月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.11.04

NBAアービングに最低5試合の出場停止処分、ネッツ「反ユダヤ主義を否定しなかったことは組織の価値観に反し、有害な行為」

 

 

 

【アービングが少なくとも5試合の出場停止処分に】

 

現地11月3日(日本時間4日)、ブルックリン・ネッツは、反ユダヤ主義的な内容の映画をSNSに掲載したことで騒動を起こし、明確な否定をしなかったカイリー・アービングに対して、最低5試合の出場停止処分を下したと発表した。

 

【動画/SNS】ネッツの声明&アービングのスーパープレー集をチェック

 

元々は先月末、アービングが「アマゾン」の映画「Hebrews to Negroes: Wake Up Black America(ヘブライ人からニグロ人へ:ブラックアメリカよ、目を覚ませ)」のリンクをSNSに投稿したのがきっかけ(投稿はのちに削除)。これを受けてネッツオーナーのジョセフ・ツァイ氏が「反ユダヤ主義的な偽情報に満ちた本を基にした映画を支持しているらしいことに失望した。あらゆるヘイトスピーチの助長を強く非難し、容認しない」とツイートで反応。さらに多くの批判を受けると、アービングは「自分は誰かの宗教的信念を軽視するつもりはない。そして反ユダヤ主義者というレッテルは真実ではない」とツイートで反論した。

 

そして現地2日、ネッツは「アービングとチームは、コミュニティにおける憎悪や不寛容を撲滅するために活動する原因や組織に対して、それぞれ50万ドル(約7,400万円)を寄付します。また反ユダヤ主義や名誉毀損と戦うことに専念する非営利団体と協力する予定です。カイリーは、『ユダヤ人コミュニティに対して私の投稿が否定的な影響について、責任を取ります。ドキュメンタリーの中で語られたことすべてが真実であるとは思いません』と語りました」と声明を発表した。しかし、これで騒動は収まらず。

 

翌3日に行われたメディアセッションでアービングは、反ユダヤ的信念を持っていないと拒否せず、また映画に憎悪的な内容があると認めなかった。これを受けてネッツは追加の声明を発表。「私たちはあきれ果ててしまいました。彼が明白にすべき機会でそれをしなかったのは初めてのことではありません。反ユダヤ主義を否定する機会を活かさなかったことは深く憂慮すべきことであり、我々の組織の価値観に反し、チームにとって有害な行為となります。我々は彼が現在ブルックリン・ネッツと関わるのにふさわしくないと判断し、有害な影響に対して改善する策が満足に講じられるまで無給とし、最低5試合の出場停止処分を科すことにしました」とアービングが“改善策が満足に講じられる”まで出場を許可しないと発表したのだ。

 

現地2日にNBAのアダム・シルバーコミッショナーはアービングの投稿について失望していると発表。「来週中にカイリーと直接会い、この状況について話し合う予定です」と明らかにしている。シルバーコミッショナーとの話し合いによって事態に進展があるのか? 今後の動向も注目される。

 

文/広瀬俊夫(月バス.com)

 



PICK UP