車いすバスケ「埼玉ライオンズ」とバイオレーラ<チームの絆を深めて目指す“日本一”>[後編・選手インタビュー]
“チーム力”を最大の武器に天皇杯での初優勝を目指す
埼玉ライオンズの選手たち
2022年1月20日〜21日、東京・渋谷の東京体育館にて「天皇杯 第48回日本車いすバスケットボール選手権大会」が開催される(大会初日は無料観戦可能)。新型コロナウイルスの影響もあって開催は3年ぶり。選手たちにとっては待ちに待った日本一を決める舞台となる。
10月に行われた東日本第2次予選会で3位となったのが「埼玉ライオンズ」である。1978年創部という歴史を持つライオンズは、3年前の第47回大会で準優勝に。前回大会から複数選手の入れ替わりもあったこともあって、初優勝を目指して臨む今大会にはフレッシュなメンバーで臨む。
「埼玉ライオンズ」特集パート2では、チームを引っ張る朏秀雄、赤石竜我、北風大雅、財満いずみに話を伺った。赤石、財満は共に昨年の東京パラリンピック代表チームでも活躍した選手として記憶が新しい。しかし、ライオンズ最大の武器は“チーム力”にある。
赤石 竜我
「健常者のバスケとは違う
魅力がこのスポーツにはあります」

――車いすバスケを始めたきっかけについて教えてください。
「まず私は5歳の時に脊髄損傷を負って車いす生活になりました。その後、3つ上の兄がバスケを始めたのと、仲良かった友達がバスケを始めるというタイミングで一緒にスタートしました。中学校の時ですね。地元から近い埼玉ライオンズでプレイを始めたのです。車バスケ歴としては9年になりますね」
――プレイヤー側から感じる車いすバスケの魅力とはどんなところになりますか?
「健常者のバスケットボールと比較すると、より激しいコンタクトがあるところは、魅力だなと思います。車いす同士がぶつかる金属音はこのスポーツならではですね。それと、車いすならではの疾走感というのも、魅力だと思っています」
――昨年は東京パラリンピックで銀メダル獲得に貢献されました。ご自身では強みはどこにあると思っていますか?
「ディフェンス力を最も評価していただき、東京パラリンピックにも出場させていただきました。プレイを始めた時から、スピードが取り柄だったのですが、チェアスキルという部分も評価していただいたと思います」
――今後、天皇杯(2022年1月20日〜21日、東京・渋谷の東京体育館で行われる「天皇杯 第48回日本車いすバスケットボール選手権大会」)に向けて伸ばしたい、もっとアップしたいというポイントはありますか?
「ディフェンス力と反対の部分のところで得点力ですね。もっと限定して言うとアウトサイドシュートです。外からのシュートを安定させていきたいなと思います。健常者のバスケットボールと同様に、車いすバスケの時代の変化と言いますか、3Pシュートを武器とする選手も増えていきています」
――オフィシャルトップサプライヤーの「バイオレーラ」について、どんな印象をお持ちですか?
「本当にいつもお世話になっています。バイオレーラさんのユニフォームを着てプレイさせていただいているというのはうれしいなと思っていますし、感謝しています(笑) 車いすバスケ“あるある”で、車いすを漕ぐ際にウエアに指が引っかかったり、生地が硬いと腕を上げる際に引っかかったりすることがあるのですが、バイオレーラさんのウエアの場合、そういったことがないのは良いなと思っています」
――今後の目標を教えてください。
「来年1月には、車いすバスケの日本一を決める天皇杯があります。そこに向けてチーム一丸となって埼玉ライオンズは練習を頑張っています。そこで日本一を目指したいというのが一つ目標です。
また車いすバスケというスポーツについて、あまりよく知らない人も知っている人もいるかと思いますが、健常者のバスケとは違う魅力がこのスポーツにはあります。今後は車いすバスケにも注目していただけたら、一アスリートしてうれしく思います」
Profile
赤石 竜我(Akaishi Ryuga)
持ち点:2.5、ポジション:F、インスタグラム:@ryugaakaishi
北風 大雅
「バイオレーラさんのウエアは
着用すると気持ちが上がります」

――車いすバスケを始めたきっかけについて教えてください。
「元々小学1年生から高校3年生までサッカーをやっていました。大学1年生の時に事故に遭ったのがきっかけで車いす生活になり、高校時代の恩師の計らいもあって、京谷和幸さん(現車いすバスケットボール男子日本代表ヘッドコーチ、元Jリーガー)の講演を拝聴した際に、車いすバスケという競技を知り、福井県の方に誘っていただいて始めました」
――初めてプレイしてみた時の気持ちは覚えていますか?
