月刊バスケットボール6月号

「町田瑠唯もW杯の女子日本代表候補」 - 恩塚 亨HC明かす

 8月4日夕刻に行われたバスケットボール女子日本代表のオンライン会見で、恩塚 亨HCが今秋オーストラリアで開催されるFIBA女子ワールドカップ2022に向けた女子日本代表の選考候補に、町田瑠唯(WNBAワシントン・ミスティックス)が含まれていることを明かした。


女子日本代表に関しては、8月11日(木)・12日(金)にラトビア代表をゼビオアリーナ仙台に迎えて開催される三井不動産カップ 2022(宮城大会)バスケットボール女子日本代表国際強化試合に向けた15人の候補メンバーが発表されている。シーズン中の町田の名前はもちろんその中にはないのだが、この日の会見で恩塚HCは、ワールドカップ本戦の最終メンバーについて、「候補選手としてなんですが、そこには町田選手も入っています」と話した。

 


8月4日のオンライン会見での恩塚 亨HC


現時点で発表されている15人のメンバーにおけるポイントガードは宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)、本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)、安間志織(イタリアリーグUMANA REYER VENEZIA)、山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)といずれ劣らぬ実績を持つ4人。東京2020オリンピックの5人制で銀メダルを獲得した宮崎と本橋はもちろん、同大会で3x3日本代表として戦い、その後FIBAアジアカップ2021で大会5連覇に大きく貢献した山本、ドイツにわたって所属チームをクラブ史上初のリーグ王座に導きファイナルMVPにも選出された安間という顔ぶれは豪華だ。そこにWNBAで安定感のある活躍を連日見せている町田という5人の選択肢から、誰が最終ロスターに残るか。全員が残る場合を除けば、それは非常に厳しく無情な、それでいて熱い競争になりそうだが、逆に誰が選出されるとしても対戦相手にとっては悪夢のような時間を提供できるプレーヤーなのは間違いない。

 


町田は恩塚HC体制になってからの日本代表活動には現時点まで参加していないため、仮にチームと合流する場合には、まず新たなコンセプトをインプットして自分のものとできるように適応していく時間が必要になりそうだ。その中でチームメイトとの連係をどこまで高められるか、またWNBA挑戦により5月以降FIBAの公式戦や日本国内のWリーグと異なるボールでプレーしていることもあり、パスやシューティング・タッチなど、端的な実力とは異なる点での微調整などが課題になる可能性があるだろう。


ミスティックスはすでに、日本時間の今月18日(木=北米時間17日[水])から始まるWNBAプレーオフ進出を決めているだけでなく、2019年以来のチャンピオンを目指せる位置にいる。しかも町田自身、後半戦に入って安定感を増してきており、プレーオフで東京2020オリンピックのアシスト王に輝いた実力が爆発しそうな気配も見せ始めている状況だ。

 


東京2020オリンピックでアシスト王とオールスターファイブ入りを果たした町田もワールドカップに向けた日本代表候補の一人だ(写真/©fiba.basketball)


WNBAファイナルは最も長引いた場合で日本時間9月21日(水=北米時間20日[火])まで。一方ワールドカップは9月22日(木)に開幕する。ミスティックスが調子を上げてプレーオフでディープランを実現すると、もともと短期間になりそうな町田の代表合流に向けた準備が、その分だけ削られることになる。それを考えると、実際に町田が最終ロスターに名を連ねるかどうかには、ミスティックスの状況が影響を及ぼす可能性もあるかもしれない。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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