月刊バスケットボール1月号

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2023.03.29

安間志織(ベネツィア)インタビュー(1) - 初のユーロカップを振り返る

イタリアの強豪クラブ、ベネツィア(Umana Reyer Venezia)で活躍中の安間志織が、ユーロカップ2022-23シーズンの戦いを終えた節目で月刊バスケットボールWEBの独占インタビューに応じた。


ベネツィアは316日、23日に同大会のプレーオフ・セミファイナルでトルコのガラタサライ(Galatasaray Cagdas Factoring)と対戦し、11敗のタイながら総得失点差で16上回られ、ファイナル進出を逃した(アウェイの初戦で49-74の黒星、ホームの第2戦が69-60の勝利)。

ユーロカップでのベネツィアは、グループラウンドを6戦全勝で勝ち上がった後、プレーオフの4つのラウンドすべてで11敗の成績だった。プレーオフではいずれもアウェイで戦った初戦を落とし、ホームでの試合にすべて勝つという対照的な流れ。ホーム&アウェイのシリーズで2試合とも勝利するか、11敗のタイと下上で総得失点差で上回ることで勝ち上がる大会フォーマットで、セミファイナルのみ乗り越えることができなかった。

しかしファイナルフォー進出は大きな成果。安間個人としても、トヨタ自動車アンテロープスを初のWリーグ王座に導きプレーオフMVPに輝いた2020-21シーズン以降、ドイツにおけるブンデスリーガ制覇とファイナルMVP受賞、日本代表としてのワールドカップ出場、そして初体験のユーロカップという舞台でのファイナルフォー進出への貢献という経過は、特筆すべき飛躍といえるものだ。まずは、そのユーロカップについて聞かせてもらった。

ファイナルフォー進出、3P成功率で22位にランクイン


©FIBA.EuroCup2022-23/Umana Reyer Venezia

――まずはファイナルフォーに進出したユーロカップのプレーオフについて聞かせてください。

アウェイの試合に全部負けてしまいました。私たちは「特に最初の試合は大事だから、スタートからしっかり、強く、ハードに、アグレッシブに!」と話していたんですけど、なかなかアウェイでそこができませんでした。セミファイナルの25点差は大きすぎましたね。でも、私たちはいろんな戦い方ができてチームとしてのポテンシャルは高いと思うので、(今後のイタリア国内での戦いでは)全員が一つになってできたらいいなと思います。

――ユーロカップは国外遠征で、不慣れな環境での対戦は難しかったのではないですか?

チームメイトは慣れていると思うんですけど、私の感覚としてはやっぱり日本とはファンというかアウェイ試合はアウェイ感が全然違いますしね。特に先週のトルコでの試合(ガラタサライとの初戦)はファンもすごかったです。イスラエルも日本よりも強烈でした。移動も長距離ですし、試合前に渋滞で試合1時間前になっても体育館に着かなかったり。

ただそういう中でも、いつもどおりプレーすれば、私たちはどことやっても勝てると思うんですけれど…。

――WNBAやヨーロッパのトップレベルがたくさんいる中で、個人的にはどんな手応えを感じましたか?

もうちょっとシュートを狙わないといけないなとずっと思っています。打てるところでは打たないと、という感じです。ビッグマンの使い方や、こうやって攻めるんだというのはチームでも話すんですけど、個人的にはシュートをもっと打っていきたいです。

――元得点ばかりに偏るタイプではないあったと思いますが。そこは変えないといけないと感じているのですか?

そうですね。チームメイトもコーチ陣も打っていいぞと言ってくれるので。たまに縮こまりすぎて、プレーメイクを遂行することに意識が行き過ぎてしまうんです。もっと自分で、良い方向に崩してシュートする本数を増やしたいと思います。

――笛の鳴り方が相当違いませんか?

全然違いますね。人によっても違いますし。アジャストをゲームの中でやらないといけないんですけど、どういう時になるのかがなかなか読めないんです。試合ごとの差が日本よりもうんと大きいと思います。

ワールドクラスのタレントプールで光った活躍

ガラタサライには、WNBAダラス・ウイングスで2桁得点のアベレージを4シーズン連続で残している身長201cmのセンター、ティアラ・マッコーワン(Teaira McCowan)や、2021年にWNBAを制覇したシカゴ・スカイの主力の一人でWNBA通算1000得点、500リバウンドを達成している身長198cmのフォワード、アズレイ・スティーブンス(Azurá Stevens)、昨年三井不動産カップで来日したラトビア代表の一員イエバ・ポールベレらが名を連ねていた。マッコーワンは現時点で今大会の平均得点1位(20.9)のプレーヤーだ。

また、クォーターファイナルで対戦したイスラエルのラムラ(Elitzur Landco Ramla)には、昨シーズン町田瑠唯(現・富士通レッドウェーブ)とワシントン・ミスティックスでチームメイトだったアリシャ・クラークとシャキーラ・オースティンや、ポールベレとともにラトビア代表として来日したエリナ・バブキナ(Elina Babkina)が在籍していた。ここでもオースティンは今大会4位(20.2)のスコアラーだ。

マコッコーワンやオースティンの存在は、安間とベネツィアが戦っている舞台のレベルの高さを印象づける要因に違いない。日本でも親しみのある欧米のスターのほかにも、ユーロカップで特に上位進出を果たしたチームには、ワールドクラスのタレントが名を連ねているのだ。

その中で安間は、平均9.4得点、フィールドゴール成功率49.2%、3P成功率41.2%、フリースロー成功率80.6%、2.4リバウンド、3.7アシスト、1.4スティールのアベレージを残した。3P成功率は、500人以上のプレーヤー登録がある今大会で22位に当たる成績だ。

ヨーロッパ諸国の代表活動に伴う2月のバイウィークを使って、安間は一時日本に戻ってスキルワークに取り組んでいた。短期間でも、敢えて自分に没頭できる環境で個人ワークアウトを行いたいと思うほど、自分にはもっともっとできると感じる余地があるのだろう。

ユーロカップを終えたばかりの安間だが、さっそく3月30日からのイタリアカップ(イタリア語ではコッパ・イタリア)が控えており、その後は国内リーグのセリエA1がプレーオフに突入していく。その舞台でどんなプレーを見せてくれるか。楽しみでしかない。

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