月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.07.28

川崎のニューカマー・納見悠仁から目が離せない!「川崎は神奈川の地元チームで小さい頃から見ていた」

 10月に開幕するBリーグで、川崎ブレイブサンダースの一員としてコートに立つ納見悠仁の入団記者会見が、7月25日に北卓也ゼネラルマネージャーと佐藤賢次ヘッドコーチ同席の下で行われた。

 

 納見は横須賀学院中でナナーダニエル弾(レバンガ北海道)と共にプレーし、卒業後の明成高では八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と共にウインターカップ3連覇に貢献、3年生の時にはキャプテンの重責も担った。さらに青山学院大でキャプテンを務めた4年生の時には関東1部リーグでチームを準優勝に導き、自身も敢闘賞を獲得するなど、順調にバスケットボール選手としての地位を固めてきた。

 

 そして、大学4年生の時に特別指定選手として島根スサノオマジックでプロプレーヤーのキャリアをスタートさせ、卒業後は新潟アルビレックスBBと契約。2シーズン過ごした後、契約満了に伴い2022年6月10日、納見の地元・神奈川県の川崎ブレイブサンダース入りが発表された。

 

左から納見悠仁、佐藤賢次HC、北卓也GM

 

■北GMと佐藤HCからの期待のコメント

 

「納見はボールハンドリングもアウトサイドシュートもうまく、身長もあるからビッグガードとして機能すると思い声をかけさせていただきました。中心選手だった新潟での経験を生かして川崎でさらに成長してほしいと思っています。うちの中心選手も若干平均年齢が上がってきましたので、納見には若い力をチームに与えて活躍してもらいたいですし、持ち味のシュート力でコンボガードでの起用も考えられます。そこは佐藤HCの引き出しを増やしたいという思いもあるので、采配にも期待しています」(北卓也GM)

 

「今シーズンは私自身ヘッドコーチ4シーズン目。3シーズンの1区切りが終わり、今シーズンは原点回帰して、全員がコートに出て激しく責任を全うするバスケットボールをやっていきたいと思っています。納見にもそのローテーションに加わってもらい、彼の強みを存分に発揮してもらいたいと思っています。これからハードワークして、一緒にチームを作っていけることを楽しみにしています」(佐藤賢次HC)

 

■悩んだ末に決めた川崎への移籍

 

――川崎には日本代表クラスの篠山竜青選手や藤井祐眞選手がいます。プレータイムを考えた時、移籍を決意するまでにはかなり悩んだのではないですか? 決断した理由を教えてください。

 

(代表クラスの)ポイントガードの先輩が2人もいるというのは、プレータイムだけを見たら昨シーズン(新潟)よりも確実に変わるだろうなと思い、そこは悩んだところです。しかし、それ以上に環境やチームの強さ、自分自身をさらに成長させてくれる場所だと感じる部分の方が大きいと捉えられたので、そこが決断に至った理由です。

 

――オファーがきた瞬間、迷いはなかったのですか?

 

 もちろんすごく迷いました。有難いことに他のチームからもオファーをもらっていたので、それで悩んだところはありました。しかし、今後、自分をレベルアップさせるために何が必要なのか、現状どこに行く選択が一番合っているのかというのを悩んだ中で、川崎に行くことの方が自分にとってプラスになるのではないかと感じたので、そこは間違っていなかったと思いますし、間違っていなかったと思ってもらえるように、自覚を持って努力していかないといけません。

 

©︎B.LEAGUE

 

――藤井選手、篠山選手は高い壁だと思いますが。

 

 そうですね(笑)。お互いに高いレベルでやり合うことができれば、自分のレベルも上がると思います。2人にどんと構えられないように、常に背中を追いかけられるように努力したいと思います。

 

■フランチャイズプレーヤーとして

 

――ところで川崎のチームを最初に認識したのはいつですか? また、今に至るまで外から川崎をどう見ていたのかを教えてください。

 

 地元(逗子)にいた頃、横須賀アリーナで(当時は東芝ブレイブサンダース)試合をしていることがあったので、その試合を見に行きました。プロの試合を間近で見る機会がそんなになかったからすごく印象が強く、神奈川の地元チームということで小さい頃から見ていました。自分がBリーグに入った時も、少なからずチェックはしていました。今ではそのチームに自分も入れたのはうれしいですし、結果を出して神奈川県出身の選手として周りにいい影響を与えたいと思っています。

 

――藤井選手、篠山選手から聞いてみたいこと、学びたいことはありますか?

