月刊バスケットボール1月号

女子日本代表3連敗で絶体絶命 - FIBA女子ワールドカップ2022グループラウンド大詰め

 FIBA女子ワールドカップ2022に出場しているバスケットボール女子日本代表が、9月26日にグループラウンド(グループB)の4試合目となるフランスと対戦し、53-67で敗れた。この結果日本は通算成績が1勝3敗となり、同日の最終戦として行われるオーストラリアとカナダの一戦の結果によっては、最終日を待たずグループラウンド敗退が決まる状況となった。

 


9得点、5リバウンドの赤穂ひまわり。健闘も勝利に届かず(写真/©FIBA.WWC2022)

 

フランス 67(16 13 19 19)
日本 53(05 21 18 09)
日本のトップパフォーマー

宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ) 13得点、フィールドゴール成功率50.0%、5リバウンド、4アシスト
高田真希(デンソーアイリス) 8得点、9リバウンド、1ブロック
馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス) 4得点、2リバウンド、3スティール
赤穂ひまわり(デンソーアイリス) 9得点、フィールドゴール成功率50.0%、5リバウンド、3アシスト、1スティール、1ブロック



日本は前日のカナダ戦に続き得点が伸びず特に第1Qはわずか5得点という厳しい展開。3P成功率も23.8%と低空飛行で、アテンプト自体も21本に封じられた。恩塚 亨HCが試合後会見で指摘していたが、ボールを持ったプレーヤーが孤立してカッターへの連係ができない状況でターンオーバーを犯す場面が何度もあるなど、やりたいプレーが遂行できていない印象だ。


グループBの戦況は日本にとって非常に厳しいものとなった。日本はフランスとの試合を終えた段階で1勝3敗となり、暫定的に5位。決勝トーナメント進出には4位以上になる必要があるが、この日の第2試合でセルビアがマリに勝利して2勝目を挙げたことで、日本が決勝トーナメント進出への可能性を27日(火)までつなぐためには、26日夜のカナダ対オーストラリア戦でカナダが勝利することが必須条件となった。つまり日本はこの時点で、自らの手で自らの運命を決めることができない状況に置かれてしまっている(カナダが勝利した時点で、状況は再び変わる)。

 

 

ワクワクを取り戻して!


恩塚HCの女子日本代表は昨秋、個々のプレーヤーが「なりたい自分」像を描き、それに向かって努力し、その姿を実現していくことでワクワクできるチームであることを掲げて船出した。しかしなぜか今大会で、そのワクワク感が消えてしまっている印象だ。世界一のアジリティーを発揮して瞬時に身も心も頭も反応し、コート上の5人が連動するのが特徴であり強みとなるはずだった。しかし、ボールを持ったプレーヤーが次の判断を迷っているように見え、プレーメイクに自信を持っているようには見えない。


試合後のインタビューでは、宮崎が「悔しいです」と一言切り出す前から涙を流し、高田の声もどこかいつもと違っていたように聞こえた。東京2020銀メダリストの看板を背負い、金メダル獲得を目指して乗り込んだAkatsuki Japan。それだけに今の状況がどれほど悔しいか、傍からは想像もつかない。宮崎は会見の時間も前を向くことがつらそうな様子だった。大会期間中のチームの雰囲気はどうなのか…。「セルビアに負けたことで空気が重くなったと思いましたが、一人一人が自分の役割をわかっていて、ミーティングもして次の試合に臨もうと話していたので、そこまで雰囲気は悪くなかったと思っています」と宮崎は声を振り絞って話した。


恩塚HCとスタッフたちの下、12人のプレーヤーが全力で戦っていることは、コメントやプレーぶりから十分伝わってくる。グループラウンド最終日となる27日(火)に行われる開催国オーストラリアとの一戦は、どのような状況下で行われるか現時点ではわからない。しかしいずれにしても、ホームチームを応援する大観衆の熱狂に包まれてワクワクしながらプレーできること、40分間最高のバスケットボールを楽しむことに尽きるのではないだろうか。勝っても負けてもすべてをコートに置いてきてくれることで、その姿を見るファンや次世代を担う若者たちの力になることはできるのだ。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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