月刊バスケットボール10月号

NBA

2023.02.07

横須賀生まれのNBA選手・トーマスが2試合連続40点オーバー、21歳116日での記録は史上3番目の若さ

トーマスはネッツを救う存在となれるか?


カイリー・アービングのトレードは衝撃的だった。平均27.1得点がいなくなるのだからブルックリン・ネッツにとっては損失だ。しかし、ネッツにはまだ期待の才能が残っている。横須賀生まれと日本にも縁があるキャム・トーマスだ。彼は現地2月6日(日本時間7日)のロサンゼルス・クリッパーズ戦で、2試合連続40点オーバーをマーク。これがNBA史上3番目の若さでの記録となった。

【動画】キャム・トーマス44得点&47得点ハイライトをチェック

現地2月4日のワシントン・ウィザーズ戦では、決勝点となる3ポイントプレイも決めて自己最高の44得点。そして本日クリッパーズ戦で今季初のスターターとなると自己最高を更新する47得点をマーク。21歳116日での連続40得点オーバーは、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)がクリーブランド・キャバリアーズ時代に達成した21歳47日、21歳92日に次ぐ記録である。

トーマスはカーメロ・アンソニー(元デンバー・ナゲッツほか)やジェリー・スタックハウス(元デトロイト・ピストンズほか)を輩出した名門オークヒル・アカデミー高出身。大学はルイジアナ州大で1年プレイした後にアーリーエントリーして2021年ドラフト1巡目27位指名を受けてネッツ入り。ルーキーイヤーの昨季は67試合に出場し、平均8.5得点をマークしている。

その彼が生まれたのは2001年10月13日。母親であるレスリー・トーマスさんは米軍(陸軍)の仕事で横須賀にいたのだという。トーマスにとって、母は道を示してくれる大きな存在だった。「The Undefeated」の取材に対してトーマスは早起きし、約束の時間には早めに出勤し、毎日のルーティンを守り、コート上では真面目な態度で取り組んで、トラッシュトークはしないというのも母の教えと語っている。

もう一つ、母が教えたのがバスケットボール。レスリーさんは、中学、高校でバスケットボールをプレイしていた。自身も教えながら、バスケットボールのトレーナーを雇い、毎日の練習では送り迎えをして、シューティングの手伝いまでしていたのだという。また、フリースローの重要性を説き、新たなスキルは10回連続成功できるまで試合では使わせなかったというから、非凡な得点力は母の教えが根底にありそうだ。

エースのケビン・デュラントがケガで不在、そしてチームを引っ張っていたアービングはマーベリックスへと旅立った。そんな中、トーマスは「私たちはみんなプロ選手だ。2人だけでプレイしているわけではない。多くの人が貢献し、助け合っているんだ」とチームとしてプレイしているんだとコメントしている。

NBA公式サイトが掲載したクリッパーズ戦のプレビュー原稿の冒頭には「ネッツは、アービングに邪魔されることなく、前に進むことができる」と綴っている。デュラントが復帰となるまでは我慢が続くことになるが、スターター起用も多くなるはずのトーマスがどれだけ活躍することができるか。もちろん渡邊雄太の活躍も楽しみである。現在32勝21敗でイースト5位、勝負どころはまだこれからである。



文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: NBA 渡邊雄太ブルックリン・ネッツキャム・トーマス

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