月刊バスケットボール1月号

小兵男子日本代表が大型イランに挑戦 - SoftBankカップ2022第1戦展望

 平均身長189.8cmの男子日本代表が平均202.8cmのイランと対戦するSoftBankカップ2022第1戦が、ゼビオアリーナ仙台で8月13日に行われる。イランは218cmの元NBAセンター、ハメッド・ハッダディーが来日していないが、それでも平均で13cm日本より大きい。この身長差を日本がいかに克服できるかが、今大会初戦の最大の見どころだろう。

 


富樫勇樹をはじめとした日本の小柄なガードがコートを駆け巡るスピーディーな展開で勝利をものにしたい日本(写真/©JBA)


特にポイントガード陣は、トム・ホーバスHCの今大会に向けたチームの肝の部分だ。日本は全員が180cmに届かない平均172.7cmの非常に小柄な3人で臨む。対するイランのポイントガード3人は、最も小柄なベナム・ヤクチャリが192cmで、平均197.7cmと日本の3人よりも25cm大きい。


#2 富樫勇樹(千葉ジェッツ) PG/167cm
#6 比江島 慎(宇都宮ブレックス) SG/191cm
#17 須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ) SG/190cm
#18 馬場雄大(-)SG/195cm
#19 西田優大(シーホース三河) SG/190cm
#20 寺嶋 良(広島ドラゴンフライズ) PG/179cm
#28 ウィリアムス ニカ(島根スサノオマジック) C/203cm
#32 シェーファー アヴィ幸樹(シーホース三河) PF/206cm
#33 河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ) PG/172cm
#44 コー・フリッピン(琉球ゴールデンキングス) SG/188cm
#71 井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷) PF/201cm
#91 吉井裕鷹(アルバルク東京) SF/196cm
平均189.8cm、26.4歳

 


トム・ホーバスHCはまだFIBA世界ランキング上位チームに勝利できていない。今回はそれを初めてかなえる挑戦でもある(写真/©JBA)



上記の3人のほかに、合宿には岸本隆一(身長176cm)が参加しているが、4人はいずれも過去のFIBAワールドカップ2023アジア地区予選のWindowと直近のFIBAアジアカップ2022で良いパフォーマンスを見せたプレーヤーばかり。ホーバスHCは過去実績に加え、シューティングガードで登録されているコー・フリッピン(身長188cm)のサイズと俊敏性が小兵ぞろいのプレーメイカーたちの助けとなることに期待しながら、その組み合わせをテストする考えを大会前のオンライン会見で明かしている。

 


運動能力の高さとアグレッシブさで小柄なプレーメイカーたちの助けとなることが期待されるコー・フリッピン(写真/©JBA)


身長差を克服するための武器として、今回初めてホーバスHCの下でプレーする馬場雄大のプレーにも注目したい。力強いドライブからのダンクなど、フィジカルな強さやウイングにおける高さが大きな魅力の馬場だが、NBA入りにも欠くことのできない3Pシューティングを今大会では大きな課題としている。「ドライブと3Pショットの比率が7対3くらいだったのを逆にする」までの意識改革をホーバスHCに求められ、「今まで1試合で3-4本だったアテンプトを、7-8本良い形で打つ」気構えになっているだ。「良い選手なのはもうわかっているので、あとは3Pショット」とホーバスHCの期待も大きい。

 


ダンクなどの豪快なプレーに加え、今大会での馬場雄大には3Pシューターとしての飛躍も期待される(写真/©JBA)


3Pショットに関しては馬場だけでなく、アジアカップで実力を印象付けた須田侑太郎や井上宗一郎をはじめ、チーム全体の武器であり課題だ。比江島 慎や西田優大、吉井裕鷹らウイングのアグレッシブなペイントアタックからいかにオープンルックを作り、決めきれるか。ホーバスHCは特段の目標数値を掲げていないが、成功率が40%を超えたアジアカップからさらに上昇させたい思いを明かしていた。

 


アジアカップのシリア戦で3Pショットを12本中9本決めて33得点を記録した須田侑太郎の活躍は記憶に新しい(写真/©JBA)


もう一つのポイントはリバウンド。身長差による影響が大きく出てくるこの項目での差を極力小さくするとともに、相手のトランジションオフェンスを封じることも勝負のカギとなるだろう。シェーファー アヴィ幸樹によれば、チームとしての約束事を確認しながらリバウンドの練習に取り組んでいるとのこと。「一人では獲れないので、コート上の5人の意識を高めたいです」とチームとしての連係に言及しながら意欲を語っていた。今大会ではじめて代表のユニフォームを着るウィリアムス ニカの加入が、この側面でどのようなプラスをもたらすかも興味深い。

 


シェーファーアヴィ幸樹のリバウンド力は欠くことができない要素になりそうだ(写真/©JBA)

 

 


インサイドでのフィジカルなプレーぶりが魅力のウィリアムス ニカがどんな貢献をもたらすかも注目材料の一つだ(写真/©JBA)


イランは強敵だが、日本にとっては確立されつつあるスピードを生かしたスタイルが大型チームにどこまで通じるかを試す好機。ワールドカップ予選のWindow4で対戦する相手でもあり、SoftBankカップ2022での2試合を良い弾みとしたいところだ。



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