月刊バスケットボール6月号

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2023.06.12

【第2回WUBS】東海大が初戦で対峙するNCCU(国立政治大/チャイニーズ・タイペイ)は相当厄介な強豪

©WUBS

810日(木)から13日(日)にかけて、世界の強豪8大学が国立代々木競技場第二体育館に集い、王座を目指して激突する第2WUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)。この大会で、日本から第74回全日本大学バスケットボール選手権大会は(インカレ)チャンピオンの肩書きを背負って出場する東海大が最初に対戦するのは、日本と同じ極東の朋友、チャイニーズ・タイペイからやってくる国立政治大学グリフィンズ(以下NCCU[エヌ・シー・シー・ユー]と記述=National Chengchi Universityの略)と発表された。


両チームは昨年もWUBSで対戦し、そのときは東海大が90-74で勝利している。しかしその後のNCCUの戦績や個々のプレーヤーの活躍を見ると、昨年と同じような展開にはならない可能性が非常に高いと感じられる。いや、インカレ王者として臨む東海大としても、相当厳しい相手ではなかろうか。いったいどのようなチームなのか、少し深堀りして紹介してみたい。

【関連記事】第2回WUBSが東海大、白鷗大、山﨑一渉所属のラドフォード大など8チーム出場で8月に開催決定
Sun Chlorella presents World University Basketball Series大会公式サイト

チャイニーズ・タイペイの大学界で3年連続王座の強豪NCCU

チャイニーズ・タイペイは日本の最西端である与那国島から海を隔てて約111kmしか離れていない。親日家や日本を複数回訪れる人が多いと言われ、かつて50年間にわたり日本が統治した時期があることから、高齢な人々の中には日本語を話す人も多いと言われる。そのためこれまでに、バスケットボール界においても盛んな交流が行われてきた。初代FIBA事務総長の名を冠して1977年に始まったウィリアム・ジョーンズカップ(毎年台北で開催、直近3大会はコロナ禍で開催中止)への日本代表男女チームの参加は友好の象徴とも言えるだろう。日本にとっては非常になじみ深い地域だ。

男子代表の状況を見ると、FIBA世界ランキングでは日本の36位に対しチャイニーズ・タイペイは69位。今夏のワールドカップに向けたアジア地区予選でも、点差を開けて日本が2連勝している。しかし代表活動でも学生を含め若手に機会を与えて強化に取り組んでいるし、現地事情としては複数のプロリーグが混在するなど、バスケットボール界の活性化が急激に進んでいる状況だ。


FIBAワールドカップ2023アジア地区予選の対中国第2戦でのチーム写真。前列右端の#1リン ヤンティン、その隣の#7ユー アイジェ、その後ろの#15チャン チェンヤはNCCUのメンバーとして昨夏のWUBSで来日したプレーヤーだ(写真/©FIBA.WC2023)

2020年にはあらたに創設されたP.LEAGUE+というプロリーグが開幕。今年日本で行われたEASL(East Asia Super League)に台北富邦ブレーブスが参戦したことや、高雄スティーラーズが元NBAのジェレミー・リンを獲得したことなどで、世界的な知名度を獲得した。はた目には少し前の日本の状況が目に浮かぶような環境で、間違いなく急速な発展の波が押し寄せている。

そのような環境下でWUBS2年連続出場を果たすNCCUは、近年有能なタレントを輩出するとともに大学バスケットボール界のトップに君臨している大学だ。ファンからはグリフィンズという正式なニックネームのほかに、しばしば政大雄鷹(Zhengda Eagles)とも呼ばれている。創部は2017年と歴史としてはまだ若いが、チャイニーズ・タイペイの大学年間王座を決めるUBA(University Basketball League)では3連覇中であり、2021年から夏場に行われているカップ戦の王輝盃(Wang Hui Cup)でも2連覇を達成した。

ヘッドコーチを務めるチェン ツーウェイ(陳 子威)は、NCCUグリフィンズの歴史に残る初のUBA王座にとどまらず3連覇でダイナスティーを作り上げたが、コーチとしての実績はそれだけではない。国立台湾師範大でアシスタントを務めていた当時に、やはりUBAでチーム3連覇に貢献している。

Sun Chlorella presents World University Basketball Series大会公式サイト


昨年のWUBSより。緊迫した表情でプレーヤーに指示を出すNCCUのチェン ツーウェイHC(写真/©WUBS)

文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

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