月刊バスケットボール6月号

FIBA

2023.03.03

安間志織所属のベネツィアがユーロカップ4強に進出

©FIBA.EuroCup2022-23

安間志織が所属するイタリアの女子プロバスケットボールチーム、ベネツィア(Umana Reyer Venezia)がFIBAユーロカップ2022-23プレーオフのクォーターファイナル第2戦でイスラエルの強豪ラムラ(Elitzur Landco Ramla)を59-48で下し、今大会の4強入りを果たした。


今大会のプレーオフはホーム&アウェイの2試合シリーズの総得失点差で勝負をつけるフォーマット。ベネツィアは第1戦で75-805点差をつけられ黒星を喫していたため、この試合では6点差以上の勝利が必要だったが、みごと11点差をつけて合計134-1286点上回った。

安間はこの試合でスターターとして1324秒出場し、2Pフィールドゴール1本とフリースロー2本による4得点と1リバウンド、1スティールを記録した。

大激戦となったこの試合は、序盤から中盤にかけてはラムラが僅差のリードを保つ展開。レフェリーのコールもそれに引きずられるように、ラムラのオフェンスが24秒ショットクロックの時間切れと思われた場面で笛が鳴らなかったり、ベネツィアのガード、マティルデ・ビッラ(Matilde Villa)がドライビング・レイアップを狙った際に相手とのコンタクトで流血したプレーがノーコールなど、ベネツィアにとっては不利な判定が続いた。

流れがベネツィアに傾きだしたのは、ラムラが39-372点リードしていた第3Q残り412秒に、ラムラのシャキーラ・オースティン(Shakira Austin)とベネツィアのジェシカ・シェパード(Jessca Lynn Shepard)というWNBAスター同士がリバウンド争いで口論となり、オースティンがテクニカル・ファウル、シェパードがアンスポーツマンライク・ファウルをコールされたあたりから。フリースロー2本中1本を決めたオースティンが、騒ぎ立てるベネツィアのファンをさらに煽るようなしぐさを見せたこのプレー以降、ベネツィアのアグレッシブさが高まった。

安間も42-42の同点に追いつくフリースローとその直後のスティールなどでチームを鼓舞。出場時間は比較的短かったが、最終局面では、厳しくプレッシャーをかけてくるラムラのディフェンスの前にチームとしてターンオーバーが増えていた状況で、残り24秒にコートに戻ってインバウンドプレーをきっちり成功させた。

ベネツィアは第1戦でヒザを痛め以降欠場していたビッグセンターのアワク・クィエール(Awak Kuier)、長期離脱していたガードのマリエッラ・サントゥッチ(Mariella Santucci)らも復帰して要所で好プレーを連発。同じく長期離脱していたフロントラインのバックアップ、ロレラ・クバイ(Lorela Cubaj)も戦列に戻り、チームの一体感を感じながら地力が出せるようになってきた。

ユーロカップでは、ここまでのプレーオフ3ラウンドのいずれも初戦を落としながら第2戦で逆転して勝ち上がってきている。今回は特に、故障者が戻りつつある中で接戦をしのいで終盤一気に畳みかける快勝。セミファイナルでは、身長196cmのWNBAスター、アズーラ・スティーブンス(ロサンゼルス・スパークス)らを擁するトルコの強豪ガラタサライ(Galatasaray Cagdas Factoring)と戦う。イタリア国内リーグセリエA1も終盤戦に差し掛かるが、チームとしては勢いを増していきそうだ。

文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 安間志織 ユーロカップUmana Reyer Veneziaベネツィア

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