月刊バスケットボール1月号

NBA

2023.03.03

チェンバレンの「100点ゲーム」から61年、大記録達成も本人は「私にとってそれほど重要ではないんだ」

100得点を記録した1962年のチェンバレンの写真

61年前の3月2日に生まれた大記録


アメリカ時間3月2日(日本時間3月3日)は、NBAファンの多くが知る大記録が生まれた日。1962年3月2日、ウィルト・チェンバレン(フィラデルフィア・ウォリアーズ、現ゴールデンステイト)は歴代1位の「100得点」をマークした。

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舞台となったのはペンシルバニア州のハーシー・スポーツ・アリーナ。ウォリアーズがファンを増やすために、その地でニューヨーク・ニックスとのホームゲームを催行した。残念なことに、この試合の映像は撮影されていない。

チェンバレンはカンザス大で3年間プレイしたのち、エキシビション・バスケットボール・チームであるハーレム・グローブトロッターズ入り。そして1959年のNBAドラフトで地域指名を受けてウォリアーズ入を果たす。すると、なんとルーキーイヤーから7年連続で得点王に。華々しい活躍をしている。「100得点」が生まれたのは3シーズン目、1961-62シーズンの76試合目だった。

NBA公式サイトの記述によると、1Qで23得点を奪うと2Qでは41得点。なんとハーフタイムで64得点を奪っている。そして3Qで28得点をマークして92得点。100点という大台を見たい観客からは“ウィルトに回せ!(Give it to Wilt!)”というコールが生まれたという。

そのコールに従ったのか、チームメイトはチェンバレンにボールを託そうとする。しかし、 “一人に100点を奪われた”と言われたくないニックスは、ウォリアーズのほかの選手がボールを持っている間にファウルをして、チェンバレンにボールを回らないように仕向けたという。それでも、チェンバレンは残り46秒、ジョー・ルークリックからパスを受けてシュートを決めて100得点を達成する。試合後、ロッカールームに行くと広報のハーベイ・ポラック氏から100と書かれた紙を手渡される。そして、あの有名な写真を撮影した。

そこから61年が経過。その記録に最も近づいたのはコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)の81得点だ。それでも19点という差があるのだから驚く。現役ではドノバン・ミッチェル(クリーブランド・キャバリアーズ)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)が今季記録した71得点(歴代8位タイ)が最高である。

今季、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)が同じく破ることは不可能だと言われていたカリーム・アブドゥル=ジャバーの通算得点記録を塗り替えたが、今後、100得点を突破する選手は現れるのだろうか?

100得点を記録したチェンバレンのスタッツを見るとプレイタイムは1試合出ずっぱりの48分! フィールドゴールは63分の36、フリースローは32分の28、25リバウンド、2アシスト、2ファウルとなっている。シュート成功率は57.1%と高いものだが、後に本人はこれを不満だと語っている。

「100点ゲームは、私にとってそれほど重要ではないんだ。80点台に突入してからは、100点を目標に突き進み、普段は絶対に打たないようなシュートも打った。だからゲームが壊れてしまった。流れができなかったんだ。63本も打ったんだ。プレイグラウンド(公園のコート)でそんなに打つ選手がいたら、誰も欲しがらないよ」
※試合は169-147で勝利している




文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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