月刊バスケットボール10月号

[ウインターカップ感動大賞/女子チーム部門]東海大付諏訪・神澤徳コーチインタビュー「主体的に、ひたむきにバスケに取り組む姿は本当にすばらしかった」

感動大賞「女子チーム部門」を受賞したのは東海大付諏訪


ウインターカップ2022の感動大賞、女子チーム部門は男子と共に東海大付諏訪が受賞。今大会ではチーム史上最高のベスト8まで勝ち上がり、感動大賞も初受賞。そんなチームを指揮した神澤徳コーチに、改めて大会を、そして1年間を振り返ってもらった。
※『月刊バスケットボール』4月号(2/25)に盛り込めなかったものを記事にしています。

【写真7点】東海大付諏訪「ウインターカップ2022」フォトギャラリーをチェック


東海大付諏訪 大会勝ち上がり
1回戦vs.近江兄弟社(滋賀) 79-69
2回戦vs.奈良文化(奈良) 52-40
3回戦vs.大阪桐蔭(大阪②) 74-68
準々決勝vs.東海大付福岡(福岡①) 67-93

感動大賞 女子チーム部門 投票結果
1位 東海大付諏訪(134票)
2位 桜花学園(133票)
3位 東海大付福岡(69票)
4位 京都精華学園(61票)
5位 倉敷翠松(60票)

いろいろなものをかみ締められたウインターカップになった


――まずは受賞の感想を教えてください。

「創部初のベスト8で、今までこういう機会を与えていただいたことはなかったので、自分たちの頑張りを評価していただけたことをうれしく思います。男子部については日本一を目標に入野コーチのもとで選手が鍛えられて、毎年その成果も出せている状況でしたし、男子が賞をいただくのは過去にもありましたよね。そこに女子部も初めてこういった賞をいただけたのは、男子部の頑張りによって学校の名前を出していただいているおかげというのも少しあるかもしれないですね(笑)」

――改めて、ウインターカップではベスト8まで勝ち進みましたが、振り返るとどんな大会でしたか?

「組み合わせを見たときからチャンスがあるなという気持ちは正直ありました。今年の3年生はコロナの影響で大会も中止になったり、活動も制限されてきましたが、僕が過去にリクルートをしてきた中では一番の可能性を秘めた選手たちだったと思います。だからこそ、結果を残したいという気持ちがすごく強かったので、そういった意味ではウインターカップは楽しみでしたし、いざ始まると試合ごとに成長していく選手たちが非常に頼もしかったです。全国大会での1試合の重要性など含めて、いろいろなものをかみ締められたウインターカップになったと思います」



3回戦では大阪桐蔭を撃破し、歓喜


――具体的にはどの辺りが特に成長した部分だったのでしょうか?

「例を挙げると、特に奈良文化との2回戦ではシックススマンで出場している#9宮澤知花と#10佐々木柚妃が非常に思い切り良く自分たちの良いところを全面に出してプレーしてくれました。この試合はシュート率も悪くてチームも苦戦しているところで2人がやってくれました。この勝利で彼女たちもすごく自信を持てたと思うので、次の大阪桐蔭戦につながる勢いにもなりましたし、いろいろな意味で吹っ切れることができました。持ち味を全て出して、『自分たちが出たらこれをやるんだ』というくらいに持っているものを発揮してくれたんです。そういう選手が出てきたことを含めて、本当に成長してくれたなと思います」

――ウインターカップも含めて今年度は主力の多くが3年生でした。それだけに勝利への思いも強かったように感じましたが、いかがですか?

「そうですね。2021年のウインターカップはコロナの影響で地区予選を辞退してしまったので、大会自体にも出場できなかったです。そんな悔しい思いを経験したので、先輩たちに対する思いも含めて今年のチームへの思い入れは強かったですね」

――例年と比べて、今年度のチームの雰囲気やカラーはどんなものでしたか?

「#4奥原心希がキャプテンではあったんですけど、彼女一人ではなくてチーム全体が練習中から雰囲気良く、こちらの求めているものを体現してくれました。本当に一人一人の意識がすごく高かったなと感じます。自分たちで主体的に、ひたむきにバスケに取り組む姿は本当にすばらしかったと思いますね」

――ウインターカップで一番印象的だったシーンはどんなものですか?

