月刊バスケットボール5月号

大学

2023.05.10

【大学バスケ】 日体大が21年ぶり21回目の優勝! -第72回関東大学選手権大会

下級生も多いチームだが思い切りの良さが光った日体大(写真/中村麻衣子)

 大学バスケの春の風物詩、スプリングトーナメント(「第72回関東大学バスケットボール選手権大会」)が5月7日に最終日を迎えた。男子は国立代々木競技場第二体育館を舞台に7位決定戦、5位決定戦、3位決定戦、そして決勝の計4試合を実施。結果的に、今シーズン最初のタイトルを勝ち取ったのは21年ぶりに決勝に進出した日体大。次いで白鷗大が準優勝、3位~8位は専修大、日本大、大東文化大、早稲田大、東海大、関東学院大という順になった。

 

☆5月7日の試合結果

東海大 7549 関東学院大(7位決定戦)

大東文化大 8265 早稲田大(5位決定戦)

専修大 6964 日本大(3位決定戦)

日体大 7558 白鷗大(決勝戦)

 

日体大はフレッシュなメンバーが躍動

 

 優勝した日体大は、3年生の#23ムトンボ・ジャンピエール、2年生の#7西部秀馬、#21月岡熙、#41石川響太郎といった昨年の関東新人優勝メンバーに、1年生の#4小澤飛悠を加えた5人がスタメン。下級生主体ながら接戦をものにする忍耐力があり、日筑戦のリベンジマッチとなった筑波大との5回戦(7571)を皮切りに、大東文化大との準々決勝(7671)、専修大との準決勝(6158)と、緊迫したクロスゲームを次々に制して決勝まで勝ち上がった。その決勝戦では1Qこそ白鷗大ペースだったものの、2Qから思い切りの良いプレーで流れをつかみ、4Qではシックススマン#9大森尊之の活躍もあって白鷗大を突き放すことに成功。ベンチメンバーも含めてチーム一丸でつかんだ21年ぶりの栄冠に、藤田将弘コーチは「優勝したことは誇れることだと思いますが、何より選手たちが成長していく過程がすばらしかった。今までの時間を振り返って、本当に楽しかったなと感じました」と目を細めた。

 
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 一方、昨年のスプリングトーナメント、インカレに続いて悔しい準優勝となった白鷗大。4年生の#24森下瞬真は悔し涙で目を赤くし、エースの#2脇真大も20得点を挙げたが「勝たせられなかったのは自分の責任」と反省の弁を述べた。ただ、ケガ人などで決して万全な状況ではない中、決勝のステージまで勝ち上がり、今後につながる課題などを見つけたことは確か。網野友雄監督は「どうしてもチームでやろうとして、誰かを探してしまう場面がありました。その点、日体大さんの思い切りの良さ、明確な役割分担というのは、勉強になったと思います。この悔しさを、今後の成長や変化につなげていければ」と先を見据えていた。

 

 

敗れたチームもそれぞれに収穫を持ち帰る

 

 専修大は、東海大との準々決勝で逆転勝利を収めるも、続く日体大との準決勝では3Qに付けられた点差を追い付けず。とはいえ日本大との3位決定戦では引き締まったディフェンスを見せて5点差で逃げ切り、銅メダル獲得となった。佐々木優一監督は「短い時間でしたが1年生も入れた布陣を試すこともでき、リーグ戦に向けて良い材料ができました。それに去年に比べて今年は我慢強さが足りないのではという不安があったのですが、期待以上に我慢強く戦ってくれました」と、ある程度の合格点を与えていた。一方、日本大は準々決勝で早稲田大との延長戦を制したものの、その後は5点差以内で2連敗。キャプテン#8陳岡燈生が「新チームが始動するときに『クロスゲームを勝ち切れるチームになろう』と話し合ったのですが、まだまだ去年から最後の最後で取りこぼす弱さがあると思います」と言うとおり、接戦をものにする強さをリーグ戦で培いたいところだ。

 

 大東文化大は、準々決勝で日体大に敗れたものの、その後の順位決定戦は2連勝して5位にランクイン。キャプテン#4菊地広人はケガ明けだったこともあり「僕も含めて4年生の引っ張りというのが今大会は足りませんでしたが、下級生がそこをカバーしてくれて、リーグ戦やインカレにつながる手応えも少し感じることができました」と前向きだった。6位の早稲田大は、1年生の#0下山瑛司や#4城戸賢心もベンチから出て積極的なプレーを見せ、サイズはないものの機動力のあるバスケットを披露。エースの#13星川堅信は「大会が始まる前は、サイズの不利がかなり大きいのかなと思っていたのですが、“走るバスケット”で戦える感触をつかめたことは良かったです」と語っていた。

 

 東海大は、キャプテン#0黒川虎徹が捻挫により順位決定戦を欠場。代わってスタメンに入った#2轟琉維を筆頭に、1年生たちも経験を積む中、7位という結果で大会を終えた。#16西田公陽は「ケガ人が何人かいて難しい状況ではあったのですが、敗れた専修戦もみんなでファイトして戦えた部分がありましたし、ディフェンス、リバウンド、ルーズボールが自分たちを勝利に導くということを改めて実感しました」と語る。また、2部の関東学院大は、順決定戦を全敗して8位フィニッシュ。ただ、1部の強豪相手に胸を借り、貴重な経験値を積めたことは、ほかの2部のチームと比べても間違いなく大きなアドバンテージだろう。

 



取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

タグ: 月バス 関東大学バスケットボール連盟月刊バスケットボール

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