 

 篠山選手も藤井選手も自分とはプレースタイルは違うと思います。祐眞さんなら嗅覚や感覚のところを見て盗むところは大事にしていきたいし、篠山選手はチームのまとめる力、コントロールする力があります。どういう立ち振る舞いをしているのかを見て、自分もワンステップ、ツーステップ上げられるようにいいところを盗んでいきたいと思います。逆に自分としては2人にはない部分を出していって、お互いに相乗効果で発揮していきたいですし、そこは大事にしていきたいです。

 

――新潟時代に対戦した時に川崎のここがすごかった、強いと思ったところはどこですか?

 

 やはり激しい前からビタビタくるディフェンスのところもそうですし、誰が出てきても同じインテンシティで戦ってくるところは戦う上で難しいところがありました。強力な外国籍選手がいますし、他のチームもいろいろ策を練ってやってきた中で、しっかりと相手の弱い部分をついて、確実に点を取っていくところは本当に強かったと思うし、そこに魅力を感じたんだと思います。

 

――川崎で達成したいものは何かありますか?

 

 まずチームとしては優勝です。僕も高校時代に優勝を経験しましたが、そこから遠ざかってしまっているので優勝の経験をもう一度味わいたいです。個人的には試合に出て結果を残すことで自分の次のステップアップになりますし、チームに与える影響にもなるので、そこに重点を置いてやっていきたいです。得点やアシストだけでなく、見えないところでの貢献もあるし、チームに必要な選手と思われるような行動・プレー・コミュニケーションなどで、ベテランが多い中で若い自分のような選手がいいアクセントを加えられたらと思っています。チーム練習が始まるのはこれからですが、まずはコミュニケーションを取って、いい形でシーズンを迎えられるようにやっていきたいですね。

 

――高校時代は、同級生の八村塁選手と一緒にウインターカップで優勝するなど経験をしていますが、また同じチームでプレーするとしたら日本代表です。そこに向かっていくぞという気概はありますか?

 

 高校時代に彼と一緒にプレーしたのは大きな経験でしたし、そういう質問もよくされるのですが、そこは目標ではありますけど、代表に入ることが目標というよりは、Bリーグでまず結果を出して認められることが先です。結果を出すことができれば 、絶対に目の離せない選手になってくると思うので、そういう存在の選手になれるように努力してやっていきたいと思っています。

 

■タイプの異なるPGトリオから目が離せない

 

「プレータイムについては承知の上」で川崎への移籍を決意した納見。まずは自分のやるべきことに集中し、自然体で頑張りたいときっぱり。篠山、藤井という偉大な先輩たちと共にBリーグ王者を目指す。はたして、3人のタイプの異なる司令塔たちがどんなハーモニーを奏でて川崎ブレイブサンダースを頂点へと導くのか――。

 

 地元の神奈川に戻り、家族や同級生たちの熱い声援を受けて躍動する納見のプレーが楽しみでならない。

 

 なお、7月11日には新外国籍選手としてパワーフォワードのマイケル・ヤングジュニア(27歳/206㎝/105㎏)の加入も発表されており、新シーズンに向けての川崎の陣容が整った。

 

 

■納見悠仁

のうみ・ゆうと◎1997年4月10日生/182㎝・83㎏/PG・SG/U16・U17日本代表候補/神奈川県出身/横須賀学院中→明成高→青山学院大→島根スサノオマジック(特別指定選手)→新潟アルビレックスBB→川崎ブレイブサンダース/アグレッシブなプレーで果敢にゴールを射貫く得点力の高さが武器。さらに人一倍負けず嫌いのメンタルの強さも魅力だ。

 

取材・文/飯塚友子



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