月刊バスケットボール5月号

技術&戦術

2022.10.28

日本代表・林咲希が3Pシュート高確率の秘けつを伝授! ここ一番で入る3Pシュート(1) [リバイバル記事]

 

【3Pシュート成功率40%を超える林咲希が自身のテクニック&考え方を紹介】


東京オリンピック2022、女子日本代表が世界を驚かせたことは記憶に新しい。史上初の銀メダル、その快挙を成し遂げるに当たり、大きな武器となったのが「3Pシュート」である。今やインサイドの人間でも打つことが当たり前になりつつある「3Pシュート」の確率を上げることは、すなわち勝利を近づくということ。いかにして成功率を高めるか? そのテクニック、考え方を紹介していこう。今回は、東京2020オリンピック、昨シーズンのWリーグで40%を超える3Pシュート成功率を叩き出した林咲希(ENEOSサンフラワーズ)が自身の考え方について解説。

 

※『月刊バスケットボール』2021年12月号に掲載したものを再編集した記事になります

 

※はやし・さき/所属:ENEOSサンフラワーズ/生年月日:1995年3月16日/身長173cm/福岡県出身/ポジション:GF/精華女高→白鷗大/2016年インカレ優勝、2017年ユニバーシアード準優勝、2021年東京2020オリンピック準優勝

 

【画像】林咲希が自己解説した「ステップバック3Pシュート」の連続写真はこちら

 

〈Question 1〉
3Pシュート成功率はオリンピックで48.57%、昨シーズンのWリーグで47.69%。
驚異の高確率の秘けつは?

 

東京2020オリンピックでは予選リーグと決勝トーナメントの計6試合で、35本の3Pシュートを打ち17本成功させている林。その確率は48.57%だ。またWリーグでは、2019-20シーズンの3Pシュート成功率は36.07%でランキング16位だったが、2020-21シーズンは47.69%でランキング1位に。40%を超えるとスゴイと言われる3Pシュートの成功率をここまで高められたのはなぜ?

 

〈Hayashi’s Answer 1〉
試合までの自分のルーティンが確立し、3Pシュートを迷わず打てるようになったのが大きい

 

昨シーズンはチームだけでなく代表活動もあり3Pシュートを打つことが多く、そこで結構自信が付いたと思います。技術的なものが変わったのではなく3Pシュートを『迷わず打てる』というのが良くなった点だと思います。
練習では、リング下から外に出て早く打つなどのムービングのシューティングをたくさんしました。また、リーグが中断されているときに海外遠征に行くことも多かったので、試合までの自分の持っていき方、自分のルーティンを考えて臨めるようになったのが大きなポイントだと思います。

 

●東京2020オリンピックでの林の3Pスタッツ
(※左から、ラウンド/対戦国、成功/試投、成功率の順)
予選R1回戦/対フランス、3/5、60%
予選R2回戦/対アメリカ、2/8、25%
予選R3回戦/対ナイジェリア、7/11、63.64%
決勝T準々決勝/対ベルギー、3/8、37.5%
決勝T準決勝/対フランス、2/2、100%
決勝T決勝/対アメリカ、0/1、0%
合計17/35、48.57%

 

●Wリーグ2020-21シーズンの3P成功率
(※左から、順位、選手名[所属/背番号]、成功率)
1林 咲希(ENEOS7)47.69%
2篠崎 澪(富士通11)44.64%
3谷口二千華(富士通13)43.40%
4アイメレク モニィーク(東京羽田5)42.65%
5飯島早紀(トヨタ紡織0)41.18%
6宮澤夕貴(ENEOS52)41.07%
7奥山理々嘉(ENEOS2)40.91%
8水野妃奈乃(シャンソン30)40.87%
9佐藤奈々美(日立ハイテク18)40.74%
10根本葉瑠乃(三菱電機4)38.79%

 

【Hayashi’s Episode 1】女子日本代表の背番号は7に2を足して27に
所属チームのENEOSでは背番号7の林。女子日本代表では27を付けているが、その理由は?
「7は水島沙紀さんが付けていたのでやめようと思いました。それでも7という数字は使いたかったので、17、27、37、47…と考えたときに、27が一番しっくりきました」

 

 

〈Question 2〉
どんな3Pシュートの練習をしてきましたか?

 

これまで3Pシュートを練習してきた中で、参考にした選手や参考になったアドバイス、どんな練習をしてきたかを教えてください。

 

〈Hayashi’s Answer 2〉
経験的に、ハンドリングが良くなるとシュートタッチも良くなったと思います

 

参考にした選手は特にいません。よく練習したのは、ハンドリングです。素早くシュートを打つためハンドリング練習を結構やりました。3Pシュートを打つだけでなく、ドライブもすることで相手は嫌がるものなので、ハンドリングは大切だと思います。
また経験的に、ハンドリングが良くなるとシュートタッチも良くなったと思います。手と足をバラバラに動かす練習やバスケットボールとテニスボールを使ったハンドリングなどが、3Pシュートの感覚を良くすることにつながると思います。

 

【Hayashi’s Episode 2】大学で3Pシュートを武器に
精華女高時代はドライブで得点することが多かった林。3Pシュートをどんどん打つようになったのは白鷗大に入ってからだが、それは佐藤智信ヘッドコーチに「2~3番で使いたい」と言われたから。林自身も2~3番を経験したいと思っていて、『3Pシュートがある方が相手は嫌だろう』と考えたとのこと。
2つ上の先輩に3Pシュートがうまい選手がいて、『その選手より3Pを決められるようになったら試合に出られるのでは』という目標を立て、3Pシュートに取り組んだという。
今は練習で100本3Pシュートを打つと、ステイの場合75~80本は入るとのこと。

 

 

▼林咲希が自己解説!

「ステップバック3Pシュート」

 

左にドライブにいく選択肢もありつつ、自分はシューターなのでシュートにいくのが妥当な流れだと思います。ステップバック時には目線をリングに向けて、ボールを口元の下にしっかりセットできていると思います。このときは入るか入らないかは分からなかったのですが、『自分のリズムだから打とう』という気持ちでした。フットワークを見ると、ステップバックして左足で止まっています。こうして左足重心になったときは得意で、結構スムーズにシュートを打つことができます。

 

※写真は2021年6月13日の国際強化試合 三井不動産カップ2021対ポルトガル戦でのもの

 

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タグ: 3Pシュート

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