月刊バスケットボール10月号

Wリーグ

2023.02.24

Wリーグ初参戦の姫路で異彩を放つ白崎みなみ「背中を見せて引っ張っていくことを毎試合考えている」

得点ランキング1位をキープする姫路のエース


2月11、12日に代々木第二体育館で行われた「Wリーグ SUPERGAMES~4GENERATIONS~」のU25メンバーとして出場した白崎みなみは、姫路イーグレッツのキャプテンだ。レギュラーシーズンでは得点ランキング1位(21.94得点/2月21日時点)に立ち、U25の試合でも巧みなステップでディフェンスをかわしてのレイアップや、3Pシュートを連続で決めるなど、随所に姫路のエースらしさを垣間見せた。

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初めて経験したWリーグ選抜チームでの試合後に「もっともっとたくさんの人と(プレーを)経験できたらいいなと思いました」と笑顔を見せた白崎に、初参戦のWリーグのこと、開幕戦から得点ランキング1位をキープしていることなどについて話を聞いた。

走り勝てるように頑張っていきたい


――ここまで姫路は2勝16敗の成績ですが、初めて参戦したWリーグはいかがですか?

「具体的に何勝したいとか、そういうことを決めないようにチームで話しているのですが、白星を2つ取れたことは大きいと思います。まだまだ勝ち取れそうな試合が残っていますし、走り込みをするなど、小さいチームながら走り勝てるように、あと1つ、2つ白星を取れるように頑張っていきたいと思っています」 

――試合ごとにチーム内ではどのようなコミュニケーションを取っていますか?

「映像を見て個人が思ったところなどは必ず共有しますし、伊與田好彦ヘッドコーチが必ず足りないところ、改善すべきところをピックアップして練習にすぐ取り入れてくれるので、(対戦相手に)アジャストするというよりも自分たちの必要なところを改善していく形でやっています。それが徐々にチームに生きているのかなと思っています。それができたからこその白星ですから、リーグを通して自分たちのスタイルをやり通すということを目標に練習しています」

――トヨタ自動車やENEOSなど上位陣と実際に試合をして感じたことは?

「一番は体の強さですね。私たちは小さくて細身の選手が多く、それはトレーニングの差だと思うし、そこが最終的なシュート力につながっていると感じています。同じ土俵に立てていないといったら語弊があるかもしれませんが、その差を少しでも縮められるようにそれぞれが自主練習もしていますし、体の強さとシュート力は常に意識してやっています」



姫路イーグレッツを引っ張る白崎みなみ


――オータムカップなどのシーズン前の試合で感じた以上に差がある印象でしたか?

「オータムカップやサマーキャンプはほかのチームにとっては若手を育成したりする試合だったので、どこもアグレッシブに戦ってくるような感じだったんです。でも、実際にWリーグに入ると(主力選手が)余裕を持ったプレーをしていましたね。必ずと言っていいほどに決め切られてしまうので、今のままじゃいけないというのを痛感しています」

――ディフェンス面はどうでしょうか?

「チームディフェンスをやらないと背の高い相手には勝てません。そこのローテーションや、そのあとにリバウンドを何本も取られてしまって、どこのチームとやってもリバウンドでは上回ることができないのが現状です。小さい選手ばかりの中でどうローテーションして、どう相手にプレッシャーをかけていくか。40分間それを続けなればいけないのはすごく大きな課題だと思ってやっています」

――ところで、白崎選手はWリーグで得点ランキング1位をキープしていますね。

「率直に1位はうれしいです。でも、チーム事情というか、全ての試合をスタートで出てほぼ35分以上出場している状況です。点を取るのは当たり前ですが、そういった中でアジャストされてもシュートを果敢に攻め切れているのは良いと思います。ただし、得点王かと言われるとシュート率はあまり良くないので、シュート率をもっと上げて確実な得点王になれたらうれしいですね。姫路の今のチームだからできる私のプレースタイルなので、最終的にシュートを任せてもらえるチームならではの得点王かなと思っています。他のチームに行ったら試合に出られる機会は減るのかなと……。でも、限られた本数の中で決め切れる力は付くのではないかと思います」

