月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.10.20

渡邊雄太がブルックリン・ネッツでレギュラーシーズンデビュー - 開幕初戦で8分34秒プレー

 

 今シーズンからブルックリン・ネッツに移籍した渡邊雄太が、日本時間10月20日(北米時間19日)に行われたニューオリンズ・ペリカンズとの2022-23シーズン開幕初戦で、新天地での公式戦デビューを果たした。試合には108-130で敗れ、得点やリバウンドなどの主要スタッツ項目も数字はつかなかったが、8分34秒間の出場ではつらつとしたプレーを見せた。


渡邊は第4Qに右コーナーから3Pショットを1本放ったが、これは決めることができなかった。また、ゴール下でパスを受けてファウルをもらいフリースローの機会があったが、決めることができずに終わっている。ただしディフェンス面ではフットワーク良く動き回り、特にペイントに攻め込んでくる相手に高さを生かしたフィジカルなプレーで対抗。ブロックはつかなかったものの得点機を阻止する場面が何度もあった。


この日のネッツは大黒柱のケビン・デュラント、カイリー・アービング、ベン・シモンズの3人にロイス・オニールとニック・クラクストンを加えたスターティングラインナップ。しかしターンオーバーが目立ち、リバウンドでもザイオン・ウィリアムソンやジョナス・バランチュナスらペリカンズのフロントラインに圧倒され、第1Q終了時点で14-32と大きなビハインドを背負う展開となった。ネッツは試合を通じてリバウンドで39-61と徹底的に打ち負かされ、最後までペリカンズに逆転の脅威を感じさせるには至らなかった。


ネッツはデュラントはゲームハイの32得点。シモンズが4得点に終わった分、控えガードのパティー・ミルズが16得点を挙げ、チームでは計5人が2桁得点を記録した。しかしセス・カリー、ジョー・ハリスとシューター2枚を欠く状況で、チームとしてポテンシャルをフルに発揮するにはまだ時間がかかりそうだ。

 


渡邊にとってこの状況はチャンスと見ることができる。この日決められなかった数少ない機会でのショットを確率良く決めていくことで、ディフェンスの奮闘を勝利に導く貢献につなげたいところだ。この試合では大きく引き離された序盤戦には出場機会がなく、最終的に22点差で黒星を喫した試合で、出場中のチームとしての得失点差を示す±は+2。渡邊が出ていた時間帯はデュラントの安定感のあるオフェンスやアービングのヒートアップも重なり、互角の展開だった。ディフェンス面での能力は見せられているだけに、オフェンス面で小さな結果を積み重ねられれば、ローテーションの一角としての存在感が今以上に確立されていくに違いない。


一方のペリカンズでは、強靭な体躯で相手を吹き飛ばすようなフィジカルなプレーを持ち味とするウィリアムソンが、25得点という数字以上の存在感を見せていた。28得点でスコアリングリーダーとなったブランドン・イングラムと21得点のCJ・マッカラムと合わせて3人で74得点と、核となるべきプレーヤーの威力を十分示している。加えてビッグマンのバランチュナスは15得点に13リバウンドのダブルダブル。アウェイで勝利を手にした2022-23シーズンのスタートは、これ以上ないほど良い形だった。


渡邊とネッツの次戦は、日本時間22日(土=北米時間21日[金])にこの日と同じブルックリンのバークレイズ・センターで行われるトロント・ラプターズとの一戦となる。渡邊にとっては古巣相手の“恩返し”の機会。これも見どころの多い試合となりそうだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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