112853


取材/村山純一(月刊バスケットボール) 写真/山岡邦彦

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