月刊バスケットボール5月号

大阪薫英女学院と京都精華学園、ライバル関係を盛り上げる「2年生フォワード対決」に注目!

 

「U18日清食品トップリーグ」の女子最終日、大会を締めくくる一戦は京都精華学園と大阪薫英女学院によるインターハイ決勝戦のリマッチとなった。

 

 序盤は京都精華が#4イゾジェ・ウチェや#10八木悠香を起点にインサイドへの合わせで得点、対する薫英は#7島袋椛の3Pシュートや激しいディフェンスからの#4都野七海のワンマン速攻など、インサイドの京都精華対アウトサイド&ディフェンスの薫英というお互いの持ち味が色濃く表れた試合展開となった。

 

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 近畿地区でも幾度となく死闘を繰り広げてきた両者の戦いは、互いに一歩も引かない展開となり3Q終了時点でも54-54の同点という大接戦。勝敗が決したのは4Q残り5分を切ってからだった。1点ビハインド(58-59)で迎えた薫英のタイムアウト明け、京都精華が#4ウチェ、#10八木の連続得点で一気に畳み掛ける。対する薫英も絶妙なパスワークからズレを作ってイージーショットを演出するも、差し迫る時間と京都精華の高さが気になり、それまで入っていたショットに精彩を欠いてしまった。

 

 最終スコアは74-61で京都精華の勝利。残り4分44秒からのスコアは京都精華の15-3と、薫英にとっては勝負どころで決め切るという面で課題を残すゲームとなった。

 

中外と縦横無尽に得点を積み重ねた#7島袋

 

 しかし、この試合では大きな収穫もあった。インターハイで安藤香織コーチは「都野頼みの脱却」を課題の一つに掲げていたが、この試合では#4都野、そしてもう1人の点取り頭である#6熊谷のどかの得点が伸び悩む中、2年生の#7島袋がインサイド、アウトサイド問わず猛奮闘。ピック&ポップからの3Pや留学生を外に引き出してからのドライブ、インサイドの合わせなどで多彩に得点を伸ばし、トータル30得点、8リバウンドをもぎ取った。

 

 リーグ戦を通して薫英のスコアリーダー兼リバウンドリーダーとなった彼女の活躍に安藤コーチは「インターハイの頃は何もせずに立っているだけという場面もあったのですが、最近は攻める意識が出てきたというか。新チームに向けて、という意味でも彼女の自覚はだいぶ出てきました」と精神面での大きな成長を感じている。

 

 

 #7島袋本人も「トップリーグで毎週強いチームとやらせてもらえたので、出た課題を改善して試せる機会が毎週ありました。落ち込むひまもない中で練習して何回も試せるところは良かったです」とトライ&エラーを繰り返しながら一歩ずつ成長。「インターハイの決勝でビビってしまった」部分を課題にしながら「自分で攻めれらる回数が増えたのと、ディフェンスを自分に引き寄せてパスをするような周りを生かすプレーも意識しながらやれました。リーグ戦を通じてよくなっていった感覚です」と、より積極性や自信が増したようだ。

 

 また、この試合では京都精華の#10八木も#7島袋に負けじと29得点、9リバウンド、3スティール。インサイドでの安定したスコアに加え、自らドリブルで持ち込んでのジャンパーや3Pなど、よりアウトサイドを強調したプレーも披露し勝利に大きく貢献した。

 

得点にリバウンドに、この試合でも#10八木の要所の活躍が光った

 

 両選手は互いに1年時からスタメンとして活躍する2年生フォワードで、身長もほぼ同じ。天性のセンスを持ちながらも細かなスキルやボールへの嗅覚が鋭い部分も似通っていて、特にこの試合では得点のバリエーションにも通ずるものを感じさせた。

 

 そんな2選手にお互いのマッチアップについて聞くと「自分は八木さんみたいに能力もないし体の部分でも負けていますが、京都精華の中ではやっぱ一番意識しちゃう相手です。今日も結局、自分が点を取ったとしても取られ返されてしまったので、そういうところではまだまだ」と#7島袋。#10八木も「島袋さんも去年から試合に出ていて、ずっとマッチアップもしています。同い年というのもあるしポジションも同じなので対戦するときはちょっと気合が入ります」とライバルの一人として意識するところはあるようだ。

 

 京都精華と薫英の中でスポットライトが当たるのは#4ウチェや#4都野、あるいは#11堀内桜花や#6熊谷となることが多い。そんな中で、彼女たちと同等かそれ以上のインパクトを残す2年生フォワードの対決も、ウインターカップや来年度の両チームの戦いを占う上でチェックしてみると面白いだろう。

 

写真/©︎JBA

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

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