「正直、舐めていましたね(笑) 18歳で元気だし、運動好きだったので自信もあったのですが、一緒にやった中学3年生の子とか還暦を超えた方にけちょんけちょんにやられて、悔しい! となりました。足を失っても風を切る楽しさを味わえるし、車いすスポーツの素晴らしさもわかりましたね。それでうまくなりたい、世界と戦いたいとなりました」
――ライオンズにはいつ、どんな経緯で入団したのですか?
「入ったのは今年の6月です。元々ワールドバスケットボールクラブ(愛知県名古屋市)に所属していたのですが、東京転勤を機に移籍となりました。もっと強くなりたい、うまくなりたいという気持ちもありましたし、自分が入って力になりたいと思えるチーム、厳しいチームに入りたいと思ったのが理由です。このチームは、誰が出ても強いというところが魅力と感じていて、チームのためにプレイして一緒に日本一になりたいですね。天皇杯でてっぺんに立ちたいと思っています」
――改めて車いすバスケの魅力はどんなところにあるか教えてください。
「見て楽しいしやって楽しい。会場ではタイヤの擦れる匂いなども楽しめる。ボールに触れて楽しめるし、さまざまな音も楽しめる。車いすバスケは五感で楽しめるスポーツと言っています。だから、ぜひライブで体感してほしいですね」
――プレイヤーとしての武器、長所はどこになりますか?
「何より元気があること、チームのためのディフェンス、戦う姿勢というところだと思います。スピードには自信があるので、攻防で貢献したいですね」
――チームのユニフォームは「バイオレーラ」のものです。どんな印象がありますか?
「個人的に洋服はシンプルなものが好きなのですが、バイオレーラさんのウエアはシンプルなデザインがかっこいいなと思っています。何より着用すると気持ちが上がりますね」
――今後の目標をお願いします。
「私は4.5と点数が高いので、チームの中心になれるようにしたいですね。目の前には日本一を決める天皇杯が迫っています。簡単なことではないですが、日本一になりたいですし、なれるチームだと思っています。
車いすバスケは認知が広がってきていますが、まだまだとも思っています。一人一人のバックグランドも知ってほしいですし、会場で楽しんで応援していただきたいなと思います」
Profile
北風 大雅(Kitakaze Taiga)
持ち点:4.5、ポジション:PF、出身地:福井県、インスタグラム:taiga_kitakaze18
埼玉ライオンズ着用 ゲームウエア
バイオレーラ フルカスタム昇華カットスリーブシャツ・パンツセット
財満いずみ
「チームの目標は天皇杯優勝
男子選手の中でも活躍できる
というのを見せつけたい」
――車いすバスケを始めたきっかけについて教えてください。
「元々姉と共にミニバスをやっていて小学6年生の時に車いす生活になりました。地元での国体(山口、2011年)でボランティアを務めたのですが、その際、車いすバスケの女子選手に声をかけてもらって競技用車いすに乗った時に“楽しいな”と思ったのがきっかけです。中学2年生からプレイを始めました」
――昨年は東京パラリンピック(6位)でご活躍。そして今年ライオンズに移籍とお伺いしました。
「今年4月に移籍してきました。それまで男子チームにも所属していたのですが、自分の持ち点をうまく生かしきれていませんでした。代表選手としてもっと上を目指すためにも、頂点を目指すクラブチームで“頭を使ったプレイ”を磨きたいと思ったこと、それと中井健豪(ヘッドコーチ)さんの下でプレイしたいと思って入団しました」
――ライオンズの魅力はどんなところにありますか?
「ライオンズは “主役のいないチーム”と言ったりします。みんなで頑張って得点を取りにいくというところにこだわりを持っているところは魅力だと思います。各選手が活躍する場所が確立されているのです」
――“頭を使ったプレイ”というのは具体的にはどんなプレイでしょうか?
「車いすバスケ特有の話ですが、スクリーンで大きな選手の道を作ったりなど、先を読んでのプレイですね。(体の大きい男子選手とのプレイは)最初は怖かったですよ(笑) でも性別関係なく、対等にプレイしてくれるので慣れました。だから代表で海外選手とやっても、臆することはありません。ここの練習に比べたら“全然だな”と思えるんですよ(笑)」
――プレイヤー側から感じる車いすバスケの魅力とはどんなところになりますか?
