月刊バスケットボール10月号

W杯で日本と戦うフィンランド、“死の組”を勝ち抜く自信を覗かせているとFIBAが紹介

日本とフィンランドは8月27日に対戦


FIBA(国際バスケットボール連盟)は5月15日、オフィシャルサイトで「FIBAワールドカップ2023」で日本(FIBAランク36位)と共に“死の組”と言われるグループEに入ったフィンランド(同24位)が、自信を覗かせていると紹介した。

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4月末に行われた抽選会で“スシイェンギ(チームの愛称、群狼作戦の意)”ことフィンランドは、日本、オーストラリア(同3位)、ドイツ(同11位)と同じグループEに入った。日本代表“AKATSUKI JAPAN”を率いるトム・ホーバスヘッドコーチは大会に向けて「NBA選手や新たな選手が入ったチームになるが、中心選手のことはすでにわかっている。その点では自信がある」と語っているが、フィンランド代表も番狂わせを起こすつもりでいるようだ。



フィンランドの指揮をとるラッシ・トゥオビヘッドコーチ


FIBAはフィンランドが“死の組”に入ったことに心配するどころか興奮しているようだと紹介。36歳と若いラッシ・トゥオビヘッドコーチは「ドイツとオーストラリアがメダル候補であることは周知の事実。(“死の国”と言われ)そのチームと競うことができる強いチームだと評価されることは、私たちにとっても日本にとっても大きな意味を持つ」と語っているという。

オーストリアは前回大会4位、東京2020オリンピックで銅メダルを獲得しており、ドイツは昨年のユーロバスケット2022で銅メダルを獲得しているチームなのだから、当然、今大会でも有力候補となる。

フィンランドのワールドカップ初出場はワイルドカードで出た2014年スペイン大会。その時は大会初戦でアメリカに55-114という大敗を経験したものの、続く2戦目にウクライナに81-76で勝利して1勝4敗で22位という成績となった。チームを率いたヘンリク・デットマンヘッドコーチ(当時)は、「アイスホッケー以外では我々は常に負け犬だ」と語ったという。しかし、チャレンジを続けることでチームは成長する。

当時アシスタントコーチを務め、今回チームを自力での出場に導いたトゥオビヘッドコーチは、「前回大会(予選敗退)は、力が足らなかった。目標を達成するためには、十分な数の挑戦が必要なんだ。(2014年大会を経験した)選手は、大会に向けて準備を進めている。そして数年前、私たちは沖縄で日本と対戦(71-76で日本が敗戦)したのだが、当時の若い戦力は、今やチームの中核を担う存在となっている」とロスターに自信を持っているようだ。

そのロスターでもって、昨年のユーロバスケット2022ではグループステージを突破。決勝トーナメントに進出して過去最高の7位で大会を終えている。決勝トーナメント1回戦では、FIBAランク25位のクロアチアに94-86で勝利。続く準々決勝で同1位・スペインに80-90と健闘したことも、自信につながっているはずだ。ちなみに、スペイン戦の1Qでは世界1位のチームに対して30-19のランを作っていた。

そのチームのエースは今季のNBAオールスターに選出され、MIPも受賞したラウリ・マルカネン(ジャズ)である。ユーロバスケットでは大会2位となる平均27.9得点を記録し、8.1リバウンドをマークした。当然、今大会にもフルパワーで臨んでくるだろう。

前出のデットマンは、「オーストラリア、ドイツというのは大きな存在だ。しかし、アメリカやスペインはさておき、世界大会では常にシンデレラ・チームが出るもの。我々はそのチームになろうとしている」と今回のフィンランド代表について可能性があると語っているという。

ワールドカップでフィンランドは、8月25日にオーストラリアと、8月27日に日本と、8月29日にドイツと対戦するスケジュールになっている。



自信を深めているというフィンランドチーム




文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: 男子日本代表 FIBAバスケットボールワールドカップ2023

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