――とはいえ、対戦相手からすると姫路と戦うときは白崎選手を抑える対策をしてくると思うのですが、それでもランキング1位をキープしているのはすごいと思います

「私としてはENEOS、デンソー、トヨタ自動車との対戦ではフェイスガードやダブルチームなどのディフェンスをされて、自分としては光栄ではあるものの、やっぱり周りをもっと生かせるプレーをしなければいけないという思いがあります。シュートを決めるだけでなく、周りをもっと使うプレーやディフェンス、リバウンドでももう少し貢献できたらチームもよく回るかなと思います。その辺が課題ですね」

――キャプテンという立場でもありますね。

「やっぱり厳しいゲーム、勝ち切れないゲームが続くので、モチベーション的にも1年目で厳しいと思います。その中で自分たちの持ち前の明るさを出してやっていくには、自分が先頭を切ってリングにアタックしたり、ディフェンスなどで思い切ったプレーをしている背中を見せて引っ張っていくこと。それを毎試合考えているので、変に緊張もしません。そういう姿を見てみんなが付いてきてくれたらいいなと思ってやっています。その代わり毎試合、足をつっていますが(笑)」

――1年目のシーズンとして、よくやれているのかそれともまだまだという感じですか?

「まだまだだと思います。全然足りていない部分ばっかりです。とにかく試合をするごとに、全てが良い経験になっています。それを全部持ち帰って吸収して、次、次、次とレベルアップしていかないとWリーグ1年目のチームとしては意味がないし、そういう部分では課題だらけです。それでも徐々によくなってきて、みんな前向きに頑張っています」





バスケットの楽しさ、頑張っている姿を見せたい


――チームの周りにはバックアップしてくれる方たちがたくさんいると思いますが、そういう皆さんにどう応えたいですか?

「私たちは仕事をやりながらバスケットをやっているので、遠征になると毎回仕事を抜けて大きな穴を開けてしまうことを申し訳なく思っています。でも、私たちのプレーを見て、『すごく元気をもらった』『次の週末楽しみだから仕事頑張れる』と言ってくださる方も多いので、勝ち負けに関係なく思い切ってバスケットの楽しさや頑張っている姿を伝えられたらなと思っています」

――白崎選手はどんなお仕事をしていますか?

「私は主に自動車の部品などのプラスチック製品の検品作業をしています。そこに3人いて、そのグループ会社に4人、あとは小動物とか観賞魚用のお魚のエサなどを作る工場で働いている選手もいて、職場の皆さんにすごくバックアップしてもらっています。私のところは9時~4時まで働いて、5時半から全員集まって8時まで練習、その後は自主練して帰ります。家に帰るのはみんな9時過ぎです。そこから自炊をしています。私は妹と暮らしているので自主練する時間もあまりありません」

――他チームと比べて練習時間が短いからこそ、効率良く練習するのが大事ですね。

「そうですね、やっぱり仕事をしている分、オフなどの時間もあまりないのが現状です。しかし、空き時間にトレーニングや走り込みをしなければなりません。練習の時間内でランメニューをやってしまうとだいぶ時間を取られてしまうので、空いている時間にシューティングなどをするようにしています。あとは何度もビデオを見て、どこがいけないとか、合わせの部分に何が必要なのかというのは常にみんなインプットしてやっています」

――では最後に、今週末からWリーグが再開します。今後に向けての意気込みをお願いします。

「白星を取りたいと思っている試合がまだ残っていますし、ホームゲームも2つあります。走り込みをした分、体の強さとかシュート力の部分で成長した姿を皆さんにお見せしたいです。そして、最後の三菱電機戦までそれを継続することで白星につながればいいなと思っています」






Profile
しらさき・みなみ◎姫路イーグレッツ№6/1996年8月15日生/166㎝/SG/O型/埼玉県出身/市立柏高→奈良学園大/アグレッシブなドライブからのレイアップシュートや、3Pシュートなどオフェンスだけでなく、タイトなディフェンスでチームメイトを引っ張る頼もしいキャプテン。初参戦のWリーグでは平均得点21.94(2月19日時点)、2位には4点以上の差をつけてトップを走っている。

取材・文/飯塚友子、写真提供 Wリーグ

タグ: Wリーグ 白崎みなみ姫路イーグレッツ

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