月刊バスケットボール5月号

ENEOSがデンソー下し前人未到の10連覇<皇后杯2022>

前人未到の皇后杯10連覇を達成したENEOS(撮影/石塚康隆)

 第89回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド決勝が1218日に国立代々木競技場第二体育館で行われた。ENEOSサンフラワーズ対デンソー アイリスは皇后杯ファイナルで7回目の顔合わせ。皇后杯9連覇中のENEOSは、その全てで勝利を収めている。対するデンソーにとっては7度目の挑戦で悲願の初優勝を目指す戦いとなった。


  ジャンプボールを制したENEOSの渡嘉敷来夢がそのままインサイドへと走り込み、パスを受けゴールを決めて試合は始まった。気迫を見せる渡嘉敷が連続して得点をあげるENEOSに対し、デンソーは赤穂さくらがミドルシュートを決め続け対抗する。その後もENEOSは長岡萌映子が、デンソーは赤穂さくら、本川紗奈生らが確率良くシュートを決め続け、20-17とデンソーがわずかにリードして1Qを終えた。

「誰が出ても点を取れるのがウチの強み」とデンソーの大黒柱・高田真希は準決勝後に語ったが、選手層が厚く交代を多用するデンソーは、この日も多くの選手が得点を決めてくる。一方のENEOS2Qに入ると林咲希が3Pシュートを連続して沈めて踏みとどまる。また、宮崎早織がスティールからの速攻を見せるなど一進一退に持ち込む。ENEOSの渡嘉敷が決めれば、デンソーの高田が決め返し、デンソーの赤穂ひまわりが3Pシュートを決めれば、ENEOS長岡が決め返すなどなど、両者譲らぬ展開で39-37ENEOS1ゴールリードで試合を折り返した。

  後半に入っても、デンソーはバランスの良い攻撃を見せ、対するENEOSは宮崎から渡嘉敷のホットラインで加点し、拮抗状態は続く。それでもデンソーは前半唯一不調だった3Pシュートを篠原華実が2本決めて、50-491点リードで最終クォーターを迎えた。

 後半からデンソーはゾーンディフェンスを併用して、ENEOSオフェンスに重い展開を強いてきたが、4Qには「フラッシュ(タイミングを合わせて勢いよく動いてパスを受けるプレー)から」とのベンチの指示から、長岡が「自分の役割」とハイポストにフラッシュして、ゴール下の渡嘉敷に合わせて攻略。さらには長岡、星杏璃が立て続けに3Pシュートを沈め、59-50とこの試合始めてENEOSが均衡を破る。試合の残りは756秒。デンソーはタイムアウトで流れを止める。

その後、デンソーは赤穂さくら、本川が得点するも、ENEOSは渡嘉敷がゴール下で踏ん張り流れを渡さない。また、激しいディフェンスから宮崎がドライブなどを見せ、ジリジリと点差を開いていく。デンソーは高橋未来、赤穂ひまわりが3Pシュートを決めて追いすがるが、ENEOSは渡嘉敷、長岡らがインサイドで加点し、リードを守り切った。
 
 一瞬の勝負所をしっかりとつかみ、それを離さなかったENEOSが、76-66でデンソーの挑戦を退け、皇后杯10連覇を達成した。

 デンソーの赤穂ひまわりは「自分たちが離せるところで離せず、ENEOSさんは決めなければいけないところを決め切った。そうしたところで、相手が一枚上手でした」と振り返る。7度目の挑戦もかなわなかった高田は「ディフェンスで中途半端になってしまったところを突かれてしまった。ただ、自分たちのバスケットボールが間違っていないことには自信が持てたと思います。それを40分間、正確に続けられるように、練習から一つ一つスタンダードを上げていきたい」とすぐに再開するWリーグのレギュラーシーズンに向けて、気持ち切り替えた。

  準決勝で32得点・17リバウンド、決勝では32得点・22リバウンドとほぼフル出場で大車輪の活躍を見せた渡嘉敷が文句なしのMVPを獲得。「10連覇は意識せずに、一戦一戦勝ち切ることができました。最後まで選手それぞれが自分の役割を理解し、やり続けてくれました」「準決勝、決勝は11で守られたので、絶対に負けない。負けられないと。信頼してパスをくれたチームメイトに感謝です」と渡嘉敷は喜びを語った。それでも「まだ通過点」と気持ちを引き締める。「ENEOSは『皇后杯は強い』と言われないように、Wリーグでも優勝したい」と、ここ2シーズン離れているWリーグチャンピオン奪回へと目標を定めた。

■皇后杯2022 ベスト5

林 咲希(ENEOSサンフラワーズ #7

渡嘉敷 来夢(ENEOSサンフラワーズ #10/MVP

星 杏璃(ENEOSサンフラワーズ #59

赤穂 さくら(デンソー アイリス #12

赤穂 ひまわり(デンソー アイリス #88



飯田康二/月刊バスケットボール

タグ: 渡嘉敷来夢 デンソー アイリスENEOSサンフラワーズ

PICK UP