月刊バスケットボール5月号

日本代表

2022.06.10

男女日本代表の強化・活動方針が発表

2022年度男女日本代表の

第1次候補選手が発表

 

 6月7日、都内で「2022 年度バスケットボール男女日本代表チーム 強化・活動方針 -男女ワールドカップへ向けて- 発表記者会見」が実施された。

 

 登壇者は、日本バスケットボール協会の三屋裕子会長、東野智弥技術委員長、トム・ホーバス氏(男子日本代表ヘッドコーチ)、恩塚亨氏(女子日本代表ヘッドコーチ)の4名。会見では2022年度の強化方針と、男女ワールドカップ(女子は2022年9月、男子は2023年8月に開幕)等へ向けた活動計画について、両指揮官からプレゼンテーションがあった。また、あわせて2022年度男女日本代表の第1次候補選手(下記)が発表された。

 

 

【2022年度男子日本代表チーム 第1次日本代表候補選手リスト】★=初選出

1 竹内 公輔(PF/206㎝/宇都宮ブレックス)

2 ファジーカスニック(C/207㎝/川崎ブレイブサンダース)

3 ウィリアムス ニカ(C/203㎝/島根スサノオマジック)

4 古川 孝敏(SF/190㎝/秋田ノーザンハピネッツ)

5 エドワーズ ギャビン(C/206㎝/千葉ジェッツ)

6 谷口 大智(PF/201㎝/茨城ロボッツ)

7 岸本 隆一(PG/176㎝/琉球ゴールデンキングス)

8 比江島 慎(SG/191㎝/宇都宮ブレックス)

9 チェンバース アキ(SF/191㎝/群馬クレインサンダーズ)

10 熊谷 尚也(SF/195㎝/川崎ブレイブサンダース)

11 エヴァンス ルーク(C/203㎝/ファイティングイーグルス名古屋)

12 永吉 佑也(PF/198㎝/京都ハンナリーズ)

13 藤井 祐眞(PG/178㎝/川崎ブレイブサンダース)

14 須田 侑太郎(SG/190㎝/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

15 張本 天傑(PF/198㎝/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

16 森川 正明(SF/191㎝/横浜ビー•コルセアーズ) 

17 野本 建吾(PF/201㎝/群馬クレインサンダーズ)

18 安藤 誓哉(PG/181㎝/島根スサノオマジック)

19 橋本 晃佑(PF/203㎝/シーホース三河)

20 富樫 勇樹(PG/167㎝/千葉ジェッツ)

21 ベンドラメ礼生(PG/183㎝/サンロッカーズ渋谷)

22 原 修太(SF/187cm/千葉ジェッツ)

23 鵤 誠司(PG/185㎝/宇都宮ブレックス)★

24 渡邊 雄太(SF/206㎝/トロントラプターズ)

25 佐藤 卓磨(SF/197㎝/千葉ジェッツ)

26 齋藤 拓実(PG/172㎝/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

27 馬場 雄大(SG/195㎝/メルボルンユナイテッド)

28 今村 佳太(SG/191㎝/琉球ゴールデンキングス)

29 フリッピン コー(SG/188㎝/琉球ゴールデンキングス)

30 アキノ マシュー(C/205㎝/信州ブレイブウォリアーズ)

31 ラシードファラーズ(C/202㎝/千葉ジェッツ)★

32 寺嶋 良(PG/179㎝/広島ドラゴンフライズ)

33 シェーファー アヴィ 幸樹(PF/206㎝/シーホース三河)

34 八村 塁(PF/203㎝/ワシントンウィザーズ)

35 吉井 裕鷹(SF/196㎝/アルバルク東京)★

36 岡田 侑大(SG/189㎝/信州ブレイブウォリアーズ)

37 川真田 紘也(C/202㎝/滋賀レイクスターズ)★

38 小酒部 泰暉(SG/187㎝/アルバルク東京)★

39 テーブス 海(PG/188㎝/宇都宮ブレックス)

