月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2022プレビュー】福岡第一高を支えるマクダビッド#1/井手口孝コーチインタビュー

 

今年のインターハイで優勝を果たし、ウインターカップでは2冠目の奪還を目指す福岡第一。井手口孝コーチやトレーナーの下、体作りやケガの予防などにも熱心に取り組んでいるが、そんなチームを陰ながら支えているのがマクダビッドだ。プロテクティブアパレル HEX(ヘックス)、サポーターなどは、福岡第一の堅守速攻を支えるアイテム。ここでは井手口コーチや選手たちに、アイテムの使用感や体のケアなどの取り組みについて話を伺った。

 

『#2/Player's Voice Vol.1 “動き、スピードを妨げずに接触時のケガを予防”』から読む

『#3/Player's Voice Vol.2 “まるで身に付けていない感覚で快適”』から読む

 

マクダビッドのアイテムを使うことで
思い切りディフェンスを仕掛けられる

 

―マクダビッドとの出会いはいつ頃ですか?

 

 選手たちが使うようになったのは、ずいぶん前です。インターハイで優勝した2009年の、その前くらいかな。全国の強豪チームとやり合うようになると、体のぶつかり合いも相当なものです。それで『先生、痛いです』と生徒が言うので、何人かの選手はパッド付きのインナーなどでケガ予防をしていました。

 

 近年は特に、ピック&ロールのプレーが増え、相手のスクリーナーと接触する場面もかなり多くなりました。ももかん(大腿筋挫傷や大腿部打撲)などを予防するために着用する選手は多いですし、トレーナーも勧めています。

 

―現在、選手たちはどのような製品を使っていますか?

 

 パッド付きのインナーや、ケガをした選手は再発予防で膝や足首にサポーターを付ける選手が多いです。あとは、ケガ予防や疲労軽減のために、アームスリーブやレッグスリーブなどですね。また、留学生はよく、冬になると『日本は寒い』と言って、防寒など体温コントロールのためにもタイツなどを使用しています。

 

―マクダビッドのアイテムを使うことによる、選手のパフォーマンスへの影響はいかがですか?

 

 怖がらずに思い切り行ける、というのはあると思います。守られている安心感。特に僕は攻めるようなディフェンスを大事にしているので、スクリーナーなど相手への接触を怖がらずに力強く出られるのは良いですね。全国のトーナメント大会では5試合や6試合の連戦ですから、最終日まで戦い抜くためにも、ケガの予防をすることは非常に大事だと思います。

 

 

―全国大会の連戦では消耗も激しいですが、体のケアについて福岡第一ではどのような取り組みを行っていますか?

 

 全国大会中、ミーティングとケア、どちらを優先させるかと言えばもちろんケアです。そのあたりはトレーナーに任せていますが、全国大会では通常、西丸太一トレーナーが帯同して、渡邊耕太トレーナーが後から合流。さらに多いときには卒業生など東京にいる知人のトレーナーにも応援に来てもらい、複数人でケアにあたっています。

 

―そういったケアや体作りを大事にする意識は、昔からなのでしょうか?

 

 振り返れば、福岡第一で創部した最初の年(1994年)から現在まで、常に誰かしらトレーナーはいます。創部当時は強豪校でも何でもないチームにトレーナーがいるのは珍しいことで、周りからは『なんでコーチでも何でもない人がベンチに入っているの?』と見られていました。

 

 当時たまたま友人のツテで、ラダーやハードルを利用したSAQトレーニングを開発したランディ・スマイス氏という方をお呼びし、福岡第一で講習会をしたんです。そのときに僕と同い年の土斐崎浩一さんという、その後サッカーのJ1などでトレーナーをやられた人と出会い、彼にしばらくトレーナーとして手伝ってもらいました。

 

 幸い、そうやって有名なトレーナーの方々に来てもらったり、アンダーカテゴリー日本代表に携わったりと、これまですばらしいトレーナーたちと出会う機会に恵まれました。その中で最新の知識を取り入れながら、体作りの重要性を改めて認識していったと思います。

 

―井手口コーチはバスケットボールの技術や戦術もそうですが、良いものは積極的に取り入れますよね。

 

 雑食人間なんです(笑)。はなから否定せず、少しでも良いと思ったものはどんどん取り入れて、ダメだったら取り除けばいいという考え方なので。もちろん、試してみて失敗したこともたくさんあります。今では笑い話ですが、大昔は『柿の葉のジュースを飲むと良い』と聞けば飲ませたし、『鼻にシールを貼れば持久力が上がる』と聞けばシールを貼らせて試合をしました(笑)。昔から1点でも多く取れるならばと、あらゆることを試してきましたね。

 

 体のケアなどについてもそうです。マクダビッドのアイテムも、もちろん僕の学生時代には無かったものですが、選手にとって良いものならば使っていこうという考え方です。

 

 

―今年のインターハイ、体作りやケア、ケガ予防などが優勝につながった部分はありますか?

 

 そうですね。今年のインターハイは、軽度の故障はありましたが、大きなケガ人が出なかったことがまず良かったです。春先はケガ人が多くて、地区大会などではメンバーがあまりそろわないまま試合をしていましたから。そこはインターハイ期間中のトレーナーたちのケアや、下位回戦からプレータイムをある程度シェアできたことが良かったかなと感じています。

 

―アンダーカテゴリーという世代は、この先の選手生命を長く保つためにも、体作りが重要になりますよね。

 

 そうですね。福岡第一はいろいろな中学から選手が集まってきますが、中には中学時代にほとんどまともなストレッチやトレーニングをしてこなかった、という選手もいます。練習時間に制限があるから、練習前後のストレッチやトレーニングに割く時間が取れない学校など。そういう選手たちは、ストレッチや体の柔らかさなどの重要性も分からないまま入学してきているので、試合前後のストレッチやケア、練習後の体幹トレーニングなどの基本的な方法は、毎日きっちり時間を取ってチームでやるようにしています。

 

―最後にウインターカップに向けて、まだ福岡県予選もありますが(※取材日は10月18日)、残りの日々をどのように過ごしていきますか。

 

 インターハイ後は遠征続きで、毎週末どこかで試合がありましたから、月曜や火曜を体作りにあて、水曜から金曜で試合の準備をするようなルーティンでやってきました。今は遠征も少し落ち着いたので、これから腰を据えてチーム練習や体作りをしていくところです。

 

 U18トップリーグや胎内カップでの気付きとしては、まだまだ1対1の力やフィニッシュ力が足りないということ。ファンダメンタルに立ち返ることになりますが、チームオフェンスやチームディフェンスではない部分、『ここ1本決めたい』『1本守りたい』という状況でこそ、もっと高いレベルの個人技が必要になります。ウインターカップに向け、1対1のディフェンスやオフェンスで、より速さや正確性を追求していきたいと思います。

 

 まずは11月3日の予選。1位通過で、ウインターカップの第1シードを取って本戦に弾みを付けたいです。(※編集部注:福岡第一高は福岡県予選を制して第1シードを獲得しています)

 

 

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【マクダビッド×福岡第一高フォトギャラリー】

 

(月刊バスケットボール)



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