「そうですね…やっぱりベスト8を決めた瞬間ですね。試合の中で『これを決めたら勝てる』という時間帯や点差があると思うんですけど、大阪桐蔭戦の残り52.2秒の場面で#6船山柚希が(左のコーナー付近で)あまり良い形ではないパスをもらったところからミドルシュートを決めたんですよね。その時間帯は桐蔭も追い上げてきて5点差まで詰まっていたんです。そんな場面で『この1本、絶対に決まってほしい』『1本決まったらほぼ勝利』というところのシュートだったので、入った瞬間は僕もすごくうれしくて、ついつい思い切りガッツポーズをしてしまいました(笑) あのシーンは印象的だったなと思います」



キャプテンとしてチームを引っ張った奥原は地元・諏訪市の出身だ


日々が鮮明に記憶に残るぐらい3年生の頑張りはすばらしかった


――#5髙橋胡菜選手が大会中に一番印象的だったこととして、大阪桐蔭戦に勝利した後に神澤コーチと有賀正秋アシスタントコーチがグータッチをしているシーンを挙げていました。

「そうなんですか(笑) 実は大阪桐蔭とはウインターカップ直前の12月21日に練習試合をしていたんです。大阪桐蔭の森田(久鶴)先生と本校の有賀ACは日本体大出身の同級生なんですよ。そんなつながりもあって、今までも大阪桐蔭に遠征に行くことも多かったですし、僕自身も森田先生には非常に良くしていただいて本当に感謝しかないという感じでした。有賀ACも森田先生も今年で定年を迎えられるので、その最後の公式戦で勝ち切れたこと、そして創部初のベスト8を決めることができたというのはうれしかったですね」

――3年生との3年間を振り返ると、どんなシーンが印象深いですか?

「毎日がすごく思い出深い日々を過ごしていましたし、本当に日々が鮮明に記憶に残るぐらい3年生の頑張りはすばらしかったです。…その中で自分自身のふがいなさを感じてしまったという意味では、インターハイ2回戦の千葉経済大附戦の終盤ですね。僕自身がもっと掘り下げていろいろなことを準備しておけば勝てた試合だったと思います。あの試合は2点リードのところから最後にシュートを2本決められて逆転されてしまったのですが、その前の段階でもっと整理しておくべきこともあったと思います。逆転される前に#5髙橋がリバウンドを取ってキープすればよかった場面でレイアップを落としてしまったのは、キープさせるという選択肢がなかった僕のミスでもありました。そんな経験をしたからこそ、ウインターカップで絶対に悔いを残さないように準備をしなければいけないと改めて感じることができたんです。あれは今後も絶対に忘れられない場面だと思います。

――3年生と新チームの1、2年生にはどんな選手、人間になってもらいたいですか?

「まず3年生については大学でもバスケットを続ける選手が多いので、自分の可能性を信じて頑張ってほしいと思っています。大会が終わった後のミーティングで3年生に話したのは、『感謝の気持ちを忘れちゃいけないよ』ということでした。いろいろな人に支えてもらって、自分が成り立っていることを忘れずに大学生や社会人として、これから活躍してもらいたいですね。

1、2年生については、3年生が結果を残したからというのではなくて、自分たちは自分たちで新しいチームとして頑張っていかないといけないです。3年生に比べると技術などもまだまだ劣りますが、いろいろな経験を積み重ねて自分たち自身をレベルアップさせていくという面ではこれまでと変わりません。ミーティングで『日々の練習や日常生活から自分たちの姿勢をもう一度見直していこう』という話をして新チームはスタートしたので、それに向かって頑張っていきます」

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東海大付諏訪メンバー表

No. プレイヤー学年身長出身中PNo.プレイヤー学年身長出身中P
奥原 心希3170諏訪PG--中村 彩心2166須坂東PF
5 髙橋 胡菜3162豊野PG--唐澤 美琴2163箕輪SF
6 舟山 柚希3175豊野PG--渡邉 渚2163川中島SF
7 早川 采那3158志茂田PG--北原 未彩2162赤穂SF
8 浦野 桃3160箕輪PG--池田 樹2156須坂東SG
9 宮澤 知花3172駒ケ根東部PG--佐藤 芽生2156本丸SG
10 佐々木 柚妃3158富士見PG--小川 そら2162伊勢原SF
11 箆伊 美咲3163奥田PG--赤羽 陽2170女鳥羽PF
12 小俣 瑠菜3171吉田PG--春日 苺香2162茅野東部SF
13 細川 実鈴2162八王子一PG--武山 心蘭1156若葉PG
14 柳澤 穂伽2168長峰PG--松尾 来愛1160筑摩野SF
15 小口 愛理2171富士見PG--高野 愛1156府中PG
16 土屋 湖白2166波田PG--新井 七望1160長野北部PG
17 小飼 来瑠美2170茅野東部PG--山本 愛1163広陵SF
18 菅谷 ゆめの1162豊野PG--永倉 百音1161未野原SG
-- 伊藤 美咲3158箕輪SG--吉田 和1162豊野SF
-- 古屋 帆乃香3171吉田C--松山 空未1170豊南PF
-- 大川 莉奈3165八雲学園SF--芦田 夕佳1167開成SF
-- 坪井 玖愛3162浅間SF--植松 楓羅1161高根SF
-- 世佐 木葉絃2165岡部PF
※データは月刊バスケットボール2月号掲載のもの



文/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: 高校バスケ 感動大賞

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