40 渡邉 飛勇(C/207㎝/琉球ゴールデンキングス)

41 西田 優大(SG/190㎝/シーホース三河)

42 河村 勇輝(PG/172㎝/横浜ビー•コルセアーズ)★

 

【2022年度女子日本代表チーム 第1次日本代表候補選手リスト】

1 髙田 真希(PF/185㎝/デンソー アイリス)

2 渡嘉敷 来夢(C/193㎝/ENEOSサンフラワーズ)

3 宮澤 夕貴(SF/PF/183㎝/富士通 レッドウェーブ)

4 本橋 菜子(PG/164㎝/東京羽田ヴィッキーズ)

5 長岡 萌映子(PF/183㎝)

6 安間 志織(PG/161㎝/Eisvögel USC Freiburg)

7 林 咲希(SG/173㎝/ENEOSサンフラワーズ)

8 小池 遥(PG/167㎝/シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)

9 鷹のはし 公歌(SG/168㎝/東京羽田ヴィッキーズ)★

10 宮崎 早織(PG/167㎝/ENEOSサンフラワーズ)

11 中田 珠未(PF/182㎝/ENEOSサンフラワーズ)

12 吉田 舞衣(SG/175㎝/シャンソン化粧品シャンソンVマジック)

13 梅沢 カディシャ樹奈(C/190㎝/トヨタ自動車 アンテロープス)

14 赤穂 ひまわり(SG/SF/184㎝/デンソー アイリス)

15 馬瓜 ステファニー(PF/182㎝/トヨタ自動車 アンテロープス)

16 オコエ 桃仁花(PF/182㎝/富士通 レッドウェーブ)

17 藤本 愛瑚(SF/PF/179㎝/ENEOSサンフラワーズ)★

18 山本 麻衣(PG/163㎝/トヨタ自動車 アンテロープス) 

19 奥山 理々嘉(SF/180㎝/ENEOSサンフラワーズ)

20 今野 紀花(SG/179㎝/ルイビル大3年)

21 東藤 なな子(SG/SF/175㎝/トヨタ紡織サンシャインラビッツ)

22 野口 さくら(PF/181㎝/シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)★

23 岡本 美優(SG/178㎝/東京医療保健大3年)★

24 平下 愛佳(SG/177㎝/トヨタ自動車 アンテロープス)★

25 江村 優有(PG/160㎝/早稲田大2年)★

26 朝比奈 あずさ(PF/C/184㎝/筑波大1年)★

27 福王 伶奈(C/193㎝/桜花学園高2年)★

 

それぞれの役割を徹底して

チームバスケットを構築する男子代表

 

 男子日本代表を率いるホーバスヘッドコーチは「今朝、(ディベロップメントキャンプで)選手たちに見せたばかり」という、目指すスタイルを簡単にまとめたパワーポイント資料を記者たちに公開。東京2020オリンピックやワールドカップアジア地区予選(Window1、Window2)などのシュートチャートをもとに、現状の収穫や課題について説明がなされた。

 

 特にオフェンスに関しては、NBAを含め現代の世界のバスケットがそうであるように、得点効率を求めて3Pシュートと、カッティングやブレイクを含めたペイントエリアの得点をさらに増やしていく構えだ。「女子日本代表もやりましたが、男子日本代表もこういうスタイルでいきます。上手に日本の速さ、スペーシングをよく使って。そういうチームのバスケットをやりたい」とホーバスヘッドコーチ。「Know your role. Know your teammate's role」という言葉を使い、一人一人の役割(role)を徹底してチームプレーを作り上げていくことを語っていた。

 

 今回選出された42名のうち、6名が初選出(選手リストの★参照)。また、若手や代表経験の浅い選手の中での注目選手として、ホーバスヘッドコーチは西田優大、齋藤拓実、寺嶋良、佐藤卓磨、谷口大智の名前を挙げていた。東野技術委員長も「ホーバスHCは思い切った起用をする」と評しており、多くの選手にチャンスが与えられる中で、代表の椅子を懸けた戦いはし烈を極めそうだ。

