カーメロ・アンソニー引退発表、“私の遺産は息子を通して永遠に生きていく”
NBA1年目から活躍したカーメロ・アンソニー
「私の遺産。息子よ、それは君の中にあるんだ」
5月22日、今季チーム未所属だったカーメロ・アンソニーがSNSに投稿した動画を通じて、現役引退を発表した。現在38歳のアンソニーはNBAで19年プレイ。アメリカ代表では2008年北京、12年ロンドン、そして16年リオデジャネイロ大会とオリンピックで3度の金メダルを獲得している。「別れを告げる時が来ました」と動画内で語ったアンソニーは、自身の遺産は“息子を通して永遠に生きていく”と語った。
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動画は高校・大学時代、NBA、アメリカ代表でのハイライトが編集されており、ソファーに座るアンソニーはカメラ目線で、「私のコミュニティ、私が誇りを持って代表した都市たち、そしてその道で私を支えてくれたファンたち。私は皆さんとフランチャイズに永遠に感謝します。なぜならそれらが私をカーメロ・アンソニーにしてくれたからです。今、私は自分の名前を作ったコートに、私に目的と誇りを与えてくれたゲームに、別れを告げる時が来ました。しかし、このNBAとのほろ苦い別れは、私に将来何が待っているのか、わくわくするものです」と引退を決意したと語っている。
オークヒル・アカデミー高を卒業してシラキュース大へ。1年生にしてチームの中心として活躍すると、NCAAトーナメントで優勝。そしてレブロン・ジェームズ(現レイカーズ)、ドウェイン・ウェイド(元ヒート)らと共に2003年ドラフト1巡目3位指名を受けてナゲッツ入り。非凡な得点力を武器に1年目からチームの中心としてプレイする。さらに3年目の2006-07シーズンではオールスターゲームに初出場。また同年途中からはアレン・アイバーソンとチームメイトとなってプレイしている。
ナゲッツで7シーズン半プレイすると2010-11シーズン途中からニックス、2017-18シーズンはサンダーで、2018-19はロケッツ、2019-20からブレイザーズで2シーズンプレイ。昨季はレイカーズで同期のジェームズとチームメイトとなった。NBA19年のキャリアの中では、平均28.7得点を奪って得点王(2012-13)、オールスターゲーム選出10度、オールNBAチーム選出6度、NBA史上最も偉大な選手75人選出のほか、歴代9位となる通算28,289得点をマークしている。NBAファイナル進出、そしてチャンピオンを経験できなかったことは心残りかもしれないが、まさに21世紀のNBAシーンを彩った素晴らしいキャリアだったと言える。
ドラフト同期のウェイドは、ニックス時代にコート上でハグを交わした写真と共に「これは記録に残る一枚だよ、ブラザー!引退おめでとう」と投稿。そして本日、カンファレンス・ファイナル第4戦をプレイしたあと、ジェームズは「発表があることはすでに知っていたんだ。正直まだほろ苦いな。彼はこのリーグに入る前からの親友の一人だ。高校時代から競い合い、夜中にホテルの外の階段に座って互いの道のりを話した。これから何ができるか、母のため、家族のために何ができるかなど話したし、私たちは互いに刺激し合ってきた。NBAに入ってからも、そうだったね。最初の2シーズンは自分の試合後、部屋に戻って彼のプレイを見たりしていた。1年目、彼のプレイオフをデンバーで見た記憶もある。偉大な友人の一人だからね。素晴らしいランだし、素晴らしい結果だし、素晴らしいキャリアだ。何があっても、私たちはいつも一緒にいるんだ」と語っている。
“NBAとのほろ苦い別れは、私に将来何が待っているのか、わくわくするもの”と語るアンソニーが今回“私の遺産”と語ったのが息子であるキヤンである。
「私の遺産は何かと問われたら、思い浮かぶのはコート上で成し遂げた偉業ではない。賞や賞賛でもないんだ。なぜなら、私の物語は常にバスケットボールを超えるものだったからです」と切り出したアンソニーは続けて「私の遺産。息子よ、それは君の中にあるんだ。私は君を通して永遠に生きていく。君がこの聖なる火を運ぶべき時が来たんだよ。だからキヤン、夢を追いかけるんだ。何者にもジャマされないように。何者にも邪魔されないように。私の遺産は、今も昔も、君を通して生き続けています。そして私は、あなたがするすべてのことを常に誇りに思う」と想いを言葉にした。
現在、ニューヨークのロングアイランド ルーテル高に所属するキヤンは16歳。昨年12月にはレブロン・ジェームスの息子たち(ブロニーとブライス)、そしてスコッティー・ピペンの息子ジャストンと対戦したことで話題となっている。
■カーメロ・アンソニーキャリアスタッツ
シーズン | チーム | G | MPG | FG% | 3P% | FT% | ROG | APG | PPG |
2003-04 | DEN | 82 | 36.5 | .426 | .322 | .777 | 6.1 | 2.8 | 21.0 |
2004-05 | DEN | 75 | 34.8 | .431 | .266 | .796 | 5.7 | 2.6 | 20.8 |
2005-06 | DEN | 80 | 36.8 | .481 | .243 | .808 | 4.9 | 2.7 | 26.5 |
2006-07 | DEN | 65 | 38.2 | .476 | .268 | .808 | 6.0 | 3.8 | 28.9 |
2007-08 | DEN | 77 | 36.4 | .492 | .354 | .786 | 7.4 | 3.4 | 25.7 |
2008-09 | DEN | 66 | 34.5 | .443 | .371 | .793 | 6.8 | 3.4 | 22.8 |
2009-10 | DEN | 69 | 38.2 | .458 | .316 | .830 | 6.6 | 3.2 | 28.2 |
2010-11 | DEN-NYK | 77 | 35.7 | .455 | .378 | .838 | 7.3 | 2.9 | 25.6 |
2011-12 | NYK | 55 | 34.1 | .430 | .335 | .804 | 6.3 | 3.6 | 22.6 |
2012-13 | NYK | 67 | 37.0 | .449 | .379 | .830 | 6.9 | 2.6 | 28.7 |
2013-14 | NYK | 77 | 38.7 | .452 | .402 | .848 | 8.1 | 3.1 | 27.4 |
2014-15 | NYK | 40 | 35.7 | .444 | .341 | .797 | 6.6 | 3.1 | 24.2 |
2015-16 | NYK | 72 | 35.1 | .434 | .339 | .829 | 7.7 | 4.2 | 21.8 |
2016-17 | NYK | 74 | 34.3 | .433 | .359 | .833 | 5.9 | 2.9 | 22.4 |
2017-18 | OKC | 78 | 32.1 | .404 | .357 | .767 | 5.8 | 1.3 | 16.2 |
2018-19 | HOU | 10 | 29.4 | .405 | .328 | .682 | 5.4 | 0.5 | 13.4 |
2019-20 | POR | 58 | 32.8 | .430 | .385 | .845 | 6.3 | 1.5 | 15.4 |
2020-21 | POR | 69 | 24.5 | .421 | .409 | .890 | 3.1 | 1.5 | 13.4 |
2021-22 | LAL | 69 | 26.0 | .441 | .375 | .830 | 4.2 | 1.0 | 13.3 |
文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)
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