月刊バスケットボール6月号

男子日本代表、アウェイでイランに惜敗 – FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window4

 テヘラン(イラン)で日本時間8月26日未明(現地時間25日夜)に、FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window4の日本対イラン戦が行われた。男子日本代表は第1Qに27-25とリードを奪った後、第2Q・第3Qに主導権を奪われながら第4Qにも点差を縮める健闘を見せたが、68-79で敗れた。

 


テヘランでイランとの一戦に臨んだ男子日本代表の11人(写真/©FIBA.WC2023)


イラン 79(25 19 21 14)
日本 68(27 05 15 21)
日本トップパフォーマー
馬場雄大(フリーエージェント) 27得点、フィールドゴール成功率76.9%、3P成功率83.3%(6本中5本成功)、5リバウンド、2アシスト、2スティール
比江島 慎(宇都宮ブレックス) 11得点、フィールドゴール成功率50.0%、2リバウンド、1アシスト、3スティール、1ブロック
吉井裕鷹(アルバルク東京) 6得点、8リバウンド、1アシスト、1スティール
富樫勇樹(千葉ジェッツ) 3得点、1リバウンド、6アシスト、1スティール

 


馬場雄大はダンク2発、3Pショット5発を含む27得点、2スティールと攻守に躍動した(写真/©FIBA.WC2023)


平均身長が190cmに届かない小柄な日本は、高さに勝るイランに対し試合開始直後からアグレッシブさをコート上で表現した。身長218cmのビッグマン、ハメッド・ハッダディーにボールを集めるイランのオフェンスにフィジカルに対抗する一方、最初の得点は吉井がドライブから豪快なダンクに持ち込みファウルを誘って得たフリースローでのもの。馬場は課題とされる3Pショットで自身最初の得点を挙げ、さらに井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)も3Pショットで続いた。


しかし、佐々宜央HC代行が「やや受け身になり悪いショットを打ってしまった」と話した第2Qは、5得点しか奪えず主導権をイランに奪われる。ハーフタイムにはトム・ホーバスHCから佐々HC代行にメールも入っていたとのことだ。立て直しを図った第3Qは馬場の3Pショットと吉井のローポストからのバンクショットで5連続得点を奪って追い上げ、残り3分を切った時点でも47-52と5点差でくらいついていたが、以降の要所でターンオーバーが重なりクォーター終了までに0-13のランを浴びてしまった。勝負の上では、この流れが致命的なダメージとなった。


それでも日本はアグレッシブに動き続け、第4Q残り1分を切って馬場がドライビング・レイアップとフリースローで3Pプレーを成功させた時点で、68-77と3ポゼッション差まで詰め寄り、前向きな終わり方ができた。30日(火)に沖縄アリーナで行われるカザフスタンとのWindo4第2戦に向け、好材料も手にして帰国することができる。

 

☆試合後会見での佐々HC代行とのQ&A ※実際のやり取りは英語でしたが、ここでは和訳文を掲載しています

(写真/©FIBA.WC2023)
――オフェンス面でうまくいった点
我々は相手ほど大きくないので、フルコートを戦わなければいけませんでした。トランジションにもフォーカスして得点を狙い、獲られてもすぐにインバウンドして下を向かずに攻めていこうと。私がこう話すのは簡単ですが、プレーヤーにとってはそれを40分間続けるのは非常に大変なことです。この日本代表はそれを40分間続け、ハッダディーにも対抗し続けました。
完璧に戦いきることはできませんでしたが、プレーヤーたちに感謝しています。40分間足を動かし続けたのがうまくいった点ですね。

 

――シューター陣の決定力を高めるために必要な要素
イランでもモハマッド・ジャムシディはどうだったかといえば入ってはいません(3Pショット0/1を含むフィールドゴール1/10)。誰かが入らなかったことよりも、馬場や井上、吉井がビシバシ決めていたところに目を向けたいです。ハードワークをし続けることは重要で、もちろん決められなければいけません。しかしシューティングにはメンタルが深くかかわっています。

 馬場は非常に改善してきており、ホーバスHCも彼にドライブだけではなくシューターとしての心持ちを身につけさせようとしていますが、簡単なことではありません。私はプレーヤーたちがちゅうちょなく打っていこうとしている姿勢を素晴らしいと思っています。それをやり続けることが大事です。

 

――勝負どころのミスを減らすために必要なこと
このアウェイゲームに臨むにあたり、比江島や馬場、富樫などのベテランも、河村(勇輝、横浜ビー・コルセアーズ)、吉井、井上など経験を必要とするプレーヤーもいます。こうした試合では焦りが出ることはあります。アウェイで10点差を追う状況になりたくはないですが、その状況で焦りが出てしまいます。緊迫感を維持してハードにプレーするとともに落ち着きを保つ必要がありますが、時にそれを失いました。
馬場は今日6ターンオーバーだったことを気にしているようですが、誰か一人を責めるようなことではなく、あるときは馬場の前を走る人がいなければいけなかったし、ターンオーバーが起こる状況ではチームで解決しなければ。今後も改善していきたいですね。

 

イラン対日本戦ハイライト
試合後会見


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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