月刊バスケットボール24年3月号

Bリーグ

2023.02.05

チームメイトと指揮官に聞く“河村勇輝効果”「向上心やハングリー精神がすばらしい」

河村の“覚悟”がチーム全体に波及

2016-17シーズンのBリーグ開幕以来、横浜ビー・コルセアーズは残留プレーオフに3度も出場する屈辱を味わってきた。しかも、過去6シーズンの最高成績は昨季の22勝35敗と、チャンピオンシップ進出どころか、勝率5割にも達したことがない。

そんなチームに大変革が起きている。今季は絶対的エースとなった河村勇輝を軸に勝ち星を重ね、現在21勝15敗。リーグ創設以来、初めて白星先行の状態で、あと1勝で昨季の勝利数に追いつく位置まできているのだ。

【写真14点】千葉ジェッツvs.横浜ビー・コルセアーズフォトギャラリー

好調の要因は前述した河村の超人的なパフォーマンスに加え、彼との絶妙な合わせで攻防の要となるチャールズ・ジャクソンやパトリック・アウダらの存在、さらにキング開や赤穂雷太、松崎裕樹ら若くエネルギッシュな選手たちの加入が大きく影響している。

特にハマった時間帯の爆発力には目を見張るものがあり、2月5日の千葉ジェッツ戦でも、3Qの44-56(7分57秒)の場面からディフェンスで千葉Jを捉え、ジャクソンやアウダらビッグマンも含めた超アップテンポなバスケットで57-56(5分36秒)と一気に逆転してみせた。連続得点ももちろん、平均87.6得点というリーグ最強のオフェンスを誇る千葉Jを2分半近く無得点に抑えた守備もすさまじかった。

河村はこの試合でも3Pシュート5本を含む25得点

河村はこの試合でも3Pシュート5本を含む25得点


「苦しい試合でもしっかりと自分たちのディフェンスを遂行できれば、ああいう点差も跳ね返せるような勢いのあるチームだと思っています。選手たちの努力や成長もありますし、チームとしてのお互いの理解度も高まっているからこそできるバスケットだとも思います。あれを40分間できれば本当に見応えのあるバスケットができる」。そう語るのは青木勇人HC。千葉Jを捉えたものの、最後に勝ち切れなかった(82-93)ことにはしきりに「悔しい」という言葉を繰り返したが、ビッグランを作った時間帯が、本来の横浜BCの姿であることに間違いはないようだ。

そして、その起点となっているのは間違いなく河村である。今回は試合後の会見で、あえて河村本人には質問せず、青木HCとジャクソンに“河村効果”について尋ねてみた。

まず、青木HCが挙げたのが「覚悟」という言葉だ。

「河村選手自身が今季はスコアリング能力を高めながら今までのアシスト能力など、自分自身のスキルアップを遂げています。あとは、日本代表に対する“覚悟”をチームに持って帰ってきてくれました。それがチームに波及して、全員が『このチームで絶対に勝つ』と考えて、そして河村選手自身も『このチームを勝たせる』という気持ちでプレーしています。それぞれが仕事を全うして、チーム全体として今、『このチームで勝つ』という気持ちが本当に強くなっています」

もちろんロスターも大きく変わったが、河村がチームに注入した勝つ文化、もとい勝つ決意が横浜BCを勝てるチームに変えているのは間違いない。

ジャクソン(右)も河村に熱い信頼を寄せている

ジャクソン(右)も河村に厚い信頼を寄せている


ジャクソンも「彼は稲妻のようなスピードを持った選手です。何よりも向上心やハングリー精神がすばらしい。コート上でもお互いを助け合うことができていて、例えば試合中でも僕のことをサイドに引っ張って『こういうプレーをしてほしい』と言ってきたり、コミュニケーション能力もすばらしいです。それが良いケミストリーにつながっていますし、彼とは一緒にプレーしていて清々しい」と、チームの雰囲気への好影響を指摘している。

また、ジャクソンに関しては河村とのピック&ロールが横浜BCの大きな武器になっており、この試合でも河村からジャクソンのホットラインは何度も見られた。

ジャクソン自身、来日当初はローポストでボールを受けてポストアップを仕掛けて点を取る印象が強かったが、今季は特にリバウンドを確保してからリングに向かって走るシーンが確実に増えている。その点については彼も自覚しており、「走力を身につけたのが大きな変化」だという。

福岡第一高時代にも、留学生のクべマジョセフ・スティーブが河村らガード陣のスピードについていくためにビッグマンとは思えないような機動力を手にしたように、河村のプレーに合わせるためにジャクソンも自身の役割を大きく変化させた。結果的に66.6%のフィールドゴール成功率は来日以来の最高値で、現在リーグ4位。トップ4の選手の中では出場試合数も試投数も最も多い。

ジャクソンは言う。「ピック&ロールにしてもとにかく走らなければなりません。それに自分がディープシールすることで自分のためにもなるし、河村選手がプレーするスペースも作れています。彼と出場してシンプルに走るべきところで走っていることで、全てのスタッツが上がってきているのを実感しています」

もちろん、歯車がかみ合っている全ての理由が河村ではないし、チーム全体として前進しているからこそ、この結果がある。ただ、青木HCとジャクソンの言葉からは、21歳の司令塔に対する厚い信頼が感じ取れた。

もう残留プレーオフに回るビーコルはいない。今季、目標のチャンピオンシップ進出を成し遂げたとき、真の意味で彼らにとっての新時代が幕を開ける。




取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: 河村勇輝 横浜ビー・コルセアーズBリーグ

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