月刊バスケットボール5月号

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2022.06.12

町田瑠唯をWNBAオールスターゲームに - 日本のファンが投票すべき理由

 日本時間7月11日(月=北米時間7月10日[日])にシカゴのウィントラスト・アリーナで開催されるWNBAオールスターゲームのスターター投票中間発表が、日本時間6月11日(土=北米時間10日[日])に明らかになり、ワシントン・ミスティクスで活躍中の町田瑠唯が上位30位までに入っていないことがわかった。30位のプレーヤーはチームメイトのナターシャ・クラウドで、3,280票。つまり町田は3,280票に満たない得票にとどまっている。

 


投票受付は日本時間6月4日午前3時(北米時間3日[金]午後2時)から始まっており、最終締切は日本時間6月21日午後12時59分(火=北米時間20日[月]23時59分)。今回の中間発表が具体的に何日間分の得票数かは明確になっていないが、仮に最初の7日分とすれば、一日あたり500票で3,500票となり、30位以内になる計算が成り立つ。


昨年11月15 日から28 日までの14日間(より正確には13日と12時間)にわたり、1日1回の一般投票が受け付けられた今年のWリーグオールスターゲームのファン投票で、町田は9,923票を獲得した。一日にならせば735票だ。

 


WNBAオールスター投票は日本からも投票が可能で、ツイッターとWNBA公式サイト(あるいはWNBA公式アプリ)から一日に2回投票できるので、前述のWリーグでの投票結果から単純計算すると一日に1,400票以上、一週間で10,000票程度まで得票数が到達していてもおかしくないポテンシャルに思えるが、この中間発表の現状はその三分の一を下回る数字ということになる。


そこで、おせっかいを承知で町田への投票を呼びかけてみたい。町田が今年、WNBAの舞台でオールスターになるべき理由、日本のファンがこぞって町田に投票すべき理由がいくつかあると思うからだ。
※以下はあくまで筆者個人の捉え方です。


1. 町田にオールスターの資格は十分ある

 

 まず、一つの前提として、町田はオールスターにふさわしいプレーヤーだと言いたい。オリンピックで世界のアシスト王となり、一試合あたりのアシスト数新記録を打ち立てたプレーヤーがどこのリーグであれオールスターで文句があるわけはない。

 

 現在のWNBAにおける個人成績は、オールスターとするには物足りないと感じるかもしれない。北米時間6月10日までの時点における町田の平均アシスト3.4本はリーグ全体の23位。上位ではあるがトップクラスまでの印象はないだろう。


ただし、これが平均16.5分の出場時間での数字だということを忘れてはいけない。アシストランキング1位のコートニー・バンダースルート(シカゴ・スカイ)は平均27.2分で7.0本。仮に町田の数字をバンダースルートと同じだけ出場した場合に換算すれば平均5.6本となり、リーグ5位相当のレベルになる。これが本質的にオールスターの舞台で引け目を感じなければならない成績とは思わない。

 


2. 町田をWNBAオールスターに推せるチャンスは二度とないかもしれない

 

 町田が毎試合当然のように出場時間を得られているだけに、見る側も慣れてしまうような感覚がある。しかし、それが当たり前の状況ではないこと、町田にオールスター投票をできる機会は今しかないかもしれないことを強く言いたい。


来年同じ機会がある保証はどこにもないのだ。来年も契約できるか、またコンディション的に万全か、誰にもわからない。


最終的な結果は別で、日本からの投票が多くても、さらに上がいて町田をオールスターに送り出すことはできないかもしれない。しかし、もし出場がかなわないとしても、得票数が多ければ話題にもなるし町田にとっても喜べること、励みにできることのはずだ。ゆえに投票できるファンは逃さず投票しないと後悔することになるだろう。いつやるの? 今…、いや、6月21日まで毎日か。


3. 投票は簡単に日本からできる

 

 WNBAオールスター投票は、3つのプラットフォーム - ツイッター、リーグ公式サイト、リーグ公式アプリ - を介して日本からも簡単に行うことができる。中でも英語の壁がほとんどないツイッターは最も手軽な方法かもしれない。


