100得点奪取で両目を開けた福島ファイヤーボンズ - 挽回のカギは「より良い選択」
福島ファイヤーボンズが今シーズン2勝目。バンプするのは菅野翔太と高橋祐二(写真/©B.LEAGUE)
10月1日、宝来屋郡山総合体育館(福島県郡山市)に佐賀バルーナーズを迎えた2022-23シーズンの開幕初戦で、84-77で幸先よく初勝利を挙げた福島ファイヤーボンズ。ところが翌日のGAME2を54-74で落として以降の6試合で立て続けに黒星を喫し、22日に行われたライジングゼファー福岡とのGAME1終了時点でB2東地区最下位に沈む厳しい序盤戦となった。
しかし23日、福岡とのGAME2で2勝目を挙げ、ようやく両目を開けた。この日の福島は序盤こそ福岡に先行を許したが、ゾーンディフェンスも奏功して試合の流れを掌握。100-82と今シーズン最多得点で勝利をもぎ取った。
6連敗中の平均得点は65.3。6試合を通じて、本来ならば強みにしたいフロントラインの威力も発揮しきれず、いずれもリバウンドで相手を上回ることができなかった(福岡とのGAME1のみ33-33のタイ)。遠征で戦った5-6試合目のアルティーリ千葉戦では、相手のカッティングとボールムーブメントで揺さぶられ、今シーズンやや3Pショットで苦戦していたA千葉にその3Pショットで差をつけられる展開の末、両試合とも80点以上を奪われて敗れた。
連敗が5まで伸びたA千葉とのGAME2後、佐野公俊HCは「要所で良いプレー、良い流れがあってもそれが続かず、自分たちで崩れてしまうような展開が何試合か続いています。僕自身、チームとして何が一番良い選択なのかを見つめ直したいです」と窮状に立つ心境を語っていた。
試行錯誤を重ねながらの今シーズン。しかし佐野公俊HCにも挽回の糸口は見えてきているのではないだろうか(写真/©B.LEAGUE)
無理なフィニッシュを回避する戦い方を模索中
そんな思いが結実して今シーズン2勝目を手にした試合では、連敗中に目立ったいくつかの傾向が消えていた。その一つはリバウンドで、39-29と福岡を上回った。また、点差を開けられる要因にもなっていたファーストブレイクでの失点を8に抑え、逆に自らは14得点を挙げたことも勝因だった。
もう一つは3Pショットだ。福島は2勝目を挙げた8試合目を含めても成功率28.1%(192本中54本成功)で、これはB2の14チーム中13位の数字。アテンプトは少なくはなく(同9位)、積極姿勢が結果につながらない歯がゆい状況だった。佐野HCはこの点について、A千葉とのGAME2後に「オープンであれば自信を持って打ち、決めきること」と語るとともに、「やはり入っていない以上はもっと良い選択もできるようにチームで共有していきたいです」との見方を示していた。その1週間後の福岡との2試合では、直近4試合で平均28.5本あった3Pアテンプトが19.5本に減少。一方で成功率を26.3%から35.9%に上昇させ、より良い選択が遂行されたことがうかがえる数字を残した。
ジョシュ・ハレルソンは開幕からの8試合でダブルダブルのアベレージを残している(写真/©B.LEAGUE)
個別のスタッツを見ると、8試合を終えた時点で身長208cmの元NBAプレーヤー、ジョシュ・ハレルソンが平均10.8得点にB2全体3位の11.0リバウンド、同8位タイの1.0ブロックを記録している。ハレルソンと同じく208cmで、平均13.1得点を挙げてチームのトップスコアラーとなっているグレゴリー・エチェニケの存在感も大きい。両者のそびえたつようなインサイド・プレゼンスは他チームにとって脅威となる。
そこに今後、より高確率の長距離砲が加われば成績の向上は自然と見えてくる。その観点からは、福岡との2試合でガードの橋本尚明が3Pショットを5本中4本成功させたこと(GAME1で4本中3本、GAME2で1本の3Pアテンプトを成功)は期待を膨らませる楽しみな材料だ。橋本はフィールドゴール全体も2試合を通じて15本中12本成功という高確率だった。
橋本尚明は福岡とのGAME1で23得点、GAME2ではフィールドゴール4本すべて(うち1本は3Pショット)を成功させて9得点を奪った(写真/©B.LEAGUE)
福島が2勝目を挙げた試合には、チーム内で自己評価と周囲の意見を取り入れながら改善が進んでいる兆候が見えている。最下位を脱して迎える26日(水)の山形ワイヴァンズ戦はさらにもう一つのテスト。ファイヤーボンズの今後を占う上で見逃せない一戦となりそうだ。
文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)