全ての中高生に知ってほしい! 基本のシュートを決め切る極意〈フリースロー編(3)〉[リバイバル記事]

基本のシュート〈フリースロー〉を決め切る極意を紹介
高いスキルやビッグプレーは試合を彩る要素になり得るが、基礎的なプレーができないことには始まらない。2022年1月のJr.ウインターカップでKAGO CLUBを準優勝に導き、福岡大附大濠高のスキルコーチも務める丸田健司コーチに、バスケットボールにおける基本的な得点方法であるレイアップ、フリースロー、そしてゴール下のシュートを決め切る極意を聞いた。
【画像】3選手のフリースローのルーティン&フォームを比較した連続写真はこちらをチェック!
〔フリースロー編〕
バスケットボールという競技の中で、唯一ディフェンスのプレッシャーを受けずに自分のリズムでシュートを狙えるのがフリースロー。しかし、それは同じくしてメンタル面で最もプレッシャーのかかるシュートでもある。どんな場面でも安定してフリースローを打つ秘訣とは?
《Point 4》リズム、フォーム、ルーティンを定める
フリースローは、ディフェンスのプレッシャーを一切受けないという大きなメリットがある一方で、心理的なプレッシャーが最も大きいシュートでもあります。それを決め切るには、まずはリラックスすること。
リラックスするためには力まずに、いつものフォームとリズムで打つこと。そのためには自分のフォームを固めた上で、ルーティンを定めることが大切です。リズムをつかむために、普段の練習ではルーティンを行ってからフリースローを打つまでの一連の流れを体に刷り込ませておきましょう。
その方法はドリブルをつく、ボールを回すなど、どんなものでもOKです。フリースローは打つまでには5秒の時間が与えられるので、そのうち3秒くらいをルーティンに使ってみるのも良いでしょう。
〈3選手のルーティン&フォームを比較!〉
この企画でプレーの実演を行ってもらった3選手にも自分のリズムでフリースローを打ってもらった(※写真は上記リンクより参照)。杉本はための時間を多めに作って集中力を高め、ボースハンド気味に打ち切る印象。宮嶋は深く沈み込んで下半身の力を最大限ボールに伝えている。そして、山銅は2人と比べてための時間も膝の角度も最小限で、顔の前から押し出すようにリリースしている。
《名シューター4選手のフリースロールーティンを紹介》
まるで精密機械のように正確にフリースローを射抜く達人が、どのリーグにも存在する。そこで、どんな状況でも変わらずフリースローを決め続ける選手たちをBリーグとNBAからそれぞれ2名ずつ紹介。そのルーティンを解説する。実際の映像が気になる方は、ネットなどで調べてみよう!
●ステフィン・カリー
[ゴールデンステイト・ウォリアーズ#30/188cm・84kg/PG]
滑らかかつシンプルなルーティンを持つ史上最強シューター
カリーのフリースローは、非常に滑らかかつシンプルだ。レフェリーからボールを受けると、左腰のあたりでキープしつつ、右足の爪先をフリースローレーンに合わせる。そこから右手でワンドリブルをすると同時に少し沈み込み、バネのように反発する力をボールに伝え、シュートするのだ。また、フリースローを打つ際にはマウスピースを口の左側にくわえているのも、カリー流のルーティンなのだろう。
●ダーク・ノビツキー
[元ダラス・マーベリックス/213cm・111kg(現役時)/PF]
ビッグマンの概念を変えた7フットシューター
“ビッグマンはフリースローが苦手”という固定観念を拭い去るきっかけとなった一人がノビツキーだ。両足を肩幅よりも少し広めに開き、膝を少し曲げる。呼吸を整えながらドリブルを3回つき、ややためを作ってからシュートを打つのがノビツキー流だ。21年ものNBA人生の中で一貫してこのルーティンを行い、キャリア平均成功率は驚異の87.9%。2011年のプレーオフでは1試合で24本全て成功という大記録も打ち立てた。
●金丸晃輔
[島根スサノオマジック#14/192cm・88kg/SF]
Bリーグ屈指のシューターにしてフリースローの達人
Bリーグでフリースローの達人といえば、真っ先に名が挙がるのが金丸だろう。右手の上でボールを持ちながら深呼吸し、左手に持ち替えてそのままドリブルを2回。左手でボールを転がして、やや膝を曲げながら放つそのシュートは、まさに機械のごとき正確さでリングへ。2019-20シーズンには65本連続成功&シーズン平均成功率97.4%という信じられない記録を打ち立てた。Bリーグではフリースローの試打までに5秒の時間が与えられているが、金丸にとってその時間は、集中力を高める時間であると共に、“休憩”の時間でもあるそうだ。
●齋藤拓実
[名古屋ダイヤモンドドルフィンズ#2/172cm・69kg/PG]
進化するスピードスターはフリースローも高確率!
ここで紹介している他の3選手とは違い、シューターというイメージではない齋藤だが、今季(2021-22シーズン)のフリースローの成功率は89.7%という超高確率。右手でボールを3度ついてから左の手のひらでボールを転がす。それと同時に肩甲骨を寄せるように両肩を回す動作をし、深く沈み込んで勢い良くシュートする。齋藤の今季の平均得点は11.7と2桁を記録しており、持ち味のドライブやミッドレンジからのシュートで自由自在に戦っている。その裏には高確率のフリースローという基盤があるのだ。
〈次回に続く〉
※『月刊バスケットボール』2022年7月号に掲載したものを再編集した記事になります
※取材協力者:丸田健司コーチ、杉本陽飛、宮嶋秀彰、山銅彪剛(*選手3名は取材当時は中学3年生、現在は高校1年生)、取材協力:KAGO CLUB、撮影場所:KAGO SKILLS LABO(大阪府堺市堺区柏木町2-4-3)
タグ: バスケ基本