月刊バスケットボール6月号

NBA

2022.11.07

ケビン・デュラントがパートナー渡邊雄太の活躍を絶賛 - ネッツ逆転勝利後の声

 渡邊雄太が所属するブルックリン・ネッツが、日本時間11月6日(北米時間5日)のシャーロット・ホーネッツとの対戦で、第4Qに10点差を逆転する98-94の劇的勝利を挙げた。ネッツは前日のワシントン・ウィザーズ戦に続く今シーズン初の連勝。渡邊はこの試合で3Pショットを4本中2本成功させるなど8得点を挙げたほか、3リバウンド、3アシスト、2スティール、1ブロックを記録する大活躍を見せた。


終盤の逆転劇では、チームの柱であるケビン・デュラントと連係したピックプレーから3Pショットとゴール下でのレイアップを決めチームに勢いをもたらした。激闘の中、最後に勝負を決めたのはデュラント自身のミドルジャンパーと、神奈川県横須賀市生まれのキャム・トーマスのクラッチプレーだったが、カイリー・アービングとベン・シモンズという本来ならば柱として機能すべき二人のスターが不在な中、デュラントのリーダーシップの下で渡邊の活躍が勝利につながる試合となった。

 


試合後の会見ではジャック・ボーンHC代行とデュラントが、それぞれの言葉で渡邊の活躍を絶賛した。ボーンHC代行はヘッドコーチだったスティーブ・ナッシュがチームを去り、複数の主力を欠く苦境でチーム内に絆が生まれつつあることを語る中で、デュラントと渡邊の信頼関係について次のように語った。


「試合後皆の前で、一つのプレーを取り上げました。ユウタ・ワタナベに以前にもケビン・デュラントに会ったことがあったのかと尋ねたら、彼はなかったと答えたんです。しかし試合の終盤ケビンが右にドライブしてコーナーでオープンになったユウタにパスをつなぎましたよね。あれは信頼の表れだと話したんですよ」
“I pointed out one play to the group after the game. I asked Yuta Watanabe, had he ever met Kevin Durant before this? He said no. But at the end of the game, Kevin drove to the right side of the floor. Yuta Watanabe was open in the corner. He threw it to him. The group trusted each other throughout the course of the night and that’s the prime example ”


そのプレーが飛び出した第4Q残り5分40秒時点で、ネッツは79-87と8点差を追う立場。デュラントからのパスは渡邊の2本目の3Pショット成功につながり、さらに同じ流れで渡邊がゴール下のレイアップを決めて84-87と3点差まで詰め寄ることができた。この流れは、ベンチにいたデュラントがコートに戻った77-87の状況からの12連続得点の真っただ中だったが、ボーンHC代行はこの時間帯にデュラントと渡邊のピックプレーを継続。この采配も、一気に形勢を逆転する好判断だった。デュラントの投入に関しても、最後に最大限の活躍ができるようにとタイミングを計ったことを明かしていた。


27得点、8リバウンド、2アシスト、3ブロックと大黒柱にふさわしい活躍を披露したデュラントは、二夜連続の試合を終えた後にもかかわらず会見では元気な声で記者とのやり取りに応じ、渡邊らの活躍を以下のように絶賛した。

 

「まず、彼は長身でシュートタッチと運動能力を提供してくれています。でも常に適切な場所にいて、全力でプレーしてくれます。僕たちは失敗したらお互いを助けるようにしていますが、彼は2度目、3度目のところで頑張ってくれるんです」
“First of all, he provides length and shoot touch you know, athleticism. But he’s always in the right spots. He’s always just playing hard, you know. If we make a mistake, we’re gonna cover for each other and he’s making that second and third effort to be there.”


「シューティングには自信を持っているようです。スモールラインナップでは4番でも5番でもプレーできて、チームとしての幅を広げてくれる存在です。ユウタは楽しみですね。彼はリーグに入ってからずっと頑張っているし、トロントという素晴らしいチームでプレーしてきたことで勝利のバスケットボールを学んでいます。ここに来てくれてよかったですよ」
“And you know he’s shooting the ball with confidence right now. So, he’s able to help us play that small line-up. He can play the four and the five sometimes. You know so that brings another dimension to our team. I’m excited for Yuta. He’s grinding you know since he’s been in the league. He played with some great team, played in Toronto. So, they taught him about winning basketball. So, it’s good to have him here.”

 


デュラントはこのコメントの前にも、渡邊がタイムリーな3Pショットを成功させたことを高く評価し、試合終盤の重要なフリースローとフィールドゴールを含む21得点を挙げたトーマスにも称賛の言葉を贈っていた。


ネッツはこの2試合で、デュラントの得点力頼みの戦い方をせず、その総合的なスキルでチームメイトの引き出しながら勝利を重ねることができている。デュラントの会見での様子も、チーム力での勝利を心から喜んでいる様子だった。渡邊も自身の活躍を、歴代最高のプレーヤーの一人と称されるデュラントをはじめとしたプレーヤーの存在があればこそと認識したコメントをしている。ネッツはここにきてハイレベルなケミストリーを感じさせるチームになってきたが、それは渡邊にとっても間違いなく好影響をもたらすだろう。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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