月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2023.01.30

心身ともにチームの中心に…木村圭吾、プロ2年目の挑戦

プロ2年目に挑む木村圭吾

実践学園中では全中優勝、八王子高でも爆発的なスコアラーとして名を馳せた木村圭吾は、高校卒業後にスラムダンク奨学金の第12期生として渡米。セント・トマスモア・スクールを経てセント・ジョセフ大(進学当時はNCAAディビジョン3)へ。そして、昨季開幕前に帰国すると、20歳の若さで新潟アルビレックスBBと選手契約を結び、プロ選手としての第一歩を歩み出した。

昨季は先発4試合を含む28試合に出場し、平均4.8得点。プロの水にも慣れた今季は成績を軒並み伸ばして第20節のアルバルク東京戦を終えて34試合の出場で平均6.9得点、2.7リバウンド、さらにはチームハイの3.3アシストを記録している。

【写真10点】新潟アルビレックスBB対アルバルク東京フォトギャラリー

木村個人としては着実なステップアップを果たせていることは間違いない。ただ、新潟は5勝29敗と苦戦が続いており、大黒柱のロスコ・アレンのケガやヘッドコーチの途中交代、外国籍選手の入れ替えなど、なかなか地に足をつけてプレーに打ち込めていないのが現実だろう。

アシストの数字にも表れているように、チーム事情もあってプレーメイカーとしての役割も増えたシーズン前半について、木村は「昨季からガードの選手が困っているときに自分もボール運びをすることはありましたが、しっかりとフォーメーションを自分が作るというのはあまりやったことがありませんでした。やったことがない分、大変ではありますが、自分でもそれはできると思うのでそういう役割をさせてもらっています」と言う。実際、A東京との第1戦では5アシストとチームハイの本数を記録した。もともとは生粋のスコアラーであり、周りの選手を使うよりも使われる立場だった木村だが、特に今季はその役割に大きな変化がある。



そして、「変化」という面ではプレーのみにとどまらない。昨季は自身がチーム最年少だったが、今季は1つ下にモサクオルワダミロラ雄太ジョセフが加わり、特別指定選手として同い年の小池文哉が、さらにもう1人、木村よりも一回り若い17歳の武藤俊太朗(開志国際高3年)がチームに加わった。新潟の“末っ子”だった木村に一気に3人の弟分ができたのだ。

特に武藤に至っては現役高校生で、その姿を昨季の自分に重ね合わせる部分もあるという。「彼は高校生で落ち着いてはいるんですけど、やっぱりまだちょっと緊張しちゃうときや、練習で戸惑っているところもあります。去年の自分も全く同じで何をしたらいいのかも分からない感じだったので、助けるところは助けようにしてます」

武藤のデビュー戦となった1月21日のホームでのシーホース三河戦後には「今自分がいってもいいのかな、という感じになっていたように見えたので『ああいうときは自分で攻めていい時間帯だからいけ』という話をしました」そうだ。

そうした後輩たちへの接し方や、逆に大ベテランの池田雄一らとは試合前のシューティングでじゃれあっている場面もあり、新潟というクラブに心身ともにフィットしてきている様子がうかがえる。



ただ、持ち味の得点力でチームを引っ張るという面ではまだまだ。FG成功率は35.5%、3P成功率も31.8%とお世辞にも高い数値とは言いがたく、A東京との2試合でも初戦が3得点、2戦目が6得点と物足りない。得点の面については木村自身も「シュートを打つときに判断を迷って打ったら絶対に入らないので、そこの判断力もっと良くしていけばスタッツも上がると思います」と言い、改善点も明確にしている。

まだまだ課題は多いが、ここからさらにギアを上げ、チーム、個人共に納得の成果に近付ければ、彼が新潟のスターになる日もそう遠くはないだろう。

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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