月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2023.04.18

[Wリーグ ファイナル] Wオーバータイムの最終決戦をENEOSが制す。逆転で女王に返り咲き

ENEOSが女王に返り咲いた

417日、Wリーグファイナル第3戦が武蔵の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)にて行われた。第1戦は55-47でトヨタ自動車、第2戦は74-65でENEOSが勝利。第3戦はどちらが勝っても優勝の決まる最終決戦。トヨタ自動車はWリーグ連覇中で、今回勝てば3連覇。ENEOSの挑戦を退け、新時代を確固たるものとしたいところ。一方のENEOSは今シーズンの皇后杯女王で、トヨタ自動車にWリーグ覇者を譲る前、最多11連覇の偉業を成した常勝チーム。皇后杯との2冠達成で再びリーグの覇権を手にしたい…。そんな両チームが死闘を繰り広げた。

3戦は先行するトヨタ自動車にENEOSが付いていく展開。トヨタ自動車は川井麻衣がオフェンスをけん引。馬瓜ステファニーも3Pシュート。ドライブを決めるなど、2Qには一時19-127点のリードを奪うも、ENEOSはベンチメンバーの藤本愛瑚がバスケットカウント、速攻で加点し、流れを変える。トヨタ自動車は前半でシラ ソハナ ファトー ジャ、梅沢カディシャ樹奈がそれぞれ3ファウルとトラブル。そこをついた渡嘉敷がインサイドを攻め込み逆転し31-28で前半を終えた。



トヨタ自動車の馬瓜は20得点、14リバウンドのパフォーマンス

トヨタ自動車の馬瓜は20得点、14リバウンドのパフォーマンス


後半はディフェンスの激しさを増しながら一進一退。3Qが終わって42-42の同点。4Qも両者一歩も譲らず、ENEOSは渡嘉敷を起点に得点すると、トヨタ自動車は馬瓜ステファニーがしぶとく決め返す。終盤には山本が3Pシュート、ドライブでディフェンスを引き付けて梅沢にアシストと53-50とリードを奪うが、ENEOSの高田静が3Pを決め返して同点に追い付き、そのままお互いが守り切って決戦は延長に突入する。

延長で先手を取ったのもトヨタ自動車だったが、ファトー ジャがついにファウルアウトしてしまう。一方でENEOSは渡嘉敷、宮崎がフリースローを一本ずつ落とし、トヨタ自動車にとどめを刺せずに61-61で再延長にもつれるゲームとなった。

再延長に入るとトヨタ自動車の梅沢がファウルアウト。両チームとも疲労の色が濃くなる中、残り2分を切ったところで常にマークされ続けてきたENEOSのシューターの林咲希が一瞬のすきを突いて値千金の3Pシュート。さらにトヨタ自動車の宮下希保のシュートのリバウンドをつかんだ宮崎が、そのまま渾身のスピードでファストブレイクに持ち込みバスケットカウント。70-64一気に点差を開いた。追い付きたいトヨタ自動車は山本が3Pシュートを狙うが、これを読んでいた渡嘉敷がブロックすると、高田がルーズボールを拾ってファストブレイクにつなげ、ついに死闘に終止符。72-64で勝利したENEOSがファイナルを1敗からの2連勝で逆転優勝をさらった。

一瞬のスキをついて3Pシュートを決めた林

一瞬のスキをついて3Pシュートを決めた林


この試合20得点、13リバウンド、さらに相手のインサイド陣をファウルアウトに追い込んだ渡嘉敷来夢がプレーオフMVPを受賞。また、宮崎が17得点、高田が11得点と続いた。一方のトヨタ自動車は馬瓜が20得点、14リバウンド、川井が15点、山本が14点を記録した。

「結果は負けとなりましたが、みんなが死力を尽くしたベストゲーム。選手たちは50分間良く戦ってくれました」とトヨタ自動車の大神雄子ヘッドコーチ。馬瓜は「最後は勝ち負けより、ずっとこの時間が続けばいいと思うほど楽しかった。終わってみたら、相手の得点が上だったという感じです」と負けた悔しさは感じつつも、自分たちの力を出し切った充実感を感じているようだった。

 一方、優勝を果たしたENEOSの佐久本智HCは「こんな展開になるとは思ってもいなかった。我慢、我慢の連続、そんな中、選手たちが自分たちのプレーを信じて戦い抜いてくれました。オフェンスがうまくいかないときも、ディフェンス、リバウンドで我慢し続けて、自分たちにチャンスが来ると信じていました」と振り返る。


キャプテンとしてチームを率いた渡嘉敷がプレーオフMVPに

キャプテンとしてチームを率いた渡嘉敷がプレーオフMVPに

渡嘉敷も「長引けば、長引くほど自分たちが有利だと信じていました。自分たちの時間が来ると信じていました。どんなに長引いても、自分たちは気持ちが切れないと思っていましたから」と仲間を信じ、「最後は気持ちだけ」と最後まで勝利への執念をたぎらせ、僅かにトヨタ自動車を上回った。



文・飯田康二/写真・W.LEAGUE

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