安間志織とベネツィア、日本時間1.13(金)未明にユーロカッププレーオフ2試合目 - 8点差以上で勝たなければ敗退の大ピンチを乗り切れるか?
サッサリとの初戦での安間志織(写真/©FIBA.EuroCup2022-23)
安間志織が所属するベネツィア(Umana Reyer Venezia)が、FIBAユーロカップ2022-23シーズンの山場を迎えている。
ベネツィアはグループステージでは6連勝を飾ってグループHの首位としてプレーオフ進出を決めた。プレーオフに進出した32チーム中のランクは1位であり、優勝候補筆頭だ。しかし日本時間1月6日(イタリア時間5日)に行われたプレーオフのラウンド1初戦で、同じイタリア勢のサッサリ(Banco di Sardegna Dinamo Sassari)との対戦に82-89で敗れ、窮地に立たされている。サッサリはグループJでの6試合を2勝4敗の3位で終え、同ランク32位で辛くもプレーオフ進出を果たしたチームであり、これは大金星、多くが予想しなかったビッグアップセットだった。
プレーオフラウンド1はホーム&アウェイの2試合シリーズで、2試合の合計得失点差で上回ったチームが次のラウンドに進出できるフォーマット。初戦で7点のビハインドを背負ったベネツィアは、第2戦で8点差以上をつけての勝利が必須条件となっている。
初戦のベネツィアはスターティングガードの一人であるマリエッラ・サントゥッチ(Mariella Santucci)とバックアップセンターのロレラ・クバイ(Lorela Cubaj)を欠く状況で、第1Qを13-24と11点差を追う形で終えた後、第2Q(19-23)、第3Q(15-21)もサッサリに上回られる大苦戦。第4Q残り9分38秒時点では47-71と24点差をつけられ、挽回不可能かと思わせたほど厳しい状況まで追い詰められた。
救いはその後の35-18の猛反撃で、残り1分25秒に一度は81-84と1ポゼッション差まで追い上げられたことだ。この反撃がなければ、第2戦は絶望的な挑戦となっていたことだろう。
その時間帯に、安間も2アシストとクラッチフリースロー2本による2得点と活躍した。最終的に安間はフィールドゴール2本中1本成功にフリースロー3本を加えての5得点、2リバウンド、5アシスト(チームハイ・タイ)、1スティールの数字を残している。
第2戦では、安間のプレーぶりが結果に大きな影響を及ぼす可能性がありそうだ。見どころをいくつか挙げてみたい(この試合は日本からもFIBA公式YouTubeチャンネルで無料視聴が可能[文末参照])。
ユーロカッププレーオフ、ベネツィアvsサッサリ第2戦の見どころ
■相手の得点源の一人カランジェロへの対応
最大の見どころは、初戦でゲームハイ・タイとなる21得点と4アシストと活躍した相手のプレーメイカー、デボラ・カランジェロ(Debora Carangelo)に対する対応だ。サントゥッチのコンディションがわからないためどのような対応になるかも想像が難しいが、初戦の第4Qに展開したビッグランは安間のカランジェロに対するフェイスガードが奏功していた時間帯だった。
デボラ・カランジェロと安間のマッチアップはこのシリーズのカギとなる要素だ(写真/©FIBA.EuroCup2022-23)
これを40分間の戦いの中でどのように適用していくのか、しないのか。アンドレア・マッツォーンHCの腕の見せどころでもある。
■フロントラインとシューターにどれだけチャンスを作り出せるか
サッサリとの初戦でベネツィアの得点源となったのはセンター陣で、ゲームハイ・タイとなる21得点のアワク・クィエール(Awak Sabit Bior Kuier)と19得点のジェシカ・シェパード(Jessica Lynn Shepard)で40得点を稼いだ。加えて頼りとなったのは3Pショット4本すべて成功を含めフィールドゴール9本中7本成功で19得点を記録した、シューターのアントニア・ディラーレ(Antonia DELAERE)だった。
アワク・クイェールらビッグセンターを安間がどのように生かすことができるかもこの対戦の大きな見どころの一つ(写真/©FIBA.EuroCup2022-23)
この3人を中心とした得点分布を、安間が自身の得点力を生かしながらどんな形で描いていくか、非常に興味深い。
■上昇中の得点力がどこまで発揮されるか
安間はサッサリに敗れた後、イタリア国内リーグのセリエA1における新年初戦で、カンポバッソ(La Molisana Magnolia Campobasso)を相手に3Pショット4本中2本を成功させ、イタリアでのキャリアハイを更新する17得点(5リバウンド、1アシスト)を記録した。故障者がいる状況でこのスパークは大きく、チームも81-80という大激戦の勝利を手にすることができた。
安間はここまでに出場したセリエA1での11試合では平均7.0得点。しかし最初の6試合が平均5.0得点だったのに対し、直近5試合では3試合で2桁得点を記録して9.4得点まで伸ばしている。
インタビューでも得点面での貢献に意欲を見せていたが、この得点増加傾向と意欲がどんな形で表現されるか。必ずしも大量得点は必要ない。それでもどこからでも得点できる脅威を見せることで、ベネツィアの総合的なオフェンスの威力が高まるのは間違いない。
■ターンオーバーをどれだけ抑えられるか
初戦で安間は5つのターンオーバーを犯している。そのうち2つはトラベリングで、ほかのプレーヤーにもリズムに乗ったステップをトラベリングに吹かれるコールがあったが、笛の精度というよりも傾向もつかんで、ぜひともターンオーバーは減らしたいところだ。ターンオーバーに厳しいマッツォーンHCの期待に応えられるかどうかも、ベネツィアのオフェンスに大いに影響するだろう。
ダブルタイトル実現に勝たなければならない一戦、運命やいかに!?
サッサリはセリエA1では、3位のベネツィア(13勝2敗)を2ゲーム差で追いかける4位(11勝4敗)のチーム。安間にとってはベネツィアに合流後の初戦で当たって勝利した相手だ。このときはホームで84-60と圧倒しており、安間個人は6得点、1リバウンド、6アシスト、2スティールという数字だった。
ユーロカップのプレーオフラウンドは1試合ずつの勝負というよりも、8クォーターの戦いだ。現在7点ビハインドを背負っているが、国内リーグでの初戦と同じ戦いぶりができれば、ベネツィアは次のラウンドに進出することができる。ユーロカップとセリエA1制覇のダブルタイトルを目指しているベネツィアの運命はどうなるか? ティップオフは日本時間では深夜3時30分だ。
ビッグゲームでアンドレア・マッツォーンHCは安間にフロアジェネラルとしての活躍を期待していることだろう(写真/©FIBA.EuroCup2022-23)
☆ベネツィアvsサッサリ観戦リンク(FIBA公式YouTubeチャンネル)
文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)