月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2023.03.31

[Bリーグ U15チャンピオンシップ] チームの総合力を見せた名古屋Dが福岡を破り3連覇達成

BリーグU15の全46チームが集い頂点を競うB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 20234日目、大会最終日の330日(木)、勝ち残ったベスト4による準決勝、3位決定戦、決勝が行われた。




準決勝1試合目は名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15対横浜ビー・コルセアーズ U15のカード。序盤からシュート好調の名古屋Dが先行する展開の中、横浜BC#45高島舜弥が奮闘し応戦するも、層の厚い名古屋Dにジリジリと点差を開かれる。#41大越海藍、#7九十田晃海らがインサイドで粘り、何とか10点前後の差で付いていった横浜BCは終盤にきてエースガードの#11佐藤凪が連続得点。残り1分を切ったところで、3Pシュートを決めると64-64とついに同点。その後両チーム点を取り合うが、残り7.5秒で名古屋D#2若野瑛太がインサイドを決め切り68-67と再逆転。残り3.7秒で放った横浜BC#11佐藤のシュートはゴールに嫌われ、名古屋Dが決勝進出を決めた。この試合の途中で名古屋Dはエースシューターの#1小野蓮太がシュート後にディフェンスの足に乗ってしまいケガをしてしまったが、その穴をチームで埋め、15得点の#14川邉蒼侑、さらにはやはり15得点を記録した大型ポイントガードの#2若野が勝負どころで支配力を見せた。


続く準決勝2試合目はU15島根スサノオマジック対ライジングゼファー福岡U15の顔合わせ。サイズはないものの、粘り強さと#28金山颯、#6橋本拓海の2枚看板のスコアラーを軸に勝ち上がってきた島根。しかし、準決勝では福岡のビッグマン、#35勝又絆にインサイドを攻め込まれ、また、#6橋本が1Q3ファウルを取られるなど苦戦を強いられた。それでも粘り続けた島根は4Qには42-45と一時3点差まで詰め寄る。しかし、ここからギアの入った福岡は#16崎濱秀寿、#21持丸昭人の3Pシュートもあり、再び点差を2ケタに戻すと、そのまま逃げ切り59-49と勝利を手にした。


横浜BCが65-62と島根との接戦を制した3位決定戦の後、今大会3連覇の懸かる名古屋Dと年初のジュニアウインターカップ優勝の福岡が決勝で相まみえた。


お互いの持ち味を抑え合い、ロースコアな展開で試合は進み22-20と名古屋Dがわずか1ゴールのリードで折り返す。後半に入っても一進一退、一方のチームの良いプレーが出るとそれを抑えにかかり、重苦ししい緊張感の中、36-34とその差が変わることなく名古屋Dリードで4Qを迎えた。


最終クォーターに入ると、一転して両チームともペースアップ。福岡の#16崎濱がジャンプシュート、ドライブを決めれば、名古屋D#2若野がリバウンドシュート、インサイドで力強く攻め込み一歩も引かない。

そんな中、名古屋Dの末広HCが「糸口が見つかった」と試合後明かしてくれたのが、相手インサイド陣のディフェンスだった。それは福岡の鶴我HCが「4アウト、5アウトといったスタイルで動く相手のインサイド陣に、うちのディフェンスがついていけませんでした。そうしたディフェンスの足を作ってあげられなかったこと、対策してあげられなかったのは自分の責任」と敗因の一つに挙げたことと一致する。


「福岡ガード陣のハードなプレッシャーを何とかかわせればズレを作れる」と局面の打開を図った名古屋Dが徐々に優勢に立つと、終盤で#2若野がドライブを決め、続いて中から外へのパスで#17小笠原和真が3Pシュートを決めて、勝敗を決した。


福岡のインサイドのかなめの一人、#35の勝又絆は、実は準決勝で太ももに相手の膝が入ってしまい打撲。痛みに耐えながらの決勝戦でのプレーだった。「痛いとか自分からいい出す選手ではなく、本人も大丈夫と言ってましたが、最後は足が動いていないのがわかったので」と鶴我HCは試合終盤の勝負どころでベンチに下げる決断。勝又は悔し涙を流しながら「自分の役割を果たしたかった」と試合後に語った。


名古屋Dも決して万全ではなかった。MVPを受賞した#2若野は、大会前からの右足首の故障で予選リーグは不出場。「大丈夫だと思って練習に復帰したらまた痛みが出たので、トレーナーさんと相談しながら大会に臨みました。今大会でプレーできたのはトレーナーさんのおかげです」と若野。決勝トーナメントから徐々に出場時間を延ばし、決勝では今大会初めてスターターとして出場した。またエースシューターの#1小野が準決勝で負傷退場。「本人は全然やれると言っていましたが、様子を見ながら」(末広HC)と決勝ではベンチからの出場となった。それでも「誰が出ても戦える自信があった」と若野が語ったように、決勝でも選手交代を多用し、チームの総合力の高さを見せた名古屋Dが見事に3連覇を達成した。


■試合結果(DAY4)

<準決勝>

名古屋D U15 68 - 67 横浜BC U15

U15島根 49 - 59 福岡U15

 <3位決定戦>

横浜BC U15 65 - 62 U15島根

<決勝>

名古屋D U15 55 - 46 福岡U15


■「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023」大会結果

優勝 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15

準優勝 ライジングゼファー福岡 U15

3位 横浜ビー・コルセアーズ U15

4位 U15 島根スサノオマジック

 

<個人表彰>

MVP 若野瑛太(名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15#2

MIP 山口銀之丞(ライジングゼファー福岡U15#15



BEST5

小野蓮太(名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15#1

若野瑛太(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15 #2

勝又 絆(ライジングゼファー福岡U15#35

佐藤 凪(横浜ビー・コルセアーズU15#11

金山 颯(U15島根スサノオマジック/#28



写真/伊藤大允 文/飯田康二(月刊バスケットボール)

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