月刊バスケットボール10月号

NBA

2023.02.10

カイリー・アービングがケビン・デュラントのトレードに言及「ビジネスの状況はものすごいスピードで変わっている」

ブルックリン・ネッツからダラス・マーベリックスに移籍したカイリー・アービングが、新チームの一員としてのデビューを飾ったロサンゼルス・クリッパーズとの一戦を終えた後、会見に姿を見せた。アービングはこの試合にスターターとして出場し、24得点、4リバウンド、5アシストで110-104の勝利に貢献。会見ではまずはこの試合に関する質問をしてほしいことと、その後自身のトレードに関することも話す旨を記者に伝えた上で受け答えを始めた。


その中でアービングは、この日有力情報として広まったケビン・デュラントのフェニックス・サンズへのトレードについて聞かれ、数日前までのチームメイトが同じウエスタンカンファレンスのライバルになる公算が強まったことについて、以下のように率直な思いを述べた。

「兄弟同士で対戦するのは初めてではないですから。僕は彼が幸せで満足いく状態であるよう祈っています。僕らはずっと今後を見据えていろいろと話し合ってきましたが、先行きが見えづらい状態のままでした」
Well, it’s not the first time. We’ll be in competition as brothers you know. I’m just praying for his happiness and praying for his well-being. We had a lot of conversations throughout the year of, you know what our futures were going to look like. There was still a level of uncertainty.

「でもお互いが前進できるところにいられるかどうかを、一緒にいるか離れるかということよりも優先して考えました。彼が僕の決断に対して怒りを感じたようには思いませんでしたし、僕も彼に怒りを覚えることはありませんでした。僕らはお互いをもっとよく理解して、人として、兄弟として成長するよう努めたんです。ビジネスの状況はものすごいスピードで変わっていきますから」
But we just cared about seeing each other be in places that we can thrive and whether that be together whether that be apart. There’s never been one moment I felt like he’s been angry about me for decisions I’ve made or I’ve been angry at him. We’ve just tried to understand each other a lot better and grow as human being, grow as brothers. You know it’s business, changes so quickly.

「彼も僕も少しずつ年を重ねています。同じカンファレンスになれるというのはうれしいですね。フェニックスとはまだ何度も対戦すると思うので会う機会が増えますが、大歓迎です。いろんなことは置いておいて楽しみですね。彼があそこから出られて良かったです」
He’s getting a little bit older. I’m getting a little bit older. I just love the competition now that we can be in the same conference and I welcome all that you know get to see him a little bit more probably playing Phoenix a lot more and that’s what I’m looking forward to. Everything else in between, I just am glad that he got out of there.

このコメントに続く自身の移籍に関する質問に対しては、ネッツで過ごした3シーズン半を振り返って以下のような回答をしている。

「僕はもう一度度ブルックリンで長期契約を結ぶべきかについて、見えないところで起こっていた様々なことから確信を持てずにいました。おとなしくして頑張ろうとしていましたが、自分ではどうにもならない不運な状況が重なりました。コロナワクチンを受けるかどうかとか、欠場とか出場停止とか、些細な事から僕たちの道筋にねじれが生じてしまいました」
I wasn’t sure about whether or not I wanted to be in Brooklyn long term again because of things that was happening behind the scenes. I just did my best to put my head down and work as hard as I could. There were some unfortunate circumstances that came up there that were out of my control whether it be the mandate with the vaccine or missing games, being suspended or you know just little things that I think you know just put just wrenches in our journey you know.

「ジェームズ(ハーデン)がいたときには僕とジェームズ、KDのスーパーチームに皆さんから大きな期待が注がれましたが、ちょっと言っておきたいのは一緒にプレーしたのが限られた時間だったということです。ケガをはじめいろんなことが起こり、僕もうまくいくことを願っていましたがそうなりませんでした。失敗があったわけではないし、偶然そうなったわけでもありませんが、前に進まなければなりません。この旅路を振り返って、彼らとブルックリンのチームメイトたちからいろんなことを学ぶことができたと言えるのはうれしいことです」
And the we had James (Harden) and we were supposed to be the super team like I think I would like to say something, too, about the super team of me, James and KD that everyone thinks should have worked. We played very limited time together and there were a lot of injuries and things that took place and I would have liked to see that work for the long time. But there are no mistakes, no coincidences. We’ve gotta move forward. But I’m happy that I could look back on that journey and reflect and say I learned a lot of things from those guys and my teammates in Brooklyn and just my journey throughout this.

トレードデッドラインは日本時間210日の午前5時(北米東部時間9日午後3時)だが、日本時間10日午前0時時点でデュラントのトレードは公式に成立してはいない。ただ、NBAインサイダーだけではなく大手通信社なども含め広く確定的に報じられている。トレードの形態としては、サンズがデュラントとTJ・ウォーレンを獲得し、ネッツが見返りにミケル・ブリッジス、キャメロン・ジョンソン、ジェイ・クラウダーと将来のドラフト指名権を合わせて獲得するというのが伝えられている内容だ。

ネッツでは渡邊雄太に関しても、トレードの対象となる可能性がないわけではない。例えば、ウォーレンは渡邊と同じ単年契約で年俸の面でも大きな差がない。かつ、ネッツはマーベリックスからアービングの見返りにウイングのディフェンダーとして定評があるドリアン・フィニー-スミスを獲得している。このトレード話一つをとっても、層の厚いウイングでウォーレンではなく渡邊を手放さないとは言い切れない。

ネッツのジャック・ボーンHCは渡邊がNBAデビューを飾る前の2018年夏にネッツのサマーリーグチームをヘッドコーチとして率い、そのときロスターの一人として起用した渡邊に現在も信頼を寄せていることが明らかではある。しかしこのダイナミックなトランスアクションの中では、期限の最後の瞬間までどんな動きが飛び出すか予断を許さない状況だ。

文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: カイリー・アービング 渡邊雄太ケビン デュラントブルックリン・ネッツダラス・マーベリックス

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