月刊バスケットボール5月号

男子日本代表、須田侑太郎と富永啓生3Pシューティング・ショーでシリアに圧勝 - FIBAアジアカップ2022第2戦


シリアとの試合で33得点と大爆発した須田侑太郎(写真/©FIBA.AsiaCup2022)


インドネシアで開催中のFIBAアジアカップ2022に出場している男子日本代表が、7月15日にシリアとの大第2戦に臨み、117-56で大差の勝利を手にした。この結果日本はグループCで、同じく2連勝のイランを得失点差で上回り暫定1位。17日(日)にそのイランを相手に、グループラウンド1位通過と準々決勝への直接進出の権利をかけた直接対決に臨む。

 

☆FIBAアジアカップ2022大会第4日、日本試合結果
シリア 56(09 18 15 14)

日本 117(29 39 28 21)
日本トップパフォーマー
須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ) 33得点、フィールドゴール成功率75.0%(すべて3Pショット、12本中9本成功)、1リバウンド、2アシスト

富永啓生(ネブラスカ大学) 23得点、フィールドゴール成功率58.3%、3P成功率63.6%(11本中7本成功)、3リバウンド、1スティール

吉井裕鷹(アルバルク東京) 12得点、3P成功率42.9%(7本中3本成功)、4リバウンド、2アシスト、1スティール
ルーク・エヴァンス(ファイティングイーグルス名古屋) 11得点、フィールドゴール成功率57.1%(3P2本中1本成功を含む)、6リバウンド、2アシスト、1スティール、1ブロック
渡邊雄太 8得点、6リバウンド、3アシスト
井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷) 3得点、6リバウンド、4アシスト、2スティール、1ブロック

富樫勇樹(千葉ジェッツ) 7アシスト

 

 FIBA世界ランキング38位の日本は、同83位のシリアに対し試合開始早々から勢いよく攻勢をかけた。ティップオフ直後のオフェンスで、富樫勇樹(千葉ジェッツ)のドライブ&キックからルーク・エヴァンス(ファイティングイーグルス名古屋)が“ペイントタッチ・スリー”を成功させて先制すると、渡邊雄太も3Pショットで続き6-0とリード。途中出場の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)がスティールからのレイアップでファウルをもらい、フリースローを2本沈めた残り4分40秒には、16-5とリードを2ケタに乗せる。

 

 残り4分6秒にシリアが要求したタイムアウトが明けた直後は、ゾーンディフェンスに対して富永啓生(ネブラスカ大学)が3Pショットを沈め19-5。富永はこの後、トップのロゴそばからのプルアップスリーも飛び出し、さらに河村のゴール下からのアクロバッティックなキックアウトから佐藤卓磨のスイングパスを受けての3Pショットも決め、スコアを27-9とした。

 

 攻撃の手を緩めない日本は、富永のスティールから河村がレイアップを決めて第1Qを29-9の20点差で終えると、第2Qも早々に富永が再び右ウイングの深い位置から3Pショットを炸裂させる。前半だけで6本中5本の3Pショットを成功させた富永は、レンジの広さも含め度肝を抜くようなパフォーマンスだったが、それに触発されたかのようにさらに驚異的だったのが須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)で、前半終了までに8本中7本の3Pショットを決めて24得点という大爆発だった。

 

 シリアのディフェンスがアウトサイドにほとんどクローズアウトしてこなかったのは事実だが、チーム全体でこの時点で30本の3Pショットアテンプト(フィールドゴールアテンプト40本のうち75%)。そのうち18本を成功させた日本は、前半を終えて68-27とシリアを圧倒し、後半も安定した試合運びで勝利した。

 

 須田は最終的に、15分23秒の出場で3Pショット12本中9本を沈め、フリースローもパーフェクトの6/6で33得点。試合後の会見では、「トム・ホーバスHCとの話の中で自分の役割が3Pショットであることを確認でき、自信を持ってプレーできている」と明るい笑顔で自身のパフォーマンスを振り返った。

 


富永はチーム全体に「今日は入る」という自信をもたらすようなディープスリーを決めた(写真/©FIBA.AsiaCup2022)

 

 

 日本はシューターだけではなくプレーメイカーの活躍も際立ち、富樫が11分24秒の出場で7アシスト、河村が14分15秒で7得点と5アシスト、テーブス海(滋賀レイクス)も14分21秒で6得点に4アシスト。彼らの鋭いペイントアタックを生かしたボールムーブも奏功した試合だった。また、トム・ホーバスHCは試合後の会見で、渡邊がストレッチ4として機能することで相手のディフェンスの注意を引いており、結果としてシューターにオープンの機会が訪れているとの分析も語っていた。

 

 高確率の3Pショットについては、ホーバスHCは「試合でここまで好調というのはしばらくなかったと思いますが、練習では普段から良く入っていました。それが試合で見られてハッピーですよ。今日のように機会を得て、決めて、自信をつけられたのは、私としては非常に大きいです」とその意義を語った。「次のイランとの試合にもこの好調さを持ち越せるかはわかりません。私がイランのコーチだったら、今日のシリアと同じディフェンスはしないでしょうしね。でも、自信を持って臨めることは確かですし、それを楽しみにしています」。重要な一戦に向け、指揮官の期待は大いに膨らんでいる。

 


渡邊の存在が相手にプレッシャーとなり、オープンショットが増えるという効果をトム・ホーバスHCは試合後の会見で語っていた(写真/©FIBA.AsiaCup2022)

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)

 



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