 

 なお、終わったばかりのBリーグの疲労やケガなどもあることから、42名は実力が拮抗するように2つのグループに分けて夏の間は活動していく予定(どちらのグループにも所属する選手もいる)。一つのグループはWindow3とアジアカップ、もう一つのグループは国際強化試合とウィンドウ4に向けて強化を図っていく見込みだ。

 

 

世界からも注目される女子代表は

「カウンターバスケット」を目指す

 

 一方、女子日本代表を率いる恩塚ヘッドコーチからは、チームが目指す方針について動画も取り入れたパワーポイントで説明がなされた。「金メダルを獲るためには、他者に絶対負けない強みを持つことが肝心」と言い、「それを私はアジリティ、すなわちあらゆる局面でも素早く効果的なプレーを発揮し続けられる能力だと思っています」と恩塚ヘッドコーチ。日本人が特性とする速さ、忍耐力、調和性、全体観といった強みを生かし、アジリティを磨いていく方針だ。

 

 そして目指すは、世界一のアジリティをもってあらゆる状況に即応してカウンターパンチを入れられるような、「COUNTER BASKETBALL」。この場面ではこう動くと良いという“原則の遂行”と、「やってみよう!」と思い切って自分の判断で挑戦する“ワクワク”を両立しながら、世界と戦うというビジョンを示した。

 

 原則とは「この場面ではこうやったほうがうまくいく」という最適解。ゼロから考えずに済むため、場面が変わったら即座に反応することができ、さらには「チームメイトはきっとこう動くだろう。それなら自分はこう動く」という予測と連携が生まれる。恩塚コーチは「シンクロされた規律と即興。こうしたものを、次から次へとワクワクした気持ち、自分の内側から湧き上がるエネルギーで実施し、カウンターパンチを入れることができたら、すばらしいパフォーマンスが発揮できるのではないかと思っています」と言う。

 

 具体的なプレー面に関しては、東京2020オリンピックを経て、世界が日本のバスケットに対応してきている現状を説明。例えば日本のピックアンドロールに対して、アメリカやスペインはスイッチした後に引いて守ってキックアウトさせない守り方を取っており、今後はガードのドライブからキックアウトだけでなくビッグマンを使ったパワープレーやポストのミスマッチから始まる連係プレーなど、さらなる攻撃の幅の拡大が必要となってくるという。

 

 若手の注目選手としては、東京2020オリンピックやアジアカップに出場した赤穂ひまわり、東藤なな子、オコエ桃仁花の名前が挙がった。また、今回の候補には東京2020オリンピックで3x3女子日本代表を務めた馬瓜ステファニーと山本麻衣も加わることに。3人制と5人制、2刀流のような形で代表の強化活動に参加する予定だ。

 

 

パリでの「ジャンプ」を目指し

強化のプロセスにも注目

 

 東京2020オリンピックでは男子日本代表が45年ぶり、女子日本代表が2大会連続の出場となったが、2024年に行われるパリオリンピックへの出場は、決して簡単なものではない。

 

 最短ルートとしては、男子はワールドカップでアジアゾーン最上位の成績を収めること、女子はワールドカップで優勝すること。それが未達の場合は、最低でもFIBAオリンピック世界最終予選(OQT)への出場権を獲得し、オリンピックへの切符を懸けた戦いに挑むことになる。

 

「リオオリンピックから東京オリンピックを考えると、ホップ、ステップではなかろうかと思っています。パリはまさしくジャンプです」と東野技術委員長。パリで飛躍を果たすためには、まだまだ階段をのぼっていかなければならない。ここからの国際強化試合や各公式大会では、結果のみならず強化のプロセスにも注目したい。

 

 

取材・文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)



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