ツイッター投票は、WNBAオールスターのハッシュタグ(#WNBAAllStar)と町田の名前のハッシュタグ(#RuiMachida)を含むツイートをするか、そのようなツイートのリツイート、返信をするだけでできる。[ #WNBAAllStar + #RuiMachida ]をツイートするだけで1票だ。ツイッターから町田への投票は一日(24時間)に1票、毎日行うことができる。


ツイッター投票は一日に10回までできるが、一日に複数回同じプレーヤーに投票することはできない。また、個々の投票ツイートでは一人のプレーヤーしか含むことはできないので、例えばミスティクスのチームメイトなどにも投票したいならば、それはそれで個別ツイートをする必要がある。また、アカウントのツイート公開設定を非公開にしてはいけない。


公式ファン投票ページ「vote.wnba.com」からの投票には、やる前には英語表記の壁を感じるかもしれないが、「VOTE(投票)」「SUBMIT(提出)」「CHECK(確認)」などのキーワードさえ覚えておけば簡単に行うことができる。このURLで検索をかけて出てくる投票サイトで、オレンジの丸囲みに「+」のアイコンスポットが10個見つかるので、そのうち「GUARDS」の下にある一つをクリックし、次の画面でガードのプレーヤーとして町田を選ぶ。画面上で選んだアイコンスポットに町田の写真があることを確認したら、「CHECK」「SUBMIT」のボタンを押し、さらに次の画面で「VOTE」をクリックだ。最大10人までの投票を行うことができるが、町田一人だけで投票しても問題ない。公式サイトから投票ができるのは一日(24時間)に一回のみだが、毎日1票投じることができる。つまり、ツイッターと合わせて一人2票を毎日投票できるのだ。

 

 なお、リーグ公式サイトの代わりにWNBAアプリ(アップルのアプリストアかグーグルプレーから無料でできる)からも、公式サイト同様のステップで投票できる。ディープにWNBAを楽しみたい人にはアプリ活用もおすすめだ。

 


4. 日本のファンの町田とWNBAへのエンゲージメントの高さを示す好機

 

 今年2月のNBAオールスターゲームで、ゴールデンステイト・ウォリアーズとコラボしたKポップスターの応援ツイートの影響で、アンドリュー・ウィギンスがスターターに選出され、話題になった。日本のファンが、これに似たようなソーシャルメディアのパワーで町田を上位に押し上げることには、日本のバスケットボール界の存在感や、日本のファンの町田に対する関心の高さを示す意味があり、非常に重要だと思う。町田が頑張っているのに、母国のファンは無関心だという見方をアメリカの関係者に持たれて良いわけはない。


町田はもちろんだが本人だけでなく、同時にミスティクスのチームメイトやWNBAのスターたちに投票すれば、それはすべて今後につながるだろう。キャシー・エンゲルバートWNBAコミッショナーは、リーグのグローバライゼーションについて言及し、アメリカ国外でのプレシーズンゲーム開催から手を付ける考えを示している。日本にいる我々の一票が積み重なり、日本からのエンゲージメントが強いと感じられれば、その開催地を日本にしたくもなるだろう。

 

もう一つ歴史を作ってかまわない


萩原美樹子が日本人初のWNBAプレーヤーとなって歴史を作った1997年から、25年が過ぎている。今年、26回目のシーズンに町田がWNBAオールスターに名を連ねたら、当然のごとく歴史的な出来事になる。それは萩原や町田個人の輝かしい功績と目に見えない尊い努力を称えることになるのと同時に、日本の女子バスケットボールの発展を祝し、これからの世代に励みをもたらす出来事になるはずだ。


本稿執筆時点の6月12日からオールスター投票締切の日本時間6月21日まで10日間、日本にいるファンからの投票だけで15,000票程度は獲得できる可能性があると思うが、どんな結果になるだろうか。個人的には、遠慮なくズケズケとオールスター入りを望みたい。



文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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