月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2022】桜色の“ハンドルモンスター”舘山洸騎

キレッキレのハンドルを持つ2年生ガード


今年の桜丘はなかなかに面白いチームだ。春先に長く指揮を執った江﨑悟コーチが勇退し、教え子でもある水越悠太コーチが新たな指揮官に就任。

チームの伝統は継承しつつも、戦術的にはこれまでのチームの代名詞でもあったエイトクロスは用いず、アグレッシブなディフェンスからガード陣を起点とした走るバスケットへとスタイルを一転させた。

日本人選手はもちろん、2人の留学生(#7セイ・パプ・マムウルと#23ラワル・ソレイマン)もスピーディーなバスケットについてこられる機動力があり、その面では全国指折りのポテンシャルを秘めていると言えるだろう。

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そんなチームのエースは司令塔の#91土家来嵐。報徳学園との2回戦で同点に追いつく3Pブザービーター、延長では決勝点となるレイアップを決めたスコアリングガードだ。そしてもう一人の中心選手として土屋とバックコートを組むのが、本稿の主人公#1舘山洸騎である。

身長は180cmと決して大きくはない#1舘山だが、ストリートボールを彷彿させるキレキレのハンドリングスキルを持ち、スピードと体感の強さを生かしたドライブは相手にとって脅威そのもの。観る側もうなってしまうような個人技で新生・桜丘をけん引している。

バスケットをやっていた両親の影響で自身も競技を始めたという#1舘山は「バスケを始めたときからシュートを打つよりもドリブルをつくことが大好きでした。ゴールがあるのに端の方でドリブルをついているような子どもでした(笑)。ハンドリングについてはSOMECITYの方に教わることもあります」という根っからのドリブラー。

そんな舘山の憧れはNBA史上最年少でレギュラーシーズンMVPを受賞したデリック・ローズ(ニックス)だそう。「全盛期のローズはハンドリングもパスもダンクもものすごかったですし、それが自分の目標です」(#1舘山)。

まるで地面にボールを突き刺すような鋭いクロスオーバーに一歩目の爆発的なスピード、体の強さと身体能力の高さ、そして背番号「1」…それらの特徴は全てローズから来るものだったというわけだ。

今大会でもスタメンを務めた#1舘山は初戦の京都両洋戦ではディフェンスとパス回しに徹して、11アシストに5スティール。得点が6に留まったことについて本人は満足していなかったが、京都両洋が後半に取った3回のタイムアウトは全て#1舘山が絡んだ得点後(レイアップ1本とアシスト2本)に要求されたものであり、彼のプレーがいかに相手の脅威になっていたかが分かる。そして、今日の2回戦ではシュートタッチも戻って19得点。加えてリバウンドが6本にアシストが7本とオールラウンドな活躍が光った。

#1舘山のプレーについて水越コーチは「彼は今年ブレイクして試合に出始めた選手です。メンタル面はちょっとまだナイーブなところがある選手ですが、彼がどんどんアタックすることが相手チームにとっては嫌なことだと思います。(京都両洋戦では)2Qから立て直して、それ以降は彼の良さも出ていたのでさすがだなと思いました」と、信頼を寄せている。

彼はまだ2年生で、来年はさらに化ける可能性もある。磨き上げられたドリブルで会場を沸かせるハンドルモンスター”#1舘山。うなるようなプレーを見たい方は、明日の藤枝明誠戦でぜひ桜色の1番が見せるハンドリングに注目してみてほしい。

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写真/©︎JBA、取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: ウインターカップ 高校バスケウインターカップ2022

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