月刊バスケットボール1月号

NBA

2022.11.21

渡邊雄太(ネッツ)第4Qに爆発の3Pショット4本成功、古巣グリズリーズに“恩返し”の16得点で勝利、ヒーローインタビューに登場

 ブルックリン・ネッツの渡邊雄太が、日本時間11月21日(北米時間20日)のメンフィス・グリズリーズとの一戦で最終クォーターに3Pショット4本を成功させる活躍で、ネッツの127-115の勝利に大きく貢献した。この試合はオフコートの問題で出場停止となっていたカイリー・アービングの復帰戦という、現在のネッツにとって重要な一戦だったが、渡邊は試合を通じてフィールドゴール9本中6本を成功させ16得点を奪うとともに、リバウンドとアシストも3本ずつ記録。3Pショットも試合全体で6本中4本成功の成功率66.7%という上出来のパフォーマンスで存在感を示した。

 


試合後には、26得点でトップスコアラーだったケビン・デュラントやベン・シモンズ、アービングらチームのスーパースターを差し置いてヒーローインタビューにも対応した。以下はそのやりとりだ。


——Yuta, 4th-quarter, Yuta. Describe to me what got into you. You had 12 of your 16 points and dropped four threes.(第4Qは何が乗り移っていたんですか? 12得点、3Pショット45本成功でした)
I mean you guys can tell how much our teammates trusted in me, like by how they passed the ball. They’re just giving me great passes. I just made open shots. So, that was a team effort. (みんな皆さんも、周りがパスしてくれる様子から僕を信頼してくれているのがわかると思います。いいパスをくれるので、僕はオープンショットを決めただけです。チームワークのおかげです)


——And speaking of passing the ball, 33 assists. It’s very evident that you guys have special connection between you and KD and the entire team. How special is it to see that continue to build? (パスと言えばアシストが33本でした。あなたとKD、そしてチーム全体に連係ができているのが明らかです。その点が良くなってきていることはとてもうれしいのではないですか?)

 

I mean we’re getting better every day. The chemistry is getting better every day. So, we’ve just gotta you know keep trusting each other and keep improving ourselves. (日々よくなっています。ケミストリーも毎日よくなっています。今後もお互いの信頼を深めてさらに向上していきたいです)


——And the Brooklyn Bregade, they were screaming “Yuta” and they gave you a standing ovation. What is that mean just to see the fans screaming your name like that? (ブルックリン・ブリゲード[ネッツの熱狂的ファンを指す愛称]があなたの名を叫び、スタンディングオベーションを贈っていました。どんなお気持ちですか?)


That means a lot to me. Thank you for your help! We’re now just keep getting better. So, thank you guys! (本当にうれしいです。応援してくれてありがとうございます! これからもっと良くなっていきます。ありがとうございます!)

 


渡邊は試合前の時点で3P成功率55.6%がリーグ全体の1位だったが、この試合を終えてさらにその数字を57.1%まで上昇させ、トップの座を維持している。ここまでに出場した14試合におけるアベレージは平均18.2分の出場時間で8.1得点、フィールドゴール成功率60.9%、3P成功率が上記の57.1%、フリースロー成功率66.7%、2.9リバウンド、0.9アシスト、0.2スティール、0.5ブロック。これらの中でスティールとリバウンド以外はすべてキャリアハイペースだ。

 

 この試合で対戦したグリズリーズは、渡邊が2018年にツーウェイ契約を結んでNBAデビューの機会を得たチーム。長くマッチアップした相手のジョン・コンチャーは、渡邊がグリズリーズとその下部チームであるメンフィス・ハッスルを行き来しながら苦労していたときに、その苦労を分かち合った存在でもあった。そうした背景の中で熱戦となった第4Qには、3Pショットを決めた渡邊がシューティングハンドの左腕を指さしながらグリズリーズのベンチに笑顔を向ける場面もあった。

 

 試合の流れ上も、第3Q終了間際までネッツのリードは94-93の1点のみだったが、残り1秒を切って渡邊がデュラントからのパスを受けて速攻でレイアップを沈め、ネッツの最終クォーターを良い流れで始めさせることができた。その後の渡邊のオフェンスは、シューティングだけでなく自らのドライブで相手を引き寄せてアービングのイージー・レイアップをおぜん立てするアシストなど、1本1本がグリズリーズを崖っぷちに追い詰めるような効果があった。

 

 古巣に恩返しという形になった渡邉だが、ネッツの次の2試合も渡邊にとって特別な意味を持つ試合に違いない。日本時間23日(水=北米時間22日[火])はトロント・ラプターズでプレーした昨シーズンの最後に、自身初のプレーオフで対戦して敗れたフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのアウェイゲーム。その翌日は思い出深いトロントの街に初めて凱旋してラプターズと対戦する予定だ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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