安間志織、海外挑戦2シーズン目が終了 - セリエA1、ユーロカップとも4強入りの健闘、イタリアカップは準優勝
©FIBA.EuroCup2022-23
安間志織が所属するベネツィア(Umana Reyer Venezia)が、日本時間4月26日未明(イタリア時間25日夜)に行われたイタリアの女子プロバスケットボールリーグ、セリエA1のプレーオフセミファイナル第3戦でスキオ(Familia Wuber Schio)に57-62で敗れ、シーズン敗退が決まった。ベネツィアはスキオとの3試合シリーズ(2戦先勝)のアウェイでの初戦を59-63で落とした後、ホームでの第2戦に76-51で快勝。タイに持ち込む大健闘だったが、この黒星でシリーズ成績が1勝2敗となり、ファイナル進出を逃した。
安間はこの試合で3Pショット成功2本を含む7得点、2リバウンド、2アシスト、3スティールを記録。プレーオフ全体では5試合で平均6.0得点、2.4リバウンド、1.6アシスト、2.3スティールの数字を残し、4強入りに貢献した。
昨シーズン所属したフライブルク(ドイツ)から移籍した安間はルーキーの立場だったが、今シーズンはチームに合流早々プレーメイカーとしてスターターに定着。セリエA1でレギュラーシーズン22勝4敗(勝ち点44)の3位とプレーオフ4強入り、ユーロカップではファイナルフォー、イタリアカップは準優勝とどのステージでもチームを好成績に導いた。
個人成績では長いシーズン中に数字にも上下動があったが、特筆するべき点がいくつもあった。オフェンス面では、まずユーロカップでのハイレベルなパフォーマンスが挙げられる。平均9.4得点はチーム3位、3P成功率41.2%は同2位(成功数14本も2位タイ)、3.7アシストは同トップで、1.4スティールも同トップタイ(総数20本は単独トップ)という数字だった。
この中で3P成功率はユーロカップ全体の21位タイ、アシストは32位、スティールは52位。48チームが参戦し、500人を超えるプレーヤーが登録されていた大会の中で、これらはいずれも高く評価できる成果と言えるだろう。
セリエA1では、レギュラーシーズンとプレーオフの通算による平均アシスト数(レギュラーシーズン4.1、プレーオフ1.6、通算3.7)がリーグ10位。また、前半戦で21.4%と苦戦気味だった3Pショットが、後半戦の13試合では37.1%に大幅に上昇したことと、フリースローでも成功数と成功率が大幅アップ(前半戦の平均0.6本、71.4%が後半戦で1.3本、89.5%に上昇)したことにも注目したい。
なかなか数字に現れないディフェンス面での貢献に関していえば、相手のプレーメイカーに簡単にボールを持たせない執拗さが間違いなく威力を発揮していた。安間はシーズン中に、無得点の試合が2試合——セリエA1のレギュラーシーズンのスキオ戦とイタリアカップ初戦のルパリ(Fila San Martino di Lupari)戦——あったが、その2試合で安間はいずれも20分以上の出場時間を得て、相手の起点をつぶす強度の高いディフェンスを展開し、チームの勝利に貢献している。
レギュラーシーズン終了間際のインタビューでも、安間はまず何よりもディフェンスに向けるフォーカスを強めていることを明かしていた。アンドレア・マッツォーンHCの起用方法にも、その点での安間への信頼がうかがえる。環境の違いや新しいチームのシステムへの適応が進むとともに、役割が明確になったことでアグレッシブさやシューティングの思い切りの良さも引き出されたことが感じられる傾向だ。
海外挑戦2シーズン目にはタイトル獲得こそならなかったが、WNBAで活躍するスター格やヨーロッパの上位国で代表に選ばれるプレーヤーが集まったハイレベルなタレントプールに身を投じて、大いに称えるべき大健闘。安間の今後に関するの情報はまだないが、更なる躍進への期待は高まるばかりだ。
文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)