月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.04.14

2022-23東京八王子ビートレインズ総括 - 亀崎光博Aコーチインタビュー

48日にエスフォルタアリーナ八王子で行われた横浜エクセレンス相手のホームゲームをもって、東京八王子ビートレインズの2022-23シーズンが幕を閉じた。クラブ創設8シーズン目の1636敗(勝率.308)の12位という成績は、2219敗(勝率.537)と勝ち越して9位につけた昨シーズンからは下降ということになったが、新たにヘッドコーチに就任した廣瀬慶介がシーズン半ばの2月に休養となり、その後亀崎光博HC代行がその役割を引き継ぐという緊急事態の中で、見応えのあるバスケットボールを展開していた。


シーズンフィナーレでは横浜エクセレンスに98-104で黒星を喫したものの、98得点はシーズンハイの数字。ビッグマンのデイビッド・ドブラスの21得点を筆頭に大金広弥、古橋広樹(ともに14得点)、ジャスティン・ベイカー、ジョン・フィールズ3世(ともに10得点)と計5人が2桁得点を記録している。古橋、大金、ベイカーはいずれも3P成功率が66.7%で、3人で12本中8本を成功させる大当たりだった(古橋が6本中4本、大金とベイカーが3本中2本成功)。相手がゾーンでリズムを崩しにかかっても、大金らのギャップを突く果敢なアタックで打開しており、インサイド、アウトサイドともオフェンスが好転していたところなど、今後に向けた収穫もあったのではないだろうか。

激動のシーズンを終えた亀崎HC代行に話を聞いた。

「選手の良い部分を引き出すことはできた」

――廣瀬さんの休養発表後の4勝10敗の戦績でしたが、これをどう評価していますか?

接戦を勝ち切れなかった試合が何試合かあったのでもう少し勝率は上げることができたのではないかと悔しい思いです。

――ヘッドを引き継いでからは、特に﨑玉、鹿児島、横浜に勝てませんでしたが、結果的にプレーオフ進出を上位で決めたこれらのチームと他チームは、何か共通の特徴や違いがあるとお感じですか?

これらのチームはチームとしてのストロングポイントがはっきりしており、チーム皆がそれを理解しているため、チームでやりたいバスケットを全員が遂行しているという特徴があると感じます。

――今シーズン開幕から、チームの伸びたところ、このまま積み上げたいところはどんなところでしょうか。また、逆に最後まで戦ってみて課題と感じる点は何でしょうか?

ディフェンスの意識はチームもして変わってきたので継続していきたいと考えています。今後は、オフェンスの改善と接戦を勝ち切る力が課題と感じています。

――今シーズンは、昨シーズン3P王になった大城選手をはじめロングレンジからの確率がなかなか上がっていない印象でしたが、その要因は何でしょうか? また、最後の2試合は34%39%と高く、オフェンスが好転していた印象です。それは何がうまくいったのでしょうか?

シューター陣を活かせるオフェンスができていなかったところが要因だと考えています。最後の2試合は皆自信を持って思いっきりプレーしていたし、ボールも動いていたためオープンで打つことができていたためオフェンスが好転していきました。

――ジョン・フィールズ3世選手はリバウンド3位(平均10.54本)、髙橋 幸大選手はフリースローが3位(86.59%)。ハイレベルなパフォーマンスをしたお二人について、また特にコーチが今シーズン伸びたと感じるプレーヤーがいらっしゃれば、どんなところが伸びたかを合わせて教えてください。

ジョンは前半戦ビックマンが1人しかいない状況でよくゴール下で身体を張って仕事をしてくれていました。幸大もアグレッシブに攻めた結果フリースローを多くもらえたし、練習中からフリースローもアウトサイドのシュートも打ち込んでいましたので結果として繋がったのだと思います。





今シーズン1番伸びた選手は伊藤修人。練習生から契約を勝ち取り最後はローテーションにも入っていた。良いものを持っていると思い期待していましたし、僕になってからはどんどん使いました。期待に応えてくれる結果を出した試合もあり自信もついたと思います。自信がついたところが伸びたところだと思います。



――ご自身のコーチングについて、うまくできたと思える点はどこでしょうか。また課題はどこにあるとお考えでしょうか?

選手の良い部分を引き出すという事はうまくできたと思います。ですが、まだ課題はたくさんあります。



現在36歳の亀崎HC代行は、2021-22シーズンまで5シーズン八王子でプレーヤーとして活躍しており、コーチングに専念したのは今シーズンからだ。コーチへの転身は2-3年前から考えていたという。「もともとバスケットボールが好きで指導するのも好きだったから、コーチをしたいという思いを持っていました」。その意味で、現在の立場は一つの目標に到達したということにもなるだろう。

昨シーズンチームを率いた早水将希は現在東京ユナイテッドバスケットボールクラブでヘッドコーチをしており、横浜エクセレンスの若手ガード、塚本雄貴も2シーズンを八王子でともにしたプレーヤーだ。「元チームメイトの活躍はとてもうれしいことですし、自分にとってもとても良い刺激になります」と亀崎Aコーチは話す。

48日の試合では、ビートレインズの奮闘に1,004人のブースターが歓声に沸いた。励みとなる要素が多く、その声援に対する感謝を忘れなかった亀崎HC代行にとっても、東京八王子ビートレインズにとっても、希望を感じられるシーズンフィナーレだったに違いない。

※亀崎HC代行の「崎」の字は、正式には「たつさき」になります



柴田 健/月刊バスケットボールWEB

タグ: 東京八王子ビートレインズ

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