月刊バスケットボール5月号

【四国インターハイ2022】桜花学園のエース横山智那美が口にした明確な決意「粘り強さをもっと付けていきたい」

 

エースが口にした明確な決意

 

「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ2022)」の女子3回戦。今大会屈指の注目カードとなった桜花学園(愛知県)と京都精華学園(京都府)による一戦は、まさに“天王山”と言える大激戦となった。

 

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勝利したのは京都精華学園。3Q終了時点での6点ビハインドから、試合時間残り0.2秒で#10八木悠香が決勝点を沈め、わずか2点差で劇的な勝利を飾ったのだ。

 

「去年の対戦から『接戦になるんじゃないか』というネガティブな部分は(選手たちの中に)あったとは思います。十分に準備はしてきたので、『大丈夫だ、自信を持ってやろう』とは言っていたんですけど、それでも『ここを越えないと先がない』という固さはあったと思います」

 

そう振り返ったのは長門明日香コーチ。大一番に備えて出来うる準備は進めてきたが、それが逆に身構えるような硬さとなって前半のスコア(27-35)に表れ、後半に逆転するまでの間にかなりのエネルギーを使ってしまった。特にエースの#4横山智那美は、普段は高確率で決めているジャンプシュートが前半では全く決まらず無得点。長門コーチが「シュートセレクションは悪くなかった」と言うように、期待値の高い選択はしていたが、それが結果に結びつかなかった。

 

 

試合後、横山は「今年のチームはすごくメンバーがそろっていて、絶対に(優勝を)取りたかったんですけど、自分がプレッシャーに負けてしまってチームの先頭を切れなかったのが一番の敗因」と涙ながらに口にした。

 

逆転して一時10点近いリードを取った後半には15得点の活躍を見せ、最終盤には同点に追いつくシュートをヒット。さらにリバウンドにも積極的に飛び込みチームハイの15本をもぎ取った活躍には、エースとしての責任と覚悟が感じられたが、「落としたらダメなゲームで、自分がリバウンドを取られたところから相手に流れを持っていかれたので、自分の甘さが出たかなと思います」と自身をプラスに評価することはなかった。

 

インターハイ3連覇中、ウインターカップでも昨年の優勝で3連覇を飾っており、横山ら3年生は全国大会負けなしでこれまでの期間を過ごしてきた。それだけに「自分の甘さが出た」と横山は自責の念に駆られていたのかもしれない。

 

しかし、ただ落ち込み下を向くだけではなく、「気持ちの弱さが出てしまったところがあったので、まずは気持ちで相手に勝るっていうところ。それに継続力と粘り強さがこのゲームでは欠けていたかなと思いました。イージーシュートをみんな外してしまっていたり、そういう部分で粘り強さがなくて最後の差になったと思うので、次は粘り強さをもっと付けていきたい」と、チームの課題を口にする。敗戦直後にこれだけ明確に課題を話すことができるのは、彼女が、そして桜花学園が冬に向けてさらに成長する兆しと見ていいだろう。

 

ウインターカップを目前に控えた今年12月には『スラムダンク』の劇場版が放映される。同作の中には「『負けたことがある』というのがいつか大きな財産になる」というあまりにも有名なセリフがある。インターハイ史にも残るであろう壮絶な一戦に敗れた桜花学園の夏はここで閉幕。しかし、チームにとって、そして横山にとってもこの敗戦が“大きな財産”になる日が必ず来るはずだ。

 

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

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