月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2023.01.08

1.14(土)・15(日)@有明アリーナ(メインコート)の東京ユナイテッドBCホームゲーム「TUBC fes」は見逃せない

東京ユナイテッドBCは10月9日のホーム開幕戦で9,295人の大観衆を集めた

今シーズンからB3リーグに新規参入している東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(以下東京U)が、ホームとする有明アリーナで今シーズン2度目となるメインコートでの公式戦を114日(土)・15日(日)の両日に開催する。一昨年夏に開催された東京2020パラリンピックで車いすバスケットボールの会場となったメインコートは15,000人を収容することができる施設。金沢武士団を迎え撃つ2023年が明けてからの最初のホームゲームとなる両日を、東京Uは「TUBC fes」と名付けて盛り上げようと準備を進めている。


B3リーグ2022-23シーズン第14節で行われる両チームの対戦は、歴史的な出来事となる可能性が大いにある。というのは、有明アリーナメインコートで行われた東京Uの創設初ホームゲーム(昨年109日・10日に行われたさいたまブロンコス戦)は、GAME19,295人、GAME28,120人という大観衆が集まったからだ。


2022年10月9日の有明アリーナの様子。ご覧の通りの大観衆だ(写真をクリックすると当日の観客席の様子を写した映像が見られます)

初日の数字はB1クラブの歴代最多入場者数(クラブ主管による試合)さえも上回る快記録。となれば、有明アリーナのメインアリーナにおける東京Uの3試合目・4試合目となる14・15日に来場するブースターは、もしかしたらその記録を更新する現場に立ち会うことになるかもしれない。

そんなワクワクの期待感以外にも、この2連戦には楽しみなポイントがいくつもある。「TUBC fes」というタイトルを掲げているだけに、これは江東区有明を舞台にしたバスケットボールの祭典だ。「人、食、アート、文化を集め、バスケットボールと関連させた様々な形の参加機会を作り出し、ともに楽しめる空間を作っていく」がコンセプト。子どもたちがアトラクションを楽しめるキッズエリアやアートの展示を楽しめるアートエリアが用意され、車椅子バスケ体験会や複数のキッチンカー出店なども企画されている。


ホーム開幕戦では子どもたちがバスケットボールに触れあえるスペースもあったが、このようなアトラクションが今回もあるようだ

試合の方に目を転じれば東京Uが現在179敗の6位で、今シーズンの新規参入クラブ中唯一、現時点でプレーオフ圏内に入る大健闘。一方の金沢も、917敗と黒星が先行してはいるものの、プレーオフ圏内の8位にいる岐阜スゥープス(1115敗)を2ゲーム差で追う10位。こちらも後半戦が楽しみな状況となっている。

東京Uではガードのマイケル・クレイグがリーグトップの平均アシスト6.8本。クレイグは1.8スティールもトップ10入りの好成績だ。


マイケル・クレイグ

金沢ではオレクサンドル・アンティボの平均21.3得点、9.7リバウンド、イホール・ボルヤキムの平均5.0アシスト、奥田雄吾の平均1.7スティールがいずれもリーグのトップ10に入っている。アンティボ、ボルヤキム、そしてヤキブ・ティトブという金沢の3人の外国籍選手はウクライナからの難民として入国したプレーヤーだ。命からがらの思いで戦禍を逃れて来日した彼らが、記録的な大観衆の前で全力プレーを披露できる機会を得られるとすれば、それもまた歴史の1ページであるかもしれない。


奥田雄吾

109日の有明アリーナには、開催前から大勢のお客さんが集まるだろうというおぼろげな予想は聞いていた。しかしティップオフが近づくにつれて徐々に埋まっていく座席の様子や、洗練されたデザインのコートを眺めを見ながら、どこか目の前の光景が現実のものと思えない不思議な感覚にとらわれていった。「これはB3の試合だよな? しかも新規参入チームの最初のホームゲーム!?」

みごとな3Pショットや豪快なダンクのたびに観客席が笑顔で満たされ、9,295人の口からマスク越しに感嘆の声が漏れ聞こえる。熱気にあふれかえったどでかい有明アリーナは、取材に来てよかった…という以上に、バスケットボールの喜びに満ちたこの空間にいられること自体を幸せと思える場所だった。




試合内容的にも熱戦で、終盤追い上げる東京Uをわずかにかわして90-82でさいたまが勝利を収めたが、敗れた東京Uの早水将希HCは試合後の会見で、勝敗はもちろん大事で勝ちたかったことを語りながら、「試合をやりながら僕自身も幸せな気持ちでした」と素直な気持ちを語っていた。キャプテンの宮田 諭は「会場を見ていて感動して泣きそうになってしまいました」というコメントを残し、さいたまの泉 秀岳HCも「こんなに人がいるのは初体験だったので、それだけでうれしかったですね」と感激した様子だった。


東京Uはその週の2試合をいずれも落としており、今度こそメインアリーナでの初勝利を大観衆にプレゼントしようと燃えているはず。はたして歴史的勝利は実現するのか。また、それは歴史を塗り替える大観衆の前で起こるのだろうか。バスケットボールファンにとって見逃せない週末がやってくる。

B3リーグ第14節、東京U vs 金沢チケット概要ページ(東京U公式サイト)



取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 東京ユナイテッドバスケットボールクラブ 金沢武士団B3リーグTUBC有明アリーナ

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