月刊バスケットボール6月号

レバンガ北海道 U18が初優勝【B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2023 代替大会】

「あの負けがあったからこそ」の新たな一歩

BリーグU18にとって今年度最後の大会となる「B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2023 代替大会」が、2月3~5日まで国立代々木競技場第二体育館(東京都渋谷区)で開催された。当初は、12月に開催された「エリート6リーグ」の上位4チームに加え、海外の2チームを招いての開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により海外チームの招聘を断念。BリーグU18選抜チームおよびBリーグ推薦チーム(Tokyo Samurai)を加えた6チームによる代替大会として開催されることとなった。

試合は、2日間にわたるリーグ戦の後、最終日に各順位決定戦を行い、レバンガ北海道 U18 が初優勝を飾った。同チームは、昨年8月のチャンピオンシップ、12月のエリート6、そして今回と合わせてBリーグU18大会3冠を達成した。 

最終日、レバンガ北海道 U18とBリーグ U18選抜の顔合わせとなった決勝は、取られたら取り返すというつばぜり合いではなく、両チームが交互に流れをつかんで連続得点を重ねる、コートを大きな波が行き交うような展開となった。そんな中、チームの先鋒となる♯4阿部竜大の内外における奮闘や、高さ(192cm)とインサイドの優れた機動力を併せ持つ♯11内藤耀悠らの活躍により、連続得点のチャンスをより多く生かした北海道 U18が、最後に勝利を手繰り寄せた。

昨年12月のエリート6ではタイトルとMVPを獲得したものの、最終戦で名古屋D U18に敗れたことで悔しさを隠しきれなかった北海道 U18の内藤だったが、今回は晴れやかな表情で優勝の喜びを味わっていた。「全勝しての優勝を目指していたのは変わりありません。今回は初日に琉球(U18)さんとのグループ戦で延長戦の末に敗れてしまいましたが、でもあの負けがあったからこそ翌日はハードな2試合(名古屋D U18に67‐64、SR渋谷 U18に72‐60)を勝ち切ることができた」。内藤は、その貴重な勝利を「チームとしての新たな一歩」と表現した。追われる身として勝ち続けることは難しいが、悔しい負けを喫して、そこから這い上がることもまた難しい。今回、大会という短いスパンの中で敗戦から得た学びをすぐ次の試合に生かすことができたことが、内藤のそんな表現につながったのかもしれない。



エネルギーをかけ、高い強度のプレッシャーで守り、そこから攻撃につなげるという北海道U18らしいバスケットを貫いての優勝だったが、アンダーカテゴリー最後の年となる新年度に向けては、「各ユースチームも毎年レベルが上がって、どこが勝ってもおかしくない状況になり、これからさらに苦しい戦いになると思います。3冠などにはこだわらず、一戦一戦にエネルギーをかけて挑みたい」と意気込みを見せる。また、史上最年少でデビューを果たしたトップチーム(B1)に関しては、「まだ1試合しか経験しておらず得点もできていませんが、今度は点差が離れた場面ではなく、通常のローテーションで、勝負どころで出られるように自分自身成長して、信頼を勝ち取っていきたい」と表情を引き締めた。

トップチームで学んだことをユースに持ち帰り、チームの成長に反映させることも内藤の大きな役割となるが、「戦い方の種類(引き出し)をたくさん持つことができるよう、どう伝えればいいのか」を常に考えているという。そうしたことも内藤自身のプレーヤーとしての、そして人間としての成長につながっているに違いない。

今大会の会場となったのは、日本のバスケットボールの聖地と言える代々木第二体育館。「多くのバスケットボールプレーヤーが憧れる場所。特別な空気感を味わうことができました。ぜひまたここに戻ってきたい」。趣深い代々木第二体育館の天井を見上げ、内藤は最後にそう語った。


♯4阿部竜大
「1試合目で自分は足を痛めてしまい、その後なかなか自分のプレーを最大限に発揮することができなかったのですが、決勝戦までチームの1人1人がしっかり自分のやるべきことをやってくれ、今日(決勝)は自分も持ち味をコート上で出すことで結果につながったので良かったです。ベンチからもコート上からもよく声を出してくれたので、自分も絶対やり切ろうと思い、最後まで走り切ることができました」


<最終順位>
優勝:レバンガ北海道 U18
準優勝:Bリーグ U18 選抜
3位:琉球ゴールデンキングス U18
4位:サンロッカーズ渋谷 U18
5位:Tokyo Samurai
6位:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18

<個人表彰(M I P)>
レバンガ北海道 U18 #11 内藤 耀悠
サンロッカーズ渋谷 U18 #6 山﨑 成隆
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18 #8 佐藤 遼乙
琉球ゴールデンキングス U18 #11 平良 南海輝
B.LEAGUE U18 選抜 #18 平岡 勇人 (横浜ビー・コルセアーズ U18 所属)
Tokyo Samurai #2 伊久江 ロイ英輝




取材・文/村山純一(月刊バスケットボール編集部)

写真:B.LEAGUE

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