月刊バスケットボール1月号

Bリーグ

2022.09.06

横浜エクセレンス、ポテンシャルの爆発的開花を期する新体制発表会見より

 9月6日の午後、横浜市役所アトリウムでB3リーグの横浜エクセレンスが2022-23シーズンに向けた新体制発表の会見を行った。オープンスペースを使ったこの日の会見にはメディア関係者だけではなく一般のブースターも入場することができた。特設舞台と記者席を多くの人々が囲む中、直井ユカリ横浜市市民局スポーツ統括室長、株式会社横浜エクセレンスの向井 昇代表取締役社長、山口功一郎取締役会長のあいさつで始まった会見は、その後石田剛規GM兼HCからのチーム紹介、新ユニフォームお披露目と進み、クラブの今と未来を広く伝える場となった。

 


この日の会見は横浜の人々の前で新チームとして初めての勢ぞろいとなった

 

 横浜に本拠地が移転して2シーズン目を迎える横浜エクセレンスは、クラブ設立10周年の今年、これまで株式会社加藤製作所のみだった株主に山口会長をあらたに迎え入れ、新体制下でクラブ運営面の強化・テコ入れを図っている。向井社長によれば、まだまだ十分とは言えない地元横浜エリアでのクラブの認知度向上に注力しているとのこと。有力なスポーツチームの激戦区である神奈川県下で存在感を高めるため、10月15日(土)に金沢武士団を横浜武道館に迎えて開催するホーム開幕戦で来場者2,000人達成の目標を掲げた「10.15グリーンプロジェクト2000」をはじめ、積極的な集客・動員策を推進している。


神奈川県在住、在学中の小中学生・未就学児の子どもたちを県内開催のホームゲームに無料で招待するスマイルパスなども含め、こうした取り組みでファンが“エクセレンス・バスケットボール”を気軽に楽しめる機会を生み出すのは間違いないところだ。それはまた、選手たちが人々の期待やプロとしての責任を感じながら、ハイレベルなパフォーマンスを披露しやすい環境づくりにもつながるに違いない。会見が終わった後の囲み取材で、向井社長はクラブとして横浜武道館をグリーンに染めるような運営面からの支援に強い意欲を見せていた。

 

 

得点力の大幅向上で上位進出を狙う

 

 チームとしてもメンバー13人中7人が入れ替わり、19勝29敗(勝率.396)の11位だった昨シーズンからのジャンプアップ、そしてもちろんB2昇格を目指している。ベテランから若手まで、能力と意欲に満ちたロスター構成は非常に高いポテンシャルを感じさせる。


6シーズンぶりに“出戻った”ポイントガードの西山達哉や、新加入でキャプテンを務める俊野達彦らベテランがリードするバックコートがどのようなプレーメイクを見せるかは一つの注目ポイント。昨シーズン豪快なダンクで注目を浴びた後3&Dタイプとして成長著しい佐藤誠人や、ロングレンジの脅威となる増子 匠、大﨑翔太らを擁するウイング陣の能力も高い。佐藤に関して石田GM兼HCは「身体能力は日本代表クラス」と話したほどだ。

 


俊野キャプテンのガッツポーズ


フロントラインでは、196cmとさほど大きくはないもののパワフルなドライブからのダンクなど魅力に満ちたパワーフォワードの古河ウェスリーのプレーも見応えがある。外国籍枠では、東京エクセレンスとしてB3を制したときに活躍したライアン・ステファン、ジョーダン・フェイゾンの二人が再びグリーンのユニフォームを着るとともに、チーム最長身となる213cmのビッグマン、ベイリー・スティールがあらたに加わりサイズアップがかなった。


ロスターの個々のタレントを見ていくとポテンシャルの高さは相当なレベルにあり、石田GM兼HCも自信を見せている。それをいかにしてかみ合わせ、最大限の戦力としてコート上で開花させるか。石田GM兼HCは、昨シーズンB3の上位が90-100得点近くを取れるオフェンス力を持っていたことに触れ、横浜エクセレンスもそのレベルを目指すと話している。

 


囲み会見での石田GM兼HC


昨シーズンは1試合平均76.6得点だったが、上位3チームはいずれも89得点以上。オフェンスで10得点程度、あるいはそれ以上の上乗せを実現するとともに、昨シーズンリーグ7位とまずまずだった失点(平均79.3)をそのレベルに抑えることができれば、自然と勝敗のバランスも改善されるはずだが、どこまでできるか。


そこには向井社長が話したとおり、運営面の支援も大きな力となるに違いない。グリーン一色の会場でクラブとして、チームとしてポテンシャルの爆発的な開花を期する、またそれが見る側としても期待できる2022-23シーズン。開幕まであと1ヵ月を切っている。



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