「いろいろな障碍の方が出られるのが魅力の一つだと思いますし、自分は女子選手で男子の中だと体重差、体格差を感じることが多いのですが、周りが自分をうまく生かしてくれますし、楽しんでプレイできています」
――「バイオレーラ」のウエアについてどんな印象をお持ちですか?
「これまで色々なチームに所属してきましたが、ウエア提供があるチームに初めて所属させていただいて、こんな光栄なことはないというのが率直な思いです。デザインも好きですし、私は体がすごく小さいのですが、しっかりサイズが合うものを提供してくれるというのはうれしいですね」
――今後、成長したいところはどこでしょうか? また目標についても教えてください。
「コーチからもつなぎ役というか中間でボールを運べるようになってほしいと言われています。私は障碍が一番重く、かつ女子選手が入ることで持ち点の幅が広がるので持ち店の大きな選手3人が出られます。その3人がもっと生きるよう自分がボールを受けられるよう取り組んでいます。
チームの目標としては天皇杯で優勝すること。自分の野望としては、女子選手の道を閉ざさないことです。以前は天皇杯に女子選手が出られませんでした。それを女子でもできると証明して道を築いてくれたので、私も男子選手の中でも活躍できるというのを見せつけたいと思っています」
――最後にメッセージをお願いします。
「車いすバスケはまだ見たことがないという方もいますが、生で見ていただけたらうれしいですし、今後、自分でもそういう企画ができたらなと思っています」
Profile
財満 いずみ(Zaima Izumi)
持ち点:1.0、ポジション:F、出身地:山口県防府市、インスタグラム:@izumizaima
財満選手着用ウエア
朏 秀雄
「バイオレーラは動きやすし、着やすい
個人的に気に入っています」

――車いすバスケを始めたきっかけについて教えてください。
「20歳の時に車いすバスケを始めました。19歳で交通事故に遭って障碍を負ってリハビリ施設にいる時に、体育館にライオンズが練習に来たのです。そこで“練習に来ない?”と誘われて入部となりました。車いすバスケ歴としては十数年ですね」
――プレイヤー側から感じる車いすバスケの魅力とはどんなところになりますか?
「障碍を負ってもやれるスポーツというのは大きいなと思います。ケガをする前にバスケをやってはいないので、違いを説明するのは難しいのですが、障碍を負っていろいろなことができないなと感じる中で “こんなことができるんだ!”というイメージを持たせてくれたのが車いすバスケでした。中学校では部活をやっていましたが、高校では入ってなかったので、車いすバスケでスポーツの楽しみを知った感じですね(笑)」
――ライオンズの魅力はどんなところでしょうか?
「今のメンバーでいうと、東京パラリンピック後に若い子が入ってきて、かなり顔ぶれが一気に変わりました。みんな気持ちを入れて情熱を持ってやっているというところだと思います」
――ご自身のプレイの特徴はどんなところでしょうか?
「私は障碍も軽くて4.0という持ち点なので、相手とのコンタクトがあるゴール下でのプレイが多いです。車いすも大きいので高さが求められるところでプレイしますし、早くゴール下に行ってボールをもらってシュートを決めるというのが自分の特徴だと思っています」
――長年、プレイをしてきて車いすバスケに対する捉え方というのは変わってきたりしますか?
「変わらずおもしろいですね。ずっとおもしろいです(笑)」
――「バイオレーラ」のウエアについて使用感はいかがですか?
「私はライオンズに入って、早い段階からバイオレーラを着用していたのですが、動きやすいなと思います。デザインも、プリントタイプなので重くなくて着やすい。そこは個人的に気に入っています」
――今後の目標について教えてください。
「まずは天皇杯優勝を目指して練習をしています。頑張って予選を勝ち上がってきたというのもあるので、まだ1回も経験していない優勝を勝ち取りたいですね。(新型コロナウイルスの影響で)今大会は3年ぶりの開催でライオンズとしての活動も制限されたりしていたので“戦いたかった”というのもあります」
――読者へのメッセージをお願いします。
「車いすバスケは障碍者スポーツではありますが、健常者の方、女性の方も試合に出られたりするスポーツです。見ていただければ、皆さんも興味を持っていただけると思うので、ぜひ大会に来ていただいて、応援していただけたらうれしいです」
Profile
朏 秀雄(Mikazuki Hideo)
持ち点:4.0、ポジション:PF、出身地:埼玉県所沢市
埼玉ライオンズ着用 ゲームウエア
バイオレーラ フルカスタム昇華カットスリーブシャツ・パンツセット
バスケウエアブランド【 VAYoreLA 】
埼玉ライオンズオフィシャルサイト