月刊バスケットボール5月号

千葉ジェッツが4年ぶり4回目の天皇杯を獲得

粘る琉球を振り切り千葉Jが優勝

 第98回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会ファイナルが、212日(日)、有明コロシアム(東京都)で開催された。今大会には予選ラウンド(都道府県代表決定予選参加チームは含まず)から含め全101チームが参戦。昨年9月から1次ラウンドが開催され、都道府県代表チーム、Bリーグ勢などラウンドを重ねながら天皇杯獲得に向けて競い合ってきた。


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 そして、日本一を決するファイナルには第9294回大会まで天皇杯3連覇を果たした千葉ジェッツ、初優勝を目指す琉球ゴールデンキングスが勝ち上がった。

 9315人のファンが詰めかけ、満員となった有明コロシアムで最初のゴールを決めたのは琉球#14岸本隆一。迷うことなく3Pシュートを決め切り場内を盛り上げる。しかし、すぐに千葉J#4ヴィック・ローが3Pシュートを決め返すと、#31原修太も続き、序盤の流れを千葉Jが奪った。この流れを琉球に呼び戻したのが#88牧隼利。千葉J#2富樫勇樹の3Pシュートをブロックすると、リバウンドシュートや3Pシュートなど連続7得点で、試合を拮抗した状況に。その後、千葉Jは交代で出てきた#11西村文男が3Pシュートを決めるなど19-15と一歩リード。

 先行する千葉Jに琉球が付いてく展開の中、動きが出たのは2Q残り811秒。富樫がこの試合初得点をバスケットカウントで記録すると、続けざまに3Pシュートも決め、29-22とリズムに乗ってくる。琉球はすかさずタイムアウトで、傾きかけた流れを打ち切ると、その後、#30今村佳太がドライブや合わせでオフェンスを引っ張る。対する千葉Jは富樫、ローらの3Pで応戦。前半で9本の3Pシュートを決めた千葉J46-39とリードを守ったまま前半を終えた。

 後半に入っても、お互いに強度の高いディフェンスを見せ、オフェンスでは千葉Jは富樫が、琉球は今村がけん引し、先行する千葉Jに琉球が付いていく状況のまま試合が進む。そんな中、千葉Jは富樫が琉球ディフェンスを崩し、空いたスペースに#33ジョン・ムーニーがドライブしダンクを決める。琉球はタイムアウトで流れを切るも、千葉J#34クリストファー・スミスの3Pシュート、富樫のスティールから原がファストブレイクを決め、ついに61-512桁点差を奪う。琉球は3Q残り251秒の時点で、後半2回目のタイムアウトを取らざるを得なかったが、その後オフェンスリバウンドから#7アレン・ダーラムがねじ込むなど、インサイドでの強さを見せ、58-661桁差に戻して最終Qに。

 4Q早々に#24田代直希の3Pシュートで61-665点差まで巻き返した琉球。何度も千葉Jが突き放しにかかるも、気が付けば5点前後の展開が続いてきたが、4Q半ば、千葉J #3小川麻斗がアンスポーツマンライクファウルで得たフリースローを2投決め、再び74-632桁差に。それでも琉球は牧、岸本が連続3Pシュートを決め72-764点差に詰め寄る意地を見せた。

 しかし、タイムアウト明けの残り237秒で富樫が3Pシュートを沈め、流れを一変。さらに残り1分21秒に原が勝負を決定づける3Pシュート。最後まで粘る琉球を振り切り、87-76千葉J4年ぶり4回目となる天皇杯を獲得した。

「ここという時に決め切る力、守り切る力が千葉さんの方が上だった」と琉球の桶谷大ヘッドコーチが振り返ると、今村も「千葉の方が試合を通してタフさがあった」と認める。

 この試合はセミファイナルで故障した#21ギャビン・エドワーズを欠いた千葉J#45ジャック・クーリー、ダーラムらインサイドに強さを持つ琉球に対し、「ギャビンの穴を一人で埋めることはできないので、全員がディフェンスでカバーしようと、よりアグレッシブになった」と#14佐藤卓磨。「ケガ人が多く出ているシーズンだが、他の選手たちがステップアップしてカバーしてくれる。このチームを誇りに思う」と今シーズンより指揮を執るヘッドコーチのジョン・パトリックは語る。チーム最長3539秒の出場時間で、最多の20得点を記録した原は「以前の優勝のときは、チームに貢献できていなかったので、今回の優勝が一番うれしい」と喜びを表した。



文・飯田康二/写真・石塚康隆

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