月刊バスケットボール5月号

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2022.11.20

男子日本代表にも参考になりそうなスペインの快挙 - FIBA世界ランキングでアメリカを抜いて1位奪取

 11月18日付で発表された男子バスケットボールのFIBA世界ランキングで大きな動きがあった。2010年にランキングが導入されて以来12年間動かなかったアメリカの1位の座が、スペインにとってかわられたのだ。スペインはアメリカに続く歴代2番目のNo.1チームということになる。

 


ついに世界1位の座を獲得したスペイン。FIBAワールドカップ2023ヨーロッパ地区予選ではWindow5を終えて本戦進出を決めている。前列右から2番目にはアルバルク東京のセバスチャン・サイズの姿もある(写真/©FIBA.WC2023)


☆男子バスケットボールFIBA世界ランキングトップ10(11月18日付)
1. スペイン
2. アメリカ
3. オーストラリア
4. アルゼンチン
5. フランス
6. セルビア
7. スロベニア
8. リトアニア
9. ギリシャ
10. イタリア
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スペインの世界1位昇格は短期的な成果の影響ではなく、2019年のワールドカップ制覇、昨夏の東京2020オリンピックでのベスト8進出、それに続くユーロバスケット2022での優勝、さらには各大会予選での力強い戦いぶりにより、継続的に実績を残しランキングポイントを獲得した結果だ。一方アメリカは、2019年のワールドカップでベスト8にとどまり、東京2020オリンピックこそ金メダルを獲得できたものの、その後のアメリカップ2022で銅メダルに終わるなど成績としては不安定だった。


スペインはすでにFIBAワールドカップ2023への切符も手にしている。その安定感と成功の背景には、ナショナルチームとしての幅広いプレーヤープールを構成し、年月をかけてその強化に臨んでいる事実があることを、FIBAの分析は指摘している。

 

 セルジオ・スカリオロHCが代表戦に登録したプレーヤーは29人とのこと。そのうち6試合以上は9人、9試合以上は3人のみで、核とするプレーヤーとそれ以外のプレーヤーのケミストリーも育てていく考えが結果につながっているようにも見える。


前回のランキングから変動なしの38位という日本が、スペインの手法から学ぶことも多いのではないだろうか。


日本はワールドカップ2023予選の5つのWindowで登録されたプレーヤーの人数が32人。これは20人だったワールドカップ2019予選時に比べると大幅に拡大しており、その中から河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)をはじめ複数のプレーヤーがチャンスをつかんで飛躍を見せた。また、トム・ホーバスHCは有能な若手を集めて行うディベロップメント・キャンプの実施に対する意欲も見せている。この流れはまだ始まったばかりでスペインとは状況も異なるが、構想が定着すれば有望なタレントプールのさらなる拡大も期待できる。そうなればスペインとの共通点も多くなりそうだ。

 


河村勇輝は日本代表でチャンスをつかみ飛躍したプレーヤーの一人だ(写真/©FIBA.WC2023)


来年沖縄でグループラウンドを開催するワールドカップ2023、その翌年のパリ2024オリンピック出場権獲得に向け、日本の強化推進は待ったなしの状況。スペインの世界1位奪取は参考にしたい快挙だ。


なお、アジア・オセアニア勢ではオーストラリアの3位を筆頭に20位にイラン、26位にニュージーランド、27位に中国が続く。38位の日本はアジア・オセアニアでは